科学

性格はどこまで遺伝子で決まるのか――114万人の答えは「1割前後」

2026年9月2日、性格と遺伝子の関係を調べた過去最大の研究がNature誌に掲載されました。ミシガン州立大学のTed Schwaba氏らによる国際チームが、46の研究グループのデータを束ね、最大114万人分のゲノムを解析したものです。この...
科学・健康

戦時中の砂糖不足が脳に残したもの——MRIに写っていた70年後の差

1953年9月、イギリスで長く続いていた砂糖の配給が終わりました。それから70年以上たった2026年、この「配給が終わった日」の前後に生まれた人たちの健康記録を調べた研究が、立て続けに2本発表されています。どちらも同じ結論に行き着きました。...
科学・宇宙

暗黒物質かもしれない一度きりの閃光——地下実験LZが報告した「消せない外れ値」

暗黒物質(ダークマター)を探して数十年、世界中の実験がずっと空振りを続けてきました。そんな中、米サウスダコタ州の地下1,500メートルにある実験施設「LUX-ZEPLIN(LZ)」のチームが、2026年9月1日、日本で開かれた国際会議で気に...
科学・宇宙

「みお」いよいよ水星へ ベピコロンボが8年の旅を終えて到着シーケンス開始

2018年10月に打ち上げられた日欧共同の水星探査機ベピコロンボが、2026年9月3日の夜、水星への「到着フェーズ」に入ります。日本時間21時00分、これまで2機の探査機を運んできた電気推進モジュール(MTM)を切り離す予定です。打ち上げか...
宇宙・天文

重力波観測の「空白地帯」に量子力学で挑む——ブルックヘブンのNIAC採択構想

重力波の検出器といえば、腕の長さ4kmのレーザー装置や、何十年もかけてパルサーを見張る観測網のような、とにかく大がかりな仕掛けが定番です。そこに、まったく毛色の違う構想が現れました。NASAの先進構想プログラム「NIAC」に採択された、ブル...
古生物学

【原生代の生物】トリブラキディウム – 現生動物のどこにもない、三放射対称の体

名前トリブラキディウム(Tribrachidium/「三本の小さな腕」の意)分類所属不明(絶滅したグループ「トリロボゾア」に置かれる)時代先カンブリア時代・原生代末のエディアカラ紀(約5億5500万〜5億5000万年前)発見地オーストラリア...
健康・医学

人工関節の摩耗粉は脳まで届いていた——それでも認知機能は変わらなかった

ひざや股関節に入れた人工関節は、長く使ううちに少しずつ削れていきます。その削れかすである金属の微粒子が、体の中をどこまで移動するのか——アメリカのラッシュ大学を中心とする研究チームが、亡くなった方から提供された701人分の脳を調べたところ、...
歴史・考古学

中古部品を探しに行った廃品置き場に、1,800年前の戦士が眠っていた

ポーランド南東部の町フルビェシュフで、廃品置き場を物色していた男性が、土のこびりついた鉄の塊を見つけました。探していたのは自動車の中古部品です。ところが手にした塊はどう見ても部品ではなく、男性は「これはかなり古いものだ」と直感して、写真を撮...
テクノロジー

60度の氷壁にとまるドローン「Ice Dart」、ヒントはネコの爪だった

崖のように切り立った氷の壁に、小さなドローンが降りて、そのままじっと動かなくなる。滑り落ちもせず、ひっくり返りもしない。カナダ・ケベック州のシェルブルック大学のチームが開発した「Ice Dart(アイス・ダート)」は、傾き58度の氷の斜面に...
科学・生物

アレルゲンを作らない犬が生まれた——ただし消したたんぱく質の役目は分かっていない

犬アレルギーの主な原因となるたんぱく質を作らないビーグルが、2頭生まれています。米ニューヨークのバイオ企業 Kindred Companion Sciences が2026年8月5日、The CRISPR Journal に論文を出して公表...
科学・宇宙

