地球のすぐ近くに隠れていた白色矮星を4つ発見——うち1つは25光年

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星が一生を終えたあとに残す「燃え尽きた芯」を、白色矮星(はくしょくわいせい)と呼びます。その白色矮星が、地球のすぐ近くに4つ、これまで見つからないまま隠れていた——そんな発見が報告されました。しかも、そのうちの1つは太陽からたった25光年ほどのところ。宇宙の距離感でいえば、本当にご近所です。

隠れていた理由はシンプルで、どれも明るい星の「相棒」のすぐそばにいたからです。まぶしい光にまぎれて、隣にある暗い白色矮星が見えなくなっていました。イギリスのウォーリック大学とアメリカのコロラド大学ボルダー校のチームが、ハッブル宇宙望遠鏡の紫外線観測でこの4つを直接とらえ、その正体を確かめました。研究は天文の学術誌 MNRAS に査読を経て掲載されています。

「燃え尽きた星の芯」という天体

白色矮星は、太陽くらいの重さの星が寿命を迎えたあとに残る、中心部のかたまりです。核融合の燃料を使い果たし、外側のガスを失って、あとには高温の芯だけが残る。それがゆっくり冷えていく天体です。地球ほどの大きさに太陽なみの質量が詰め込まれているため、密度がとても高いのも特徴です。

ふつう、ぽつんと単独でいる白色矮星は、比較的見つけやすい相手です。ところが今回の4つは、どれも赤色矮星(せきしょくわいせい)という星とペアになっていました。赤色矮星は太陽より小さくて暗い星ですが、それでも白色矮星と比べればずっと明るい。その光にかき消されて、隣にいる白色矮星がまるで見えていなかったのです。地球から眺めると、どれも1つの星にしか見えていませんでした。

手がかりは星の「ふらつき」

では、見えないのになぜ「何かがいる」と分かったのか。手がかりは、星のわずかな揺れでした。重い天体が近くをまわっていると、その重力に引かれて、相手の星も前後に小さく揺さぶられます。この揺れ(視線速度のふらつき)は、光の細かな変化として読み取れます。今回の4系は、いずれもこの揺れがはっきり見えていて、「見えていないけれど、重い相棒がいるらしい」と長年うたがわれてきた星たちでした。

紫外線でのあぶり出しと、フレアの壁

そこで登場するのが紫外線です。白色矮星は表面が高温なので、可視光では相棒に負けていても、紫外線ではくっきり目立ちます。チームはハッブルの紫外線分光器で4系をていねいに観測し、赤色矮星の光と白色矮星の光を切り分けていきました。

ただ、ここに落とし穴があります。赤色矮星はときどき強いフレア(表面の爆発的な閃光)を起こし、そのとき紫外線が急に強まります。これが白色矮星の信号とよく似てしまうため、うっかりすると「フレアを白色矮星と見まちがえる」おそれがあるのです。チームは専用の補正方法を組み、さらに別の宇宙望遠鏡(Swift)でも同時に見張って、光の出どころが本物の白色矮星かどうかを確かめました。こうして、4系すべてに白色矮星がいることを正式に確認しています。

特異な一例、G 203-47

4系のうち、とりわけ変わっていたのが G 203-47 でした。距離は約25光年と近いのに、揺れが最初にとらえられてから白色矮星の正体を突きとめるまで、27年もかかっています。この白色矮星は、太陽から数えて9番目に近い白色矮星ということになりました。

不思議なのは、2つの星の「回り方」です。赤色矮星の自転(こまのように自分が1回転する周期)は100日以上もかかるのに、白色矮星のまわりを1周する公転はたった14.9日。ふつうこれだけ近い間柄だと、たがいの重力で自転と公転がそろい、いつも同じ面を向け合う状態になります(潮汐(ちょうせき)ロック。地球にいつも月の同じ面が見えているのと同じしくみです)。ところが G 203-47 の赤色矮星は、自転が公転よりずっと遅く、そろっていません。

共著者の David Wilson 博士は、G 203-47 は似た系と同じできかたをしたのなら、こんなにゆっくり自転しているはずがない、と話しています。これは、近い白色矮星と赤色矮星のペアでも、たどってきた歴史がそれぞれ違うことを示しているようです。星が死ぬ間際にふくらんで相手を包み込む「共通外層」という激しい段階を経ると考えられていますが、その関わりが長く激しかったペアは潮汐ロックまで進み、G 203-47 のようにより穏やかで短い関わりだったペアは、こうしたちぐはぐな状態のまま残った——そんな見立てです。

太陽近傍の「星の地図」の更新

この4つが加わったことで、太陽の近く(20パーセク=約65光年以内)にある白色矮星の数え直しが進みました。おもしろいのは、理論の予想とよく合っていたことです。これだけ近くをまわる白色矮星と赤色矮星のペアは、あらかじめの計算でだいたい4〜5組あるはずと見積もられていて、実際に見つかったのがちょうど4組。予測と観測が素直にかみ合った形です。

ただし、探索が終わったわけではありません。ウォーリック大学の Pier-Emmanuel Tremblay 教授によれば、20パーセク以内の赤色矮星のうち、隠れた白色矮星の相棒がいないか系統立てて調べられたのは、まだ3割ほど。あと9〜10組ほど、同じような未発見のペアが私たちのご近所にひそんでいるかもしれない、と見ています。近くの赤色矮星をねらって観測を重ねれば、同じような「隠れていた星」がまだ出てきそうです。

解釈上の留意点

この研究は査読を経て学術誌に掲載されており、4つの白色矮星の確認そのものは確かな結果です。ただ、いくつか受け取り方には注意しておきたい点があります。

まず、今回見つかった白色矮星は比較的「冷えている」部類(表面温度およそ5,300〜6,300ケルビン)で、それでもハッブルの紫外線分光でようやく切り分けられた相手でした。裏を返すと、これよりさらに冷たい白色矮星は、明るい赤色矮星のそばだと今回の手法でも取りこぼしてしまいます。「4つ見つかった」の裏に、まだ見えていない冷たい相棒が隠れている可能性は残ります。

また、この成果は新しい物理法則の発見というより、太陽のご近所という「数え尽くせるはずの範囲」で、これまで抜けていた星を埋めた、という性格のものです。明るさだけ(測光)で見積もった従来の推定は、今回の分光による直接観測と5〜8%ずれていたことも分かりました。近い宇宙の地図は、思っていたほど完成していない——今回いちばん伝わってくるのは、そのことかもしれません。

出典

ウォーリック大学プレスリリース:Dead stars in our cosmic backyard: scientists spot four white dwarfs hiding under our noses(2026年7月)

コロラド大学ボルダー校 LASP:Hubble Space Telescope reveals hidden white dwarf stars in four nearby star systems

元論文:Mairi O’Brien ほか「Direct detections of white dwarfs in four WD+dM post-common envelope binaries within 20 pc」Monthly Notices of the Royal Astronomical SocietyDOI: 10.1093/mnras/stag1195

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