二つの流星群が同時に極大 7月末の夜空で正反対の流れ星が同居する

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7月の終わりに、性格のまったく違う二つの流星群が、同じころに極大(活動がいちばん活発になるタイミング)を迎えます。みずがめ座δ(デルタ)南流星群と、やぎ座α(アルファ)流星群です。国立天文台は、みずがめ座δ南流星群の極大を7月31日ごろとしています。

片方は数が出るかわりに一つひとつが地味で、もう片方は数こそ少ないものの、ゆっくり流れる派手な火球を出す。ちょうど正反対の二つが、ひと晩の空に同居します。

ただ、今年の条件は良くありません。7月29日の夜に満月を迎えたばかりで、30日も31日も、日が暮れてまもなく月が昇り、そのまま夜が明けます。暗い流れ星は月明かりに溶けて、ほとんど見えなくなります。

同時期に極大を迎える二つの流星群

流星群は、地球が彗星などの残していった塵の帯を横切るときに起きます。帯の中に漂う小さな粒が地球の大気に飛び込み、空気との摩擦で高温になって光る。これが流れ星の正体です。粒の大きさは、多くが砂粒から小石ほど。地上まで落ちてくれば隕石と呼ばれますが、そこまで残ることはめったにありません。

今回の二つは、どちらも活動期間が長いのが特徴です。国際流星機構(IMO)の2026年版カレンダーによると、みずがめ座δ南流星群は7月12日から8月23日まで、やぎ座α流星群は7月3日から8月15日まで活動します。1か月以上にわたって、細く長く流れ続けるタイプです。

その中で、両方の極大が7月31日ごろに重なります。ただし、この日付は資料によって少しずれます。アメリカ流星学会は7月30日を極大としていて、海外の記事の多くはこちらを採っています。数字が割れるのは、この二つの流星群のピークがなだらかで、山の頂上がはっきりしないためです。とくにやぎ座α流星群は、数日にわたって同じくらいの活動が続く「台地のような」極大として知られています。

裏を返せば、日付を一日外したところで結果はほとんど変わりません。7月30日の夜でも、31日の夜でも、8月1日の夜でも、見える数はさほど違わないということです。

速度と明るさの対照

二つの流星群は、見え方がはっきり違います。手がかりは、地球に飛び込んでくる速さです。

みずがめ座δ南流星群の粒は、秒速41キロメートルで大気に突入します。流星としては中くらいの速さで、光跡はすっと素早く流れて消えます。理想的な暗い空で、放射点が真上に来る条件がそろえば1時間に25個ほど。数の面ではこちらが主役ですが、一つひとつは暗めで、NASAも「見つけにくい流星」と説明しています。月が出ていれば見えない、とまで書かれています。

やぎ座α流星群のほうは秒速23キロメートル。みずがめ座δ南のおよそ半分の速さで、目で追えるくらいゆっくり流れます。数は1時間に5個程度と控えめですが、そのかわり明るい流星が出やすい。ときおり火球と呼べるものが混じります。火球は、おおよそ金星よりも明るく光る流星のこと。一度出れば街明かりの中でも気づく明るさです。

放射点(流星が飛び出してくるように見える空の一点)も別々の場所にあります。やぎ座α流星群はやぎ座のあたり、みずがめ座δ南流星群はその東側のみずがめ座のあたりで、二つの間は30度あまり離れています。腕をいっぱいに伸ばしたときのこぶし三つぶんほどの距離です。どちらも南の空にあるので、視野に両方を入れて眺めることはできます。

満月直後という条件

問題は月です。満月になったのは7月29日の23時半ごろ。その翌日と翌々日ですから、月はまだほとんど真ん丸のままです。

東京の場合、7月30日は19時20分ごろに月が昇り、翌31日の朝6時ごろまで沈みません。31日は19時50分ごろに昇って、翌朝7時まで空にあります。日の入りが18時45分ごろ、空が完全に暗くなる天文薄暮の終わりが20時25分ごろですから、暗くなったときにはもう月が出ている計算になります。つまり今年は、月のない時間帯がありません。

さらに間の悪いことに、月の位置が最悪に近いところにあります。7月30日の深夜には、月は二つの放射点のちょうど中間、それぞれ20度弱の距離に居座ります。31日の深夜になると、みずがめ座δ南流星群の放射点から10度たらずのところまで近づきます。見たい方向のすぐ隣で、街灯のような光源が煌々と光っている状態です。

国立天文台がカレンダーに添えている見積もりは、1時間に2〜3個程度。さきほどの「理想条件で25個」という数字は、空が真っ暗で放射点が頭の真上に来た場合の計算値であって、予報ではありません。実際に日本で見上げたときに期待できる数は、その十分の一ほどまで落ちると考えたほうが現実的です。

東京での見え方と時間帯

それでも見に出るなら、時間帯は選んだほうがいいでしょう。放射点が低いうちは、流星が地平線の下を飛んでしまって数が減るためです。

東京付近では、やぎ座α流星群の放射点が真南に来るのが23時半ごろで、そのときの高さは地平線から44度ほど。みずがめ座δ南流星群のほうは、翌1時45分ごろに真南に来て、高さは38度ほどです。空が白みはじめるのは3時10分ごろ。両方をねらうなら、0時から3時のあいだが本命の時間帯ということになります。

