神経科学

人体・脳

くすぐったい場所は文化を越えて同じだった――ただし「敏感な場所」ではなかった

脇の下、足の裏、おなか。人をくすぐるとき、たいていの人が同じような場所を狙います。これが日本の話ではなく、中国でもオランダでもギリシャでも同じだった、という調査結果が出ました。オランダのラドバウド大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究...
生物

ハエのオスの神経系166,700個を全部つないだら、メスとの違いは5%の細胞に集まっていた

キイロショウジョウバエのオス1匹分の中枢神経系——脳と、その下に続く腹側神経索(ふくそくしんけいさく)——に含まれる神経細胞166,700個を、1個も飛ばさずに配線図にした、という報告が出ました。細胞どうしのつなぎ目(シナプス)も数百万個ぶ...
テクノロジー

角砂糖ほどの装置に薬と光を積む——インターネットでつながった脳インプラント

シカゴの机の前に座った研究者が、キーボードをたたく。その命令はインターネットを通って地球の反対側へ渡り、韓国・大田(テジョン)の実験室にいるラットの脳のなかで、装置が薬を出す。距離にして10,596キロ。命令が届いて反応が返るまで、平均でお...
医学・健康

油をよく食べるようになったマウス——視床下部のOPA1が担っていた役割

油っこいものを前にすると、量の加減がきかなくなる。この現象を、脳のなかのたった1個のタンパク質から説明しようとした研究があります。大阪公立大学の松村成暢教授らの研究グループが、マウスを使って調べた結果です。調べたのは、食欲のブレーキ役を担う...
脳科学

0.1秒の「さざなみ」が脳の離れた場所をつなぐ——人の脳内で直接とらえた同期の瞬間

脳の中を、1秒間におよそ90回のリズムで震える、ごく短い電気の振動が走っています。「リップル」と呼ばれるもので、続く時間は0.1秒足らず。名前のとおり、水面のさざなみのような小さな揺れです。このリップルが、離れた脳の領域どうしをつなぐ「合図...
生物・動物

犬が見分けた感情、見分けられなかった感情——MRIが映した脳の反応

オーストリアのウィーン大学のチームが、起きたままの飼い犬をMRIに入れて、人の顔写真を見せるという実験をおこないました。麻酔もなし、押さえつけもなし。犬は自分でスキャナーに入り、あご置きに頭をのせて、10分ほどじっと伏せています。その状態で...
脳科学

マジックマッシュルームの成分で脳はばらばらにならない?5年がかりのNature論文が見つけた隠れた秩序

マジックマッシュルームの成分「シロシビン」を摂った脳は、活動がばらばらになって無秩序に陥る——これが、この分野で長く共有されてきた理解でした。ところが、オーストラリアのモナシュ大学のチームが5年をかけて集めた大規模な脳画像データから、その「...
生物

タコの賢さの正体は、細胞の中の「切れ目」かもしれない

ハーバード大学の研究チームが、タコの細胞の中に、ほかのどんな動物にも見つかっていない構造を見つけました。しかもきっかけは、大学院生が「実験に失敗した」と思った一件です。5年かけて追いかけた結果は、2026年7月29日に Current Bi...
脳科学

「ミニ脳」を5年育てたら、細胞が時間を記録していた

人のiPS細胞などから作る、脳に似た小さな組織——脳オルガノイド、通称「ミニ脳」。これを5年以上にわたって育て続けることに、ハーバード大学のパオラ・アルロッタ氏らのチームが成功しました。これまで公表されていた最長記録は2年弱で、通常は数か月...
脳科学

シナプスの半分が消えても記憶は残った——人工冬眠マウスが揺さぶる「記憶=つながりの強さ」説

脳のシナプス(神経細胞どうしのつなぎ目)が半分以上消えたのに、記憶はまるごと残っていた——そんな実験結果が報告されました。沖縄科学技術大学院大学(OIST)と筑波大学などの研究チームが、マウスを人工的に「冬眠」させる実験で確かめたもので、論...
脳科学

2か国語を話す脳には、文法のエンジンがひとつしかなかった

英語とスペイン語をどちらも不自由なく使える人に、脳の活動をミリ秒単位で追える装置をつけてもらう。そのうえで、画面に出た名詞を単数形にしたり複数形にしたりして、声に出してもらう。すると、どちらの言語を話しているときも、脳の同じ場所が、ほとんど...
医学・健康

てんかんの発作が脳に広がる様子を、毎秒4立体で撮る顕微鏡

てんかんの発作は、数秒のうちに脳を走り抜けていく。その広がり方を、平べったい断面ではなく立体のまま、途切れさせずに撮ることに成功したという研究が出た。米ジョージア大学のチームが作った顕微鏡で、実験魚の稚魚の脳に起きた発作を毎秒4回の立体撮影...
医学・健康

狙いにくい「タウ」を減らして進行を遅らせた、アルツハイマーの実験薬

アルツハイマー病の薬というと、この数年で承認されたものはどれも「アミロイドβ」というタンパク質を狙うものでした。もうひとつの犯人とされながら、これまで薬で減らすのがとても難しかった「タウ」を標的にした実験薬が、早期のアルツハイマー病で認知機...
医学・健康

利き手が器用なのは生まれつきではなかった——技量は練習で育つという研究

右利きの人は右手で字を書くのがうまく、左利きの人は左手でうまく書ける。この「利き手のほうが器用」という感覚は、生まれつき備わっているものだと思われがちです。ところが最近発表された研究は、その器用さのほうは生まれつきではなく、使い込んだ結果と...
医学・健康

2度目の妊娠は、1度目と同じようには脳を変えない

妊娠すると、女性の脳は作り変わる。これは2017年ごろから繰り返し確かめられてきた話です。ただ、これまで調べられてきたのは「1人目のとき」だけでした。じゃあ2人目のときはどうなるのか。同じことがもう一度起きるのか、それとも違うことが起きるの...
医学・健康

コカイン“一度きり”で、脳細胞のゲノムに残る変化

コカインをたった一度使っただけで、脳の細胞のゲノムに二週間以上残る変化が刻まれる——マウスでそんな結果が出た、という報告が出ています。ふだん依存の研究では「くり返し使ううちに脳が変わっていく」という流れが語られますが、今回わかったのは、初回...
医学・健康

星形の脳細胞が出す分子で、加齢とアルツハイマーの認知低下がやわらぐ

脳の中で神経細胞(ニューロン)を陰から支えている「アストロサイト」という星の形をした細胞があります。この細胞が出す「hevin(ヘビン)」という分子を増やしてやると、加齢で衰えたマウスと、アルツハイマー病モデルのマウスの両方で、認知テストの...
医学・健康

アルツハイマーに「抵抗する」脳がある——未成熟な神経細胞が鍵か

脳の中にアルツハイマー病の変化がしっかり出ているのに、記憶もはっきりしていて、生前は認知症の症状がほとんど出なかった——そんな人が、実は少なくないことが知られています。アルツハイマー病になった高齢者のおよそ3割が、症状を経験しないまま過ごす...
医学・健康

なぜ眠ると頭がすっきりするのか――徹夜で増える「脳のつながり」をPETで捉えた

ひと晩しっかり眠ると、なんとなく頭がすっきりする。その理由のひとつが、脳の中で起きている「配線の整理」にあるのかもしれません。起きている間に伸びて増えたシナプス(神経細胞どうしのつなぎ目)を、眠っている間に刈り込んで整える——そんな仮説が長...