赤紫色の太陽光パネルの下で育てたブロッコリーは、光が減っても同じだけ採れた

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畑の上に太陽光パネルを架けて、下で作物を育てる。営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)と呼ばれるこのやり方には、ひとつ避けられない問題があります。パネルが受け止めた光のぶんだけ、作物に届く光が減ることです。発電を増やせば作物が日陰になり、作物を優先すればパネルを減らすしかない。土地と光の取り合いです。

スウェーデンのメーラルダーレン大学のチームは、この取り合いを「光の色で分ける」ことで緩められないかと考えました。植物は赤と青の光をよく使い、緑の光はあまり使いません。それなら緑の光をパネル側が取り、赤と青は通してやれば、同じ光を発電と栽培で分け合えるはずです。マゼンタ(赤紫)色の半透明パネルの下でブロッコリーを1シーズン育てた結果が、2026年10月2日の Cell Reports Physical Science に出ています。

建物用のパネルを、畑に転用する

使ったのは、テルル化カドミウム(CdTe)という薄膜太陽電池を、ガラス板に細い帯状に埋め込んだ半透明のパネルです。もともとは建物の窓やファサードに使うために市販されていたもので、室内をほんのりピンク色に染めながら発電する製品でした。畑のために設計されたわけではなく、すでに手に入る製品だから使った、とチームは書いています。

パネルの透過率は、帯の密度で決まります。CdTe の帯を密に並べれば発電は増え、下に届く光は減る。実験では透過率50%と70%の2種類を用意し、ヴェステロース近郊のシェルボ・プレストゴード農場に、それぞれ20メートル四方の区画を作りました。比較のために、何も架けない露地の区画も用意しています。作物はブロッコリーです。キャベツ・カリフラワー・ケール・芽キャベツと同じ種(Brassica oleracea)なので、ここでうまくいけば、ほかの仲間にも見通しが立ちます。

収穫量は同じ、ただし25日遅い

2024年の栽培シーズンが終わってみると、3つの区画のブロッコリーの収穫量は、ほぼ同じでした。パネルの下の株は、露地の株に比べて収穫までに25日長くかかりましたが、最終的な大きさは変わりませんでした。透過率50%と70%のあいだにも、目立った差はありませんでした。

これは、届く光の量を考えると意外な結果です。パネルの下の株は、露地の株よりずっと少ない光しか受けていません。それで同じ収穫量に達したということは、受けた光あたりの収穫、つまり光の利用効率が高かったことになります。計算すると、透過率50%のパネルの下では露地の4.5倍、70%では2.8倍でした。暗い環境に置かれた植物が、少ない光を無駄なく使ったわけです。

発電のほうは、栽培期間中に1ヘクタールあたり約224.7メガワット時でした。同じ面積の通常のパネルに比べると、100メガワット時ほど少ない値です。

マゼンタの色は、まだ「使い切れていない」

ここで、この実験の正直なところを書いておく必要があります。パネルがマゼンタ色なのは、ガラスが緑の光を吸っているからです。ところが今回のパネルでは、その緑の光のエネルギーは発電には使われていません。発電しているのは CdTe の帯の部分で、色付きのガラスは単に緑を遮っているだけです。「緑を発電に回し、赤と青を植物に渡す」という理想の形には、まだなっていないのです。

ですから、ブロッコリーの光利用効率が上がったのが、マゼンタの色のおかげなのか、単に光が減って植物が日陰向きの育ち方をしたからなのかは、この実験だけでは切り分けられません。ガラス板を架けたことによる温室のような効果も、今回の実験では考慮されていません。筆頭著者のシルヴィア・マ・ルー自身が、この結果は今回の条件に限ったもので、別の季節や別の構成でも確かめる必要があると述べています。

電気が減ったぶんを、野菜で埋められるか

では、実用になるのか。研究に関わっていない電力システム工学の専門家ラメシュ・ラユドゥは、ScienceAlert の取材に、損益の考え方を示しています。1ヘクタールあたり100メガワット時の発電の減りを野菜の売り上げで埋めるには、電気と野菜の値段しだいで、おおよそ1.2〜3.2トンのブロッコリーを余計に収穫する必要があるそうです。波長を選ぶパネルの手間と費用に見合うだけの農業上の価値が本当に出るのか。そこが次に見たい比較だ、というのがこの専門家の見立てです。

チーム自身も、いまの構成が向いているのは広い農地ではなく、コミュニティガーデンや温室の屋根のような小さな場所だとしています。この研究が示したのは、「色で光を分け合う」という発想が畑でも成り立ちうること、そして、そのための本当のパネルはまだ作られていないことの両方です。緑の光を発電に回せるパネルができたとき、この実験の数字がどう変わるのかが、この先の見どころになります。

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