「Don’t Panic」——Raspberry Pi 3A+で作る手のひらサイズの自作サイバーデッキ

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Raspberry Pi 3A+に正方形のタッチ液晶とBluetoothキーボードを組み合わせ、3Dプリントした箱形の筐体に収めた手のひらサイズの自作機がある。名前は「Don’t Panic」。設計者のPaul Rickards氏が、3Dモデルデータを3DプリントSTL共有サイトのPrintablesで(RolandJuno名義で)公開しているもので、ハードウェア系メディアのHackadayが2026年7月9日に取り上げた。

見どころは、完成品の見た目そのものより追試のしやすさにある。筐体のSTLデータだけでなく、部品表と組み立て手順までクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開されていて、同じものを作りたい人が最初から手順を追える。しかも構成は、まず動く最小限があって、そこに電池やスピーカーを足していける段階的な作りになっている。

「Don’t Panic」という名前とサイバーデッキ

この手の自作携帯機は「サイバーデッキ(cyberdeck)」と呼ばれる。既製品のノートやタブレットの形にとらわれず、キーボードや画面、電源を自分の好きなように箱へ詰め込んだ、DIYのポータブル計算機のことだ。市販機に埋もれない見た目になるのが持ち味で、この「Don’t Panic」も角ばった箱形で、いかにも自作という佇まいをしている。

名前の「Don’t Panic」は、SF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てくる架空のガイド本の表紙に、大きく親しみやすい文字で書かれている一言から取っている。設計者自身も、この箱形の外見が同作の雰囲気を思わせると書いている。ちなみにHackadayが冗談交じりに“譲れない”と念を押しているのが、本体上部に付いた持ち手だ。市販のパソコンには持ち手が少なすぎる、というわけである。

基本構成の部品

最小構成は3点。頭脳になるのがRaspberry Pi 3A+、画面がPimoroniの「HyperPixel 4.0 Square」という正方形の液晶で、設計者はタッチ対応版を使っている。入力はRiiの小型Bluetoothキーボード「518BT」。この3つがあれば、まず起動して使えるところまではいく。組み方としては、液晶をRaspberry Pi 3A+の上に載せ、対応する3Dプリントケースに収めてネジで留める、という流れになっている。

電池とオーディオの追加

持ち運んで電池で動かしたいなら、LX-2BUPSという5VのUPS(無停電電源)基板と、18650リチウムイオン電池2本を足す。電源のオン・オフには、小型のトグルスイッチを1つ入れる構成だ。

音を出したい場合は、PAM8403という小型のオーディオアンプ基板と、3W・8Ωの小さなスピーカー2個を組み込む。設計者は「これで良い音は期待しないように」と正直に書き添えている。アンプの音量調整用には、基板のボリュームにかぶせて筐体の外へ顔を出す、3Dプリント製のノブも用意されている。このあたりは必要な人だけが足せばよい追加分で、いずれも手順つきで示されている。

既存モデルを組み合わせた設計

この「Don’t Panic」は、ゼロから起こした完全オリジナルというより、複数の既存モデルを組み合わせた“リミックス”として作られている。キーボード周りと持ち手の形状は別の作者のサイバーデッキ「Cyberdore 2064」から、電源基板のケースは「LX-2BUPS Case」から取り込み、液晶を収めるケースはさらに別の作者が公開しているHyperPixel用ケースを使う、という具合だ。それぞれ寸法を少し調整したり、不要な部分を削ったりして一台にまとめている。作りたい人は、この元データの作者たちの成果もあわせて使うことになる。

完成時の重さは1ポンド3オンス、およそ0.5kg。手のひらサイズの箱に、計算機・画面・入力・電源・音までひと通り詰め込んで、この重さに収まっている。

追試するときに押さえておきたい点

手順が公開されているとはいえ、簡単に量産できるほど単純というわけでもない。設計者の説明を読むと、部品を筐体に押し込む場面が何度か出てきて、キーボードや電源部の収まりは「かなりきつい」とされている。裏を返せば、うまく入れば固定用のネジが要らないほどぴったり収まる設計でもある、ということだ。スピーカーの音質に期待しすぎないこと、液晶のタッチは使う・使わないを選べること、そして先に触れたとおり複数の元データを組み合わせる前提であること——このあたりを分かったうえで取りかかると、つまずきにくい。

市販のミニPCを買えば早い、という声はもっともだ。それでも、自分の手で持ち歩ける小さなLinux機を組み上げること自体を目的にする人にとっては、部品表と手順がそろって公開されているこの一台は、始めやすい入り口になっている。

出典

Hackaday: Get A Handle On This Compact Pi Portable
Printables(設計データ・部品表・組み立て手順): Don’t Panic Cyberdeck

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