バッテリーが死んでも蘇り続けた衛星編隊、26年目の計画的な幕引き

2026年9月2日の朝6時30分(世界時では9月1日21時30分31秒)——欧州宇宙機関(ESA)が最終予測として示したこの時刻に、衛星「Tango(タンゴ)」がニュージーランド北方の南太平洋上空で大気圏に突入しました。予測の誤差はわずか±...
テクノロジー

「APIキーを教えて」と頼んだら教えてくれた——AI評価団体METRへの侵入事件

AIモデルの能力と危険性を評価している非営利団体METR(メーター)が、2026年8月31日、自分たちが受けた2件のサイバー攻撃の詳細を公表しました。1件目では、盗まれたAPIキーで約60万ドル(約9,000万円)相当のAPIクレジットが3...
健康・食品

砂糖の3,500倍甘いのに血糖が動かない——「甘味たんぱく質」の臨床試験が示したこと

アイスティーを1杯甘くするのに、粉が3ミリグラムもいらない——そんな甘味料の臨床試験の結果が、食品科学の専門誌『Food Chemistry』に掲載されました。イスラエルのバイオ企業Amai Proteins(アマイ・プロテインズ)が開発し...
テクノロジー

角砂糖ほどの装置に薬と光を積む——インターネットでつながった脳インプラント

シカゴの机の前に座った研究者が、キーボードをたたく。その命令はインターネットを通って地球の反対側へ渡り、韓国・大田(テジョン)の実験室にいるラットの脳のなかで、装置が薬を出す。距離にして10,596キロ。命令が届いて反応が返るまで、平均でお...
環境

イッカクが運んだ観測装置が明かした、グリーンランド東岸フィヨルドの異変

グリーンランド東岸に、スコルズビ湾(Scoresby Sound)という世界最大のフィヨルド系があります。氷河が削った深い入り江が枝分かれしながら、内陸へ300キロ以上も食い込んでいる場所です。この奥で海の中に何が起きているのかを、イッカク...
化学

金色のプラスチックだけが粉になる——原因不明の「ゴールドプラスチック症候群」

押し入れの奥に、昔のトランスフォーマーや初代ニンテンドーDSが眠っていないでしょうか。もし金色のパーツが付いた玩具があるなら、そっと開けてみると、そこだけが粉を吹いて崩れているかもしれません。玩具やゲーム機のコレクターの間には、「ゴールドプ...
テクノロジー

白より涼しい紫の布はなぜ可能になったのか

夏の炎天下でいちばん涼しい服の色は白。日差しを反射してくれるから――これは物理的にも正しい、昔ながらの知恵です。ところが2026年8月、その常識を揺さぶる研究が発表されました。中国の鄭州大学が主導し、オーストラリアのアデレード大学が加わった...
古生物学

【原生代の生物】スプリッギナ – 左右対称に見えて、体の節が半歩ずれている

名前スプリッギナ(Spriggina/「スプリッグの生き物」の意。発見者レグ・スプリッグさんにちなむ)分類所属不明(絶滅した門「プロアルティキュラータ」とする説など諸説あり)時代先カンブリア時代・原生代末のエディアカラ紀(約5億5000万年...
古生物学

【原生代の生物】カルニオディスクス – 光の届かない海底に立っていた「葉」

名前カルニオディスクス(学名:Charniodiscus、「チャーンウッドの円盤」の意)分類ペタロナマエ・アルボレオモルフ類(初期の動物の系統と考えられているが、詳しい位置は未確定)時代エディアカラ紀(約5億6500万〜5億5500万年前ご...
医学・健康

死んだ神経細胞のかわりを、脳のなかで作らせる——マウスで報告されたナノ粒子治療

アメリカ・サウスカロライナ大学の研究チームが、アルツハイマー病のモデルマウスにナノ粒子を注射したところ、巣作りや迷路の成績が持ち直したと報告しました。狙いは、失われた神経細胞を外から補うことではありません。脳のなかにもともといる別の細胞に、...
生き物

