気候変動

地球科学

岩に覆われた氷河は、なぜ重力計で測れたのか

アメリカ・ユタ州のティンパノゴス山のふもとに、岩に覆われて見えない氷が約155万立方メートル埋まっている。ユタ大学の研究チームが2026年8月26日付で「Journal of Geophysical Research: Earth Surf...
環境

イッカクが運んだ観測装置が明かした、グリーンランド東岸フィヨルドの異変

グリーンランド東岸に、スコルズビ湾(Scoresby Sound)という世界最大のフィヨルド系があります。氷河が削った深い入り江が枝分かれしながら、内陸へ300キロ以上も食い込んでいる場所です。この奥で海の中に何が起きているのかを、イッカク...
地球科学

5600万年前の温暖化で森は樹冠の6割を失った——化石の葉の細胞が語る回復までの10万年

5600万年前、地球は急激な温暖化を経験しました。そのとき森がどうなったのかを、化石になった葉の「細胞の形」から読み出した研究が、2026年8月13日付のScience誌に載っています。調べたのはアメリカ・ワイオミング州の地層で、答えは「森...
古生物学

氷期のロサンゼルスは冷たく湿っていた ― 小さなカエルの骨が示したもの

1929年にロサンゼルスのラ・ブレア・タールピットから掘り出された小さな骨のかけらが、97年たって新種として記載されました。氷期のスキアシガエル、Spea labreae(スペア・ラブレアエ)。種小名はラ・ブレアにちなんでいます。論文は20...
気候・環境

エルニーニョは本当に強くなっているのか——千年分の答えはサンゴの骨格にあった

ここ40年のエルニーニョは、過去1000年のどの時代にもなかった強さになっている——そんな研究結果が、2026年8月27日付の科学誌『Science』に発表されました。発表したのは、アメリカ・ミシガン大学の古気候学者ジュリア・コール教授(地...
環境

排出量データベース「Climate TRACE」に過小評価の疑い、運営側は真っ向反論

世界中の温室効果ガス排出を追跡する著名なデータベース「Climate TRACE(クライメート・トレース)」が、都市を走る車のCO2排出を大幅に少なく見積もっているのではないか——そんな検証結果を、米ノーザンアリゾナ大学の研究チームが202...
地球科学

【地球年表15-1】新生代 第四紀 – マンモスはなぜ最後の氷期で消えたのか

約258万年前から現在までを、第四紀と呼びます。新生代の3番目、地質年代のいちばん最後に置かれた紀で、この記事を読んでいるいまこの瞬間も、第四紀のただ中です。寒い氷期と温暖な間氷期を何十回もくり返してきた「氷の時代」ですが、主役は氷ではあり...
生物

海の底にもきのこの仲間がいた——北極のフィヨルドで炭素をため込む菌類

きのこやカビの仲間——菌類(きんるい)というと、森の落ち葉や朽ち木のそばにいる、陸の生き物を思い浮かべます。ところが、北極の海の底に積もった泥の中で、菌類が炭素を閉じ込める重要な働き手になっている。そんな研究結果を、ドイツ・ミュンヘン大学(...
地球科学

融ける永久凍土に、CO2を吸い込む働きが見つかった——チベット高原50河川の調査

永久凍土(えいきゅうとうど)が融けると、閉じ込められていた炭素が放出されて温暖化がさらに進む——気候の話でよく聞く、この一方通行の図式に「例外」が見つかった。スウェーデンのウメオ大学と中国の華東師範大学の研究チームが、チベット高原の50本の...
地球科学

【地球年表14】新生代 新第三紀 – 地中海が干上がった時代

新第三紀は、約2303万年前から約258万年前まで続いた、新生代の2番目の紀です。前半の中新世(2303万〜533万年前)と、後半の鮮新世(533万〜258万年前)に分かれます。前には哺乳類が空いた席を埋めていった古第三紀があり、後ろには氷...
科学・環境

街路樹が空気を悪くしていた – 排出量1割の植物がオゾン生成の半分を担う理由

都市に木を植えるのは、文句なしに良いことだと思われてきました。日陰ができて涼しくなり、二酸化炭素を吸い、景観も良くなる。ところが2026年8月20日付のScience Advancesに、その前提を揺さぶる研究が載りました。中国・北京の大気...
地球科学

【地球年表09-2】古生代 ペルム紀 – 史上最大の絶滅

ペルム紀の終わりに、地球の生き物は顕生代で最大の打撃を受けました。古生代はここで幕を閉じ、次の三畳紀から中生代が始まります。五大絶滅と呼ばれる大きな絶滅のうち、規模でも後を引いた長さでも、これが群を抜いています。境界の基準になっているのは、...
テクノロジー・エネルギー

クラゲが原発を止めた——しかも2年連続、ほぼ同じ日に

2026年8月10日、フランス北部にあるグラヴリーヌ原子力発電所で、6基ある原子炉のうち3基が停止しました。さらに1基は出力を半分に落とし、フル稼働していたのは1基だけ(残る1基はもともと定期点検で停止中)。西ヨーロッパ最大の商業用原発が、...
エネルギー

川が熱いと原発が止まる理由——効率3割の設計が抱える宿命

2026年の夏、フランスで原子力発電所が次々と出力を落としたり、止まったりしました。6月下旬の熱波では、セーヌ川沿いのノジャン原発が出力を下げ、ガロンヌ川沿いのゴルフェッシュ原発では原子炉が1基停止。7月に入っても暑さは続き、ゴルフェッシュ...
地球科学

