「これ、ぜんぶChatGPTで作ったやつだよね」——そう言われて街を見回すと、確かに似たような張り紙やチラシがあちこちに貼られている。暗い背景に派手な文字、なんだか見覚えのある構図。テクノロジー系メディアの404 Mediaが2026年7月8日、こうした“生成AI製の掲示物”が街とSNSにあふれる現象を追った記事を公開した。書き手のジェイソン・ケブラー記者は、いちど気づいてしまうと、サーフィン教室の立て看板から閉店セールの告知、パーティの招待状まで、どこを見てもそれらしいチラシが目に入るようになった、と書いている。
きっかけになった言葉が「ChatGPT flyer pandemic(ChatGPTチラシのパンデミック)」だ。先月あるSNS投稿が「このChatGPTチラシのパンデミック、そろそろ誰か何とか言わないの?」と書いて広まり、それがそのまま記事のタイトルにもなった。

一目でそれとわかる「共通の型」
この手の張り紙が厄介なのは、作った本人が思うほどオリジナルに見えないところにある。むしろ「見ればChatGPT製とわかる」ほど型が決まっている。暗い背景に、明るくて派手な太字の見出し。その脇に、生成AIで作ったか加工した画像。内容になんとなく合わせた汎用アイコンが小さな囲みのなかに箇条書きで並び、文字からは強調の線が伸び、太字や下線、そして大量の矢印とチェックマークがあちこちに散らばっている。ケブラー記者は「どれも基本的に同じ見た目だ」として、言葉で説明するより実物を見せたほうが早い、とまで書いている。
街とSNSに広がる張り紙
挙げられている例は世界中に及ぶ。ベルリンのドラッグ配達、フランスでのワールドカップ観戦パーティ、サウスカロライナの不用品回収サービス、テキサスの募金活動——。ロサンゼルスのベニスビーチではサーフィンレッスンの立て看板に、インスタグラムではスケートボード店の閉店セールに、そして友人から届くバーベキューの誘いやコンサートのポスターにまで、同じ“型”が入り込んでいた。オンラインで出回るだけでなく、実物のポスターや看板、掲示板にまで広がってきた——というのが、この記事のいちばんの眼目だ。
デザイナーや小さな店主たちの反発
この現象に敏感に反応しているのは、デザインに手をかけることを大事にしてきた人たちだ。グラフィックデザイナー、ミュージシャン、こだわりのあるバーや小さな店の店主——そういった層のあいだで「ChatGPTチラシのパンデミック」は共通の話題になっている。
パロディも生まれた。あるユーザーが投稿して広まった“ネタ”のチラシは、まさにこの型そっくりの見た目で「あなたのチラシはゴミみたいだ」と大書きし、「もしこれがあなたのチラシなら、私は行かないし、寄付もしないし、シェアもしない。誘わないで」と続けていた。作り手が「それらしく仕上げた」つもりのものが、受け手には逆に「手を抜いた」と伝わってしまう——皮肉はそこにある。
「安く速い」ことの裏側
生成AIでチラシを作ること自体は、安くて速い。デザインの心得がなくても、それなりに見栄えのするものが数分ででき上がる。問題は、その「それなりに見栄えのする」ゴールが、みんな同じ場所になってしまうことだ。同じツールに同じように頼めば、似た構図・似た配色・似た装飾が返ってくる。量産されるほど「見覚えのある型」が強まり、かえって“AIで済ませた感”が際立つ。手軽さと引き換えに、ほかと違って見せる力のほうを手放している、とも言える。
こうした光景は、フィードを埋めつつあるAI生成コンテンツ——いわゆる「スロップ」——の氾濫と地続きだ。ただ、チラシの話がなまなましいのは、画面のなかだけでなく、通りすがりに目に入る現実の掲示物にまで届いてきた点にある。日本でも生成AIで手軽に画像やチラシを作る人は増えており、同じ型を街で見かける日はそう遠くないのかもしれない。
ケブラー記者が書くように、いちど気づいてしまうと、あとはもう、その型が街のいたるところに見えてくる。
出典
元記事:We Are Living in a ‘ChatGPT Flyer Pandemic’(404 Media、Jason Koebler、2026年7月8日)
関連:LinkedIn and X Are Flooded With AI Spam, Browsing Data Suggests(404 Media)——AI生成コンテンツがフィードにどれだけ広がっているかを扱った記事。


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