人がヒョウに乗る1万1000年前の石像、世界最古級の村カラハン・テペで出土

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トルコ南東部の遺跡から、人がヒョウの背にまたがった姿の石像が見つかりました。高さは約70センチ。出土したのはカラハン・テペという新石器時代の遺跡で、遺跡の年代から約1万1000年前のものとみられています。トルコ文化観光省が2026年8月25日に発表しました。

1万1000年前といえば、日本列島では縄文時代が始まってしばらくたったころです。ウマの家畜化が紀元前3500年ごろとされることを考えると、「動物にまたがる人」がその何千年も前に彫られていたこと自体、ちょっと不思議に思えてきます。先に断っておくと、これは実際に動物に乗っていた証拠ではなく、象徴的な表現と考えられています。それでもこの像には、専門家が「これまで見たことのない様式」と評した、はっきりした理由がありました。

世界最古級の村カラハン・テペ

カラハン・テペは、トルコ南東部のシャンルウルファ県にある遺跡です。成立はおよそ紀元前9750年。世界最古級の「村」のひとつとされています。同じ地域には、巨石を並べた遺跡として有名なギョベクリ・テペがあり、両者は同じ文化圏に属すると考えられています。どちらの遺跡からもT字形の石柱が見つかっていて、当時この一帯に、共通の様式を持つ集落のネットワークが広がっていたことをうかがわせます。

カラハン・テペそのものが見つかったのは1997年ですが、本格的な発掘が進んだのは近年のことで、掘り起こされたのはまだ遺跡全体のごく一部にすぎません。それでも次々と驚くような出土品が報告されていて、今回の像もそのひとつです。見つかったのは今年の夏。直径約3メートルの円形の建物の壁に沿って設けられた台の上に置かれていました。

この地域で出土してきた人と動物の像

カラハン・テペとその周辺は、人と野生動物を組み合わせた謎めいた彫刻の宝庫でもあります。2023年にはカラハン・テペから、あばら骨まで写実的に刻まれた高さ2.3メートルの男性像が出土しました。重要な祖先を表した可能性が指摘されています。ギョベクリ・テペの近くでは1993年に「ウルファ人」と呼ばれる等身大の男性像が、2022年には近隣のサイブルチュ遺跡から、2頭のヒョウと雄牛と男性を彫り込んだ場面が見つかっています。いずれも生命力や力強さを強調した表現で、この文化がそうしたテーマに強い関心を持っていたことを示すものと考えられています。

そして人と動物を組み合わせた像には、ひとつの「型」がありました。動物が人の上に乗る構図です。実はカラハン・テペからは以前にも人とヒョウの像が出土していて、現在シャンルウルファ博物館に収蔵されているのですが、そちらは人の背中にヒョウが乗った姿でした。獰猛(どうもう)な獣が人にのしかかる——この地域の彫刻は、そういう上下関係で作られてきたのです。

逆転した構図

今回の像は、その上下がひっくり返っています。ヒョウが人に乗るのではなく、人がヒョウに乗っている。トルコの文化観光相メフメト・ヌリ・エルソイ氏が「これまで見たことのない様式」と表現したのは、この点を指しています。

今回の発掘には関わっていない外部の専門家、ドイツ考古学研究所の新石器時代考古学者イェンス・ノトロフ氏は、この像を「知られている『動物が人の上に乗る』型の、鏡像版のようだ」と評しています。鏡に映したように、同じ組み合わせの上下だけが入れ替わっているわけです。

では、向きが逆になると意味はどう変わるのでしょうか。ノトロフ氏によれば、ヒョウは当時この地域にふつうに生息していたネコ科の捕食者で、危険で活力にあふれた動物でした。腕のいい狩人にとっても手ごわい相手だったはずで、それが象徴としての意味を強めたのかもしれないといいます。サイブルチュの彫刻のように猛獣のあいだに恐れず立つ姿、さらに今回のように猛獣を乗りこなしているかに見える姿は、力の象徴、つまりその危険な活力を制御する力を表しているのかもしれない——ノトロフ氏はそう読み解いています。獣に組み敷かれる側だった人が、獣を従える側に回った。構図の逆転は、ただのバリエーションではなく、意味の逆転でもあった可能性があるわけです。

解釈上の留意点

ここまでの内容には、注意しておきたい点がいくつかあります。まず、この発見はトルコ文化観光省による発掘速報で、査読を経た論文はまだ発表されていません。像の解釈も年代も、今後の研究で変わる可能性があります。約1万1000年前という年代も、像そのものを直接測定した値ではなく、遺跡の年代にもとづく推定です。

また、冒頭でも触れたとおり、この像は当時の人が実際に動物に乗っていたことを示すものではありません。ノトロフ氏の解釈も「支配や力の象徴かもしれない」というもので、断定はされていません。上下を入れ替えた意図が本当に「支配」だったのか、それともまったく別の物語や信仰を表していたのか、確かめるすべは今のところありません。

それでも、掘り起こされたのがまだ遺跡の一部にすぎないことを思えば、この先も驚くような像が出てくる可能性は十分にあります。文字が生まれるはるか前、世界最古級の村に暮らした人々が石に刻んだ世界観が、少しずつ姿を現しはじめています。

出典

Live Scienceの記事:‘Unlike anything seen before’: Archaeologists unearth a unique, 11,000-year-old statue of a person riding a leopard from one of the world’s earliest settlements(一次情報はトルコ文化観光省の2026年8月25日付の発表)

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