深海の底を歩く魚キホウボウ、魚類初の「後ろ歩き」が撮影される

海の底を、ひれで「歩く」魚がいます。中国・中山大学などの研究チームが、南シナ海の深海でその魚を潜水艇で間近に撮影し、査読付きの学術誌『Ocean-Land-Atmosphere Research』に発表しました。論文のタイトルは、飾り気なく...
環境

パンツを2,000枚埋めて土の元気を測る——スイスの市民科学「Proof by Underpants」

土のなかに綿のパンツを埋めて、2か月後に掘り出す——それだけで、その土がどれくらい「働いているか」が分かる。そんな調査の結果が、2026年8月25日付で学術誌 Plants, People, Planet に掲載されました。舞台はスイス。チ...
テクノロジー

モーターは小さくできないのに、なぜ1ミリのロボットは飛べたのか

空き瓶の口に息を吹きかけると、ボーッと低い音が鳴ります。誰でも一度はやったことのある、あの遊びです。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、この現象を推進力に変えて、モーターを一つも積まないロボットを動かしてみせました。デ...
医学・健康

「元NFL選手の93%にCTE」はどう読むか——論文自身が書いた推定幅18.5〜98.7%の意味

亡くなった元NFL(アメリカのプロフットボールリーグ)選手の脳を調べたら、93%超にCTE(慢性外傷性脳症)の兆候があった——。2026年8月25日に医学誌 The BMJ に掲載された論文の数字が、SNSで大きく広まりました。寄贈された3...
科学・宇宙

救出は失敗、それでも観測は再開――NASAの衛星スウィフト、最後の数か月

2026年8月26日、NASAのガンマ線バースト観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト天文台」(以下スウィフト)が、搭載する3つの観測装置のうち2つ——X線望遠鏡(XRT)と紫外線・可視光望遠鏡(UVOT)——を再起動し、宇宙の観測に戻り...
AI

弁護士の代わりにAI——約175ポンドで電力会社に勝った博士課程学生の裁判

イギリスで、オックスフォード大学の博士課程に在籍する学生が、大手電力会社SSEを相手に裁判を起こし、勝ちました。弁護士はつけていません。代わりに使ったのが、GPT-5.5やClaudeといった生成AIでした。かかったAI関連の費用は合計およ...
科学・宇宙

2025年11月の太陽嵐で、全米のGPSが最大10メートル狂っていた

2025年11月、太陽で大きな爆発が立て続けに起き、吹き飛ばされたガスの塊が地球に届きました。このとき世界各地で、ふだんは見えない低い緯度までオーロラが広がり、夜空の写真がニュースやSNSをにぎわせたのを覚えている方もいると思います。ところ...
テクノロジー

「うるう秒」が半世紀で終わりを迎えようとしている理由——地球が速く回りはじめた

世界の時計に1秒を足す「うるう秒」が、半世紀の歴史に幕を下ろそうとしています。2026年10月13日から15日にかけて、フランスのヴェルサイユで開かれる国際度量衡総会(CGPM)の第28回会合で、うるう秒を終わらせる決議案が採決にかけられま...
科学・宇宙

火星の月フォボスは、なぜ西から昇って東に沈むのか

火星の空でも「日食」は起きます。2026年8月12日、NASAの火星探査車パーサヴィアランスが、火星の月フォボスが太陽の前を横切っていく瞬間を撮影しました。撮ったのはマストに載った主力カメラ「Mastcam-Z」。私たちが日食のときに使う日...
科学・宇宙

火星の砂ぼこりは有毒、それでも専門家が「対処できる」と言う理由

火星に人を送るとなると、放射線、寒さ、閉鎖環境でのメンタル——課題はいくつも挙がりますが、その一覧に「砂ぼこり」が正式に加わりつつあります。NASAは2026年に入ってから、「火星ダスト限度作業部会(Martian Dust Limit W...