スペースXのロケット、2回連続で発射直前に緊急停止——ファルコン9とスターシップに何が起きたのか

科学・宇宙
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2026年7月、スペースXのロケットが立て続けに2回、発射直前で緊急停止しました。7月16日にはスターシップの飛行試験13回目が、7月20日にはファルコン9によるスターリンク衛星の打ち上げが、どちらもエンジンに火が入るかどうかというタイミングで止まっています。

「2回連続」と聞くと何か大きな問題が起きているように見えますが、実際に中身を見ていくと、この2件はだいぶ性格の違う出来事です。順番に整理していきます。

数日おきに2回の緊急停止

1件目は現地時間7月16日、テキサス州のスターベースで行われたスターシップの飛行試験13回目です。カウントダウンは最後まで進んだものの、エンジン点火のタイミングで異常が検知され、発射は中止されました。この試験は、新型のスターリンク衛星「V3」20基を弾道飛行の途中で放出する計画でした。

2件目は現地時間7月20日の朝、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から予定されていたファルコン9の打ち上げです。搭載していたのはスターリンク衛星24基。こちらは1段目の9基のエンジンが点火し始めた、まさにその瞬間に停止しました。機体はそのまま発射台に残り、被害は出ていません。

2件はおそらく無関係

数日のうちに2回も続くと共通の原因を疑いたくなりますが、両者を結びつける材料は今のところありません。そもそも機体がまったく別物です。ファルコン9の1段目はマーリン1Dエンジン9基、スターシップのブースター「スーパーヘビー」は次世代のラプターエンジン33基と、エンジンからして違います。Space.comも「2件に共通しているのは時期が近いことくらいだろう」という見方を伝えています。

そして、発射直前の緊急停止そのものは「事故」ではありません。ロケットは点火の前後に大量のセンサーで機体の状態を監視していて、少しでも規定から外れた値が出れば自動で止まる仕組みになっています。飛び立ってから問題が起きれば機体も衛星も失いますが、地上で止まれば原因を調べて仕切り直せます。今回の2件は、その安全装置が設計どおりに働いた結果と言えます。

対照的な2機のロケット

興味深いのは、この2機が置かれている立場の違いです。

ファルコン9は、現役で世界一よく飛んでいるロケットです。2026年はここまで84回打ち上げて失敗ゼロ。週に何度も飛ぶのが当たり前になっていて、緊急停止のニュースが出ること自体が珍しい機体です。今回の停止も、翌日の再打ち上げに向けてすぐスケジュールが組み直されています。

一方のスターシップは、まだ開発試験の真っ最中です。完全再使用と史上最大の打ち上げ能力を両立させようという機体で、13回目の飛行試験もその積み重ねの一部。今回の停止を受けて、スペースXはスーパーヘビーのラプターエンジン2基を交換したうえで、現地時間7月23日午後の再試験に臨む予定です。点火直前に問題を見つけてエンジンを交換し、また試す。開発中のロケットとしては地道で堅実な進み方です。

成熟した主力機と、試行錯誤の途中にある次世代機。同じ会社の中で、この2つが並行して走っているのが今のスペースXです。

今後の予定

止まった2件の打ち上げは、どちらも仕切り直しの日程が決まっています。

ヴァンデンバーグのスターリンク打ち上げは、協定世界時7月21日14時43分(日本時間の同日23時43分)ごろの打ち上げを目指して再設定されました。スターシップの飛行試験13回目は、前述のとおり現地時間7月23日午後の予定です。

留意点

この記事は2026年7月21日(日本時間)時点の情報で書いています。ファルコン9の再打ち上げは日本時間で本日深夜、スターシップの再試験は数日後に予定されているため、結果はまだ出ていません。最新の状況はスペースX公式サイトや各報道でご確認ください。

また、2件の緊急停止の詳しい原因について、スペースXから技術的な説明は公表されていません。「無関係の可能性が高い」というのも報道ベースの見方であり、断定できる段階ではない点にご注意ください。本文中の日時は特記のない限り現地時間です。

参考リンク

Twice in a row: SpaceX rocket aborts launch at last second again(Space.com)

SpaceX’s Starship Flight 13 test launch aborts at last second(Space.com)

Starlink Mission(SpaceX公式・ミッションページ)

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