米気象衛星GOES-19が突然停止、ハリケーン期に空白の一日

科学・宇宙
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米国の気象観測を支える静止衛星GOES-19が、7月15日に突然データを送らなくなりました。しかも大西洋のハリケーンシーズンの真っ最中です。復旧までの数日間に何が起きていたのかを、NOAAの運用メッセージをたどりながら整理します。

7月15日、GOES-19が突然のセーフホールド入り

NOAA(米国海洋大気庁)の運用部門が最初のメッセージを出したのは、日本時間7月16日の朝でした。GOES-19からのすべてのプロダクトと派生データが、予報現場の端末システム(AWIPS)や配信系(GRB、PDA、SWPC)に届かなくなったという内容です。停止が始まった時刻は7月15日20時23分UTC、米東部時間では15日の夕方5時ごろにあたります。

衛星は「セーフホールド」と呼ばれる保護モードに入っていました。機体が自分で異常を検知して、姿勢や電力の確保といった生存に必要な機能だけを残し、観測機器を止めてしまう状態です。原因の切り分けが済むまで、地上からのんびり操作しても勝手には戻りません。NOAAは異常の発生源として衛星本体か観測機器を疑っている、とだけ書いていました。

GOES-19が担当している空

GOES-19は2024年6月25日にファルコンヘビーで打ち上げられ、2025年4月7日から「GOES-East」の運用機として西経75.2度の静止軌道に就いています。高度はおよそ3万5800キロ。地球の自転と同じ速さで回るので、同じ範囲をずっと見続けられます。

その範囲が、米国本土の東半分から中南米、カリブ海、メキシコ湾、そして大西洋です。搭載しているABI(先進ベースラインイメージャ)は数分おきに画像を更新し、雲や水蒸気だけでなく、砂じん、煙、火災、海面水温まで拾います。GLMという雷放電を捉える装置や、太陽側を監視する機器も載っています。海の上にはレーダーも観測所もほとんどないので、大西洋で生まれたばかりの熱帯波を見つける手段は事実上これしかありません。

止まったタイミングの悪さ

停止したのは大西洋のハリケーンシーズンのただ中でした。同じころ、カナダの山火事の煙が北東部に流れ込み、ボストンやニューヨークの空が赤茶けていた時期でもあります。煙の広がりを追うのも、この衛星の得意分野です。テキサスの洪水、太平洋側の熱帯低気圧の監視にも使われていました。予報現場からすれば、いちばん見たいものが見えなくなった数日間ということになります。

実際に代役を務めたのはGOES-18だった

NOAAは静止気象衛星を4機持っていて、GOES-19(East)とGOES-18(West)が運用機、GOES-16とGOES-17が軌道上で待機している予備機です。GOES-16は2025年6月から正式にバックアップ機の位置づけになっていて、GOES-19が長期間戻らなければこれを起こして使う計画になっていました。

ただし、そこには時間がかかります。予備機は西経104.7度あたりに置かれていて、GOES-Eastの位置まで動かして各機器を立ち上げ直すには数週間かかると見られていました。今回のように数日で戻る見込みがある異常では、割に合いません。

そこで実際に使われたのは、運用中のGOES-18でした。NOAAのSTARが配信している気象台向けの画像は、停止のあいだGOES-19の代わりにGOES-Westのデータから作られていました。西から斜めに見ることになるので、米国の東の端では画像が引き延ばされたように歪みます。NOAA自身も「GOES-Westのデータを使う以上避けられない」と断ったうえで配信を続けていました。冗長設計というと予備機の存在に目が行きますが、実際にすぐ効いたのは、隣を見ている運用機で視野を無理やり伸ばすほうだったわけです。

復旧の経過

セーフホールド自体は、日本時間の16日中には解消しています。NOAAは観測機器の再起動準備に入り、全機器を通常運用に戻すまでの工程を8時間ほどと見積もっていました。米東部時間16日午後4時45分、ABIの画像配信が再開します。停止から丸1日ほどでした。

ただし全機能が同時に戻ったわけではありません。雷を観測するGLMと、太陽紫外線を撮るSUVIのデータは、その後も復旧待ちの状態が続きました。NOAAは17日にかけて7回目まで更新メッセージを出しています。この記事を書いている日本時間7月19日の時点では、NOAAの画像サイトの案内はGLMとSUVIの復旧を待っている状態のままです。異常の原因については、NOAAからの公表はまだありません。

留意点

  • 現在進行形の運用トラブルです。ここに書いた状況は執筆時点(日本時間2026年7月19日)のもので、その後に全機器の復旧や原因の公表があった可能性があります。最新の状態はNOAAの運用メッセージで確認してください。
  • 異常の原因はNOAAが公表していません。「衛星本体か観測機器が疑わしい」という切り分けの段階までしか出ていない情報です。
  • 予備機の投入にかかる期間は報道ベースの見積もりで、NOAAが公式に示した数字ではありません。

参考リンク

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