ホンダの軽ベースEV「Super-N」欧州上陸、約2万5000ドルから

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ホンダの小型EV「Super-N(スーパーN)」が、英国で発売されました。価格は18,995ポンドから。日本円ではおよそ360万円前後、ドルにして約2万5000ドルという水準です。ベースになっているのは、日本で売られている軽「N-ONE e:」。日本の軽の設計思想がそのまま海を渡って、欧州の路上に並ぶことになります。

Super-Nの中身と価格

Super-Nは全長3,599mm、全幅1,573mm、車重1,097kg。前輪側に小型のe-Axle(モーター一体ユニット)を積み、通常時の出力は47kW(64馬力)、「BOOST」モードで70kW(94馬力)まで上がります。0-100km/h加速はBOOST時で10秒、通常時では14.5秒。バッテリーは29.6kWhのリチウムイオンで、50kWの急速充電なら30分で80%まで戻せます。

航続距離はWLTPの複合モードで128マイル(約206km)。ただしホンダは、市街地中心の「アーバン」WLTPでは199マイル(約320km)になるとしています。複合モードの数字だけ見ると心もとないものの、この車が主に走る場所を考えれば、実感に近いのは後者のほうでしょう。荷室はホンダおなじみの「Magic Seats(マジックシート)」で、後席を立てた状態で162リットル、倒して床下まで使う配置で967リットルまで広がります。

軽の走りをEVで演出する仕掛け

Super-Nで目を引くのは、EVをあえて「操っている感じ」に寄せている点です。ステアリングにはBOOST用のボタンがあり、押すと出力が上がるのに加えて、擬似的な変速(シフトチェンジ)の感覚と、エンジン音のシミュレーションが働きます。ホンダによれば、この音はインテグラ タイプRとシティ ターボを混ぜたイメージだそうです。

デザインの下敷きになっているのは、1980年代のホットハッチ「シティ ターボII」。張り出したフェンダーや空力を意識したダクトなど、往年のモチーフが小さなボディに落とし込まれています。EVらしい静かさや効率を突き詰めるより、小さくても運転が楽しい一台にする、という割り切りが感じられる作りです。演出過多と受け取る人もいそうですが、そこを狙って振ってきたのは間違いありません。

ホンダにとっての位置づけ

この発売は、ホンダの足元の状況と重ねると意味合いが変わってきます。ホンダは2026年3月期に、株式を公開した1957年以降で初めての通期赤字を計上しました。ネットで約2.6〜2.7億ドル規模のマイナスで、主因はEV事業に絡む減損・整理の費用です。あわせて、意欲的だった「0(ゼロ)シリーズ」EVやアキュラ「RSX EV」の中止も明らかにしています。

そうした大きな計画をたたんだあとに、小さくて手ごろなSuper-Nを西側市場に投入する。派手さはありませんが、身の丈から作り直すという意味では、EV戦略の仕切り直しの象徴とも読めます。少なくとも、これまで欧州で伸び悩んだ「Honda e」や「e:Ny1」とは、価格の付け方も狙う層もはっきり違います。

海外で軽はどう受け止められるか

日本の軽は、戦後の「安く実用的な足がほしい」という必要から生まれた区分です。寸法とエンジンを小さく抑える代わりに税制で優遇され、多くの人が車を持てるようにする——その仕組みの中で育ってきました。今では単に安いだけでなく、小さな車にも個性を詰め込める、という文化的なアイコンにもなっています。ホンダが海の向こうに持ち出そうとしているのは、まさにこの部分です。

ただ、Super-Nを「軽そのものが欧州で売られる」と受け取ると少しズレます。欧州に軽という区分はありませんし、Super-Nは軽のN-ONE e:がベースでも、トレッドを広げていて日本の軽の車幅枠は超えています。正確には「軽をベースにした小型EV」です。それでも、狭い道での取り回しやすさや、割り切った価格といった軽の美点は、欧州の都市部と相性が良さそうに見えます。128マイルという航続の短さをどう評価するか、そして「小さくて楽しい」という価値がどこまで通じるか。日本発の小さな車が海外でどう受け止められるのかを占ううえで、Super-Nは分かりやすい試金石になりそうです。

Super-Nは英国で6月22日から注文を受け付けています。日本の軽で培ったパッケージングと、あえて残した運転の楽しさを武器に、手ごろな価格帯のEVでどこまで存在感を出せるか。今後の受け止められ方に注目したいところです。