石炭をやめたら地球の裏側に雨が降った——緑を取り戻すアフリカ・サヘル

アフリカのサヘル地域が、緑を取り戻しつつあります。サヘルはサハラ砂漠の南縁に沿って、西のセネガルから東のエチオピアまで東西に延びる、幅800kmほどの半乾燥地帯です。1億5,000万人以上が暮らし、1970〜80年代には壊滅的な干ばつに見舞...
古生物学

最初の霊長類は熱帯ではなく「凍える北米」で生まれていた

サル・類人猿・そして私たちヒトを含むグループ「霊長類」は、どこで生まれたのか。この問いに対する答えは、長いあいだ「暖かい熱帯の森」で決まりだと思われてきました。ところが、英レディング大学のホルヘ・アバリア=リャウトゥレオ博士らの研究チームが...
科学・宇宙

世界の蝶の10種に1種が引っ越していた——15の言語をまたいで集めた6,182件の記録から

庭で見かける蝶の顔ぶれは、意外と入れ替わります。子どものころ図鑑で「南の蝶」として覚えた種類が、いつのまにか近所を飛んでいる。そういう感覚を、世界規模の数字で裏づける研究が発表されました。オーストラリアのモナシュ大学を中心とする国際チームが...
地球科学

ドナウ川の水が引き、1944年の船団とマンモスの骨が現れた

ヨーロッパで2番目に長いドナウ川が、この夏の熱波と干ばつで各地の観測記録を塗り替える低さまで下がりました。川底が露出した結果、1944年に沈められた船団、第二次大戦の砲弾、そして氷河期のマンモスの骨が、それぞれ別の国で姿を現しています。ただ...
気候・環境

南極内陸で-84.1℃——地球で14年ぶりの寒さと、同じ冬に出た正反対の記録

2026年7月18日の朝、南極大陸の内陸にあるコンコルディア基地で、気温計が-84.1℃を示しました。現地時間の6時25分と6時34分、2回にわたって。地上の気象観測点で測られた気温としては、地球のどこを見ても2012年以来14年ぶりの低さ...
地球科学

山火事が自分で入道雲をつくり、雷で次の火を点ける——フランスで初確認された「火災積乱雲」

山火事が、自分の頭の上に入道雲をつくることがあります。その雲が雷を落とし、落ちた先の森でまた火が起きる。火が自分で次の火種をまいていく、という循環です。これがこの夏、フランスで初めて確認されました。北米やオーストラリアの大規模火災ではかねて...
生物

深さ613メートルの穴の底で、木は暗さに適応しすぎた

中国南西部の石灰岩地帯には、地面にぽっかりと口を開けた巨大な穴が点在しています。切り立った崖に囲まれた穴の底には、外の暑さや乾燥から守られた湿った森があり、地上から姿を消した珍しい植物がそこだけで生き延びていることがあります。長らく「自然の...
気候・環境

ペンギンのフンの色を宇宙から30年分たどる——南極の食物網が見えた

南極のペンギンが何を食べていたかを、現地に行かずに調べる方法がある。フンの色を、衛星から見るのだ。クレムソン大学などのチームが、NASAとUSGSが運用する地球観測衛星「Landsat(ランドサット)」の画像を1984年から2013年まで3...
地球科学

地球には「天然のサーモスタット」があった——海面とリンが握っていた気候調節の仕組み

地球は1億年以上ものあいだ、生き物が暮らせる気温の範囲から大きく外れずにきた。まるで気温を一定に保つ「サーモスタット(自動温度調節装置)」が働いているかのように——という見方は、地球科学では前から知られていた。ただ、その装置がどう動いている...
生物

コアラのDNAが語る「10万年前の大激減」——人類が来るより前に数は崩れていた

コアラの数が大きく落ち込んだのは、約10万年前——人類がオーストラリアにたどり着くよりずっと前のことだった。オーストラリアと米国の研究チームが、457頭ぶんのコアラのゲノム(遺伝情報のまとまり)を解析して、そう報告した。減少のきっかけは人で...
気候・環境

地球温暖化はこの10年で”加速”していた——統計ではじめて確認

地球の温暖化が、この10年で「速くなっている」——それが統計のうえではっきり確認された、という研究が発表されました。気温が上がり続けていること自体はよく知られていますが、そのペースまで上がったのかどうかは、これまで数字のうえで言い切れずにい...
気候・環境科学

ヨーロッパの気候を支える海流「AMOC」、今世紀末に約半分まで弱まる推定

大西洋には、熱帯の暖かい海水を北へ運ぶ大きな海の流れがあります。ヨーロッパの冬をやわらげているのも、この流れのおかげです。その流れが、これまで考えられていたより強く弱まるかもしれない——2026年4月にフランスの研究チームが発表した論文が、...
医学・健康

大気CO2の上昇、人の血液にも表れていた

大気の二酸化炭素(CO2)が増えている、という話はよく聞きます。気候変動の原因として語られることがほとんどですが、その影響は空の話にとどまらないかもしれません。オーストラリアの研究チームが、過去20年あまりのアメリカ人の血液データを調べたと...
テクノロジー・エネルギー

「海の雲を明るくする」気候対策、エルニーニョを弱め世界の天気を変えるおそれ

地球を冷やすために「海の上の雲を人工的に明るくする」という案があります。太陽の光を雲でより多く跳ね返して、温暖化のブレーキにしよう、という発想です。ところが、その案を太平洋のある海域で実行すると、エルニーニョのサイクルが大きく弱まって、世界...