海外の記事に「南半球のほうがよく見える」と書かれているのは、この高さの話です。二つの放射点はどちらも天の赤道より南側にあるため、オーストラリアや南米では頭の真上近くまで昇ります。日本から見ると、南の空の中ほどにとどまる。同じ流星群でも、緯度によって見える数が変わるのはこのためです。

観察の実際

道具は何もいりません。むしろ望遠鏡や双眼鏡は視野が狭くなるぶん不利で、流星群は肉眼で眺めるのが一番です。

今年に限っては、月をどう避けるかがほとんどすべてになります。建物や木の陰に月を隠せる場所を探し、月を直接視界に入れないようにする。そのうえで、放射点から30〜50度ほど離れた空を、なるべく広く見るのがこつです。放射点そのものを見つめると、流星が点にしか見えず、かえって見つけにくくなります。

目が暗さに慣れるまでには15分から30分ほどかかります。この間にスマートフォンの画面を見てしまうと、そこで振り出しに戻ります。時間を確認したいときは、画面の明るさを最低まで落とすか、赤い光のライトを使うといくらかましです。

あとは姿勢の問題で、真上を見上げ続けると首がもちません。レジャーシートやリクライニングチェアで寝転がるのが結局いちばん楽です。真夏でも夜露で冷えますし、屋外なら虫も来ます。長袖を一枚持っていくくらいの用意はしておいたほうがいいでしょう。

やぎ座α流星群の明るい火球なら、月が出ていても見えます。数を稼ぐのは無理でも、一つ見られれば十分に元は取れる——今回はそういう心づもりの夜になります。

母天体をめぐる議論

ところでこの二つ、塵をまき散らした親の天体については、事情がかなり違います。

やぎ座α流星群のほうは、比較的はっきりしています。2010年に発表された数値計算で、169P/NEATという短周期彗星が母天体として特定されました。この彗星は2002年に小惑星として発見され、のちに彗星活動が確認されて名前が変わったという経歴の持ち主です。計算によれば、いまから3500〜5000年前に母天体のおよそ半分が崩壊し、その残骸が塵の帯になったとされています。

面白いのはこの先です。地球はいま、その塵の帯の外縁をかすめているにすぎません。塵の本体は地球の軌道の内側を通っていて、地球の軌道と交わるようになるのは24世紀ごろと見積もられています。そのころには、やぎ座α流星群は主要な流星群のひとつになっているかもしれない——いま見ている数個は、まだ前触れということになります。

一方、みずがめ座δ南流星群の母天体は、いまだに決着していません。有力候補として名前が挙がるのは96P/マックホルツ彗星。1986年にアマチュア天文家のドナルド・マックホルツが発見した彗星で、5年余りで太陽を一周し、近日点では水星の軌道よりずっと内側まで飛び込みます。ただしNASAは「推定」という言い方をしており、アメリカ流星学会にいたっては母天体の欄に疑問符を付けたまま掲載しています。別の小惑星や、太陽観測衛星が見つけた小さな彗星を候補に挙げる研究者もいます。

候補が絞りきれないのは、この流星群の塵が古すぎるからです。ある研究は、みずがめ座δ南流星群のもとになった塵が2万年ほど前に放出されたと見積もっています。それだけの時間があると軌道が変形してしまい、どの天体から出たものかを逆算するのが難しくなる。八つの流星群と二つの彗星群、それに小惑星までを含む「96Pマックホルツ複合体」という大家族の一員だ、という捉え方も提案されています。

解釈上の留意点

数について、期待値を上げすぎないほうがいいと思います。流星の数の予測は、もともと幅が大きいものです。よく引かれる「1時間に25個」という数字は、条件を理想化した計算値で、予報ではありません。今年のように月が明るい年は、そこから大きく下がります。

極大の日付も、資料によって7月30日と31日に分かれます。この記事では国立天文台と国際流星機構にそろえて31日ごろとしましたが、どちらが正しいというより、ピークが平たいためにはっきり決められない、というのが実情です。

時刻や高度の数字は、東京付近を基準にした目安です。緯度が違えば放射点の高さも変わりますし、月の出入りも地域でずれます。お住まいの地域の正確な数値は、国立天文台の暦計算室などで確認できます。

母天体についても、上に書いたとおり確定した話ではありません。とくにやぎ座α流星群については、169P/NEATより条件のよい候補があるという指摘も出ています。

なお、次に条件の良い流星群を待つなら、8月12日から13日のペルセウス座流星群です。今年は8月12日が新月にあたるため、月明かりの影響をほとんど受けません。

出典

国立天文台「ほしぞら情報2026年7月 東京の星空・カレンダー・惑星」

International Meteor Organization「2026 Meteor Shower Calendar」(PDF)

American Meteor Society「Meteor Activity Outlook for July 25-31, 2026」

NASA Science「Southern Delta Aquariids」

Jenniskens & Vaubaillon (2010)「Minor Planet 2002 EX12 (=169P/NEAT) and the Alpha Capricornid Shower」The Astronomical Journal 139, 1822

Smithsonian Magazine「Keep an Eye Out for Two Stellar Meteor Showers Peaking This Week…」

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