「世界初」の家庭用コンパニオン・ヒューマノイド——中国Ubtechが量産型「U1」を発売

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「世界初のフルサイズ量産型コンパニオン・ヒューマノイド」——中国のロボットメーカーUbtech(優必選)が、そんな触れ込みの人型ロボット「UWorld U1」シリーズを発売しました。工場で働くロボットでも、展示場で客寄せをするロボットでもなく、家に置いて一緒に暮らすことを前提にした製品です。発表当日だけで13,000件を超える注文が入ったと同社は言います。

シリコン製の肌、まばたきする目、300種類の微表情。写真だけ見ると人間と見間違えそうな仕上がりですが、価格は約12万元から99万元(日本円でおよそ250万円〜2,000万円)。いったい何ができて、どこまで本当に「パートナー」になれるのか。発表内容と、実際のデモで見えてきた課題を整理します。

発表の概要

Ubtechは2026年6月30日、深圳で開いた発表会でU1シリーズを公開しました。同社は工場向けの産業用ヒューマノイド「Walker S」をすでに量産している会社で、ヒューマノイドメーカーとして世界で初めて株式上場したことでも知られています。そのUbtechが今回踏み込んだのが、一般家庭向けの市場です。

ラインアップは3種類。上半身のみの「U1 Lite」、全身型の「U1 Pro」、より高い運動性能をうたう全身型の「U1 Ultra」です。男性型と女性型が用意され、身長は男性型が183cm・体重42kg、女性型が168cm・体重35kgほど。価格はLiteの119,800元からUltraの990,000元までと、モデルによって大きな幅があります。安いほうでも高級車が買える金額です。

なお、購入・使用できるのは成人のみという条件が付いています。

「人らしさ」に振り切った設計

U1の最大の特徴は、動きや作業能力ではなく「見た目と反応の人間らしさ」に開発の重心を置いている点です。テスラのOptimusやFigure、UnitreeといったライバルたちがWalker同様に倉庫・工場向けを主戦場にしているのに対し、Ubtechはあえて逆方向に舵を切りました。

全身には88個のサーボ関節が入っており、同社によれば人間の日常動作の9割を再現できるとのこと。顔は300種類の微表情を出し分け、まばたきや視線合わせ、首をかしげる仕草もこなします。肌は毛穴やしわまで作り込んだシリコン製で、見た目だけでなく触った感触も人に近いとされています。

中身のAIも「感情」に寄せてあります。相手の視線・声のトーン・表情を読み取って会話する感情AIを搭載し、20種類以上の感情状態を9割超の精度で認識できる——というのが同社の説明です。このAIは端末内のプロセッサ(RockchipのRK3588)上でローカルに動き、利用者のデータはクラウドに上げず本体に保存される設計になっています。家に置く機械としては、この点は真っ当な判断だと思います。

発表前後で変わった売り文句

気になる動きもありました。発表前の宣伝段階でUbtechは、高齢者の世話、幼児の遊び相手、掃除、犬の散歩までこなすと、かなり幅広い能力をうたっていました。ところが正式発表の場では、こうした家事・介助の話はほぼ姿を消し、「話し相手・心の支え」というコンパニオン機能に絞った打ち出しに変わっています。

実際のデモでも、課題は隠れていませんでした。口の動きと音声のずれは20ミリ秒以下と謳われる一方、返答そのものに数十秒かかる場面があったとNew Atlasは伝えています。ステージ上を歩いてダンスも披露しましたが、動きはゆっくりで、キビキビ動く産業用ヒューマノイドの映像を見慣れた目には物足りなく映ったようです。連続稼働時間も2〜4時間ごとに充電が必要とされ、「いつでもそばにいる相棒」にはまだ距離があります。

受け止めと論点

それでも、発表当日に13,000件超の注文が入ったと同社は発表しています。背景には、中国で深刻化する高齢化と、世界的に広がる孤独の問題があります。人間の代わりに話を聞いてくれる存在への需要は、確かにあるのでしょう。

一方で、「決して反論せず、常に自分だけを見てくれる相手」と暮らすことが本当に健全なのかという問いも、発表直後から議論になっています。人との関係づくりがかえって難しくなるのではないか——SF作品が繰り返し描いてきたテーマが、値札の付いた製品として目の前に現れた形です。

留意点

この話題を読むうえで、押さえておきたい点がいくつかあります。

まず「世界初のフルサイズ量産型コンパニオンロボット」という肩書きは、Ubtech自身の主張です。「量産型」「コンパニオン用途」といった条件の切り方しだいで先行例の扱いは変わるため、第三者が検証した称号ではありません。

「日常動作の9割を再現」「感情認識の精度9割超」といった数値も、現時点ではすべて同社の発表値で、独立した検証はまだ行われていません。また、13,000件超という注文数は同社発表の数字で、New Atlasによれば、その多くは個人の消費者ではなく展示施設や政府調達によるものとみられています。予約には約3,000元の頭金が必要ですが、購入の確約ではないため、実際にどれだけ家庭に届くかは今後の出荷を見る必要があります。

出典

・New Atlas「’World’s 1st mass-produced humanoid robot’ motors to market in China」:https://newatlas.com/robotics/u1-worlds-first-mass-produced-humanoid-robot/

・South China Morning Post「UBTech’s lifelike humanoid robots built for companionship arriving in homes across China」:https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3358884/ubtechs-lifelike-humanoid-robots-built-companionship-arriving-homes-across-china

・Ubtech 公式サイト:https://www.ubtrobot.com/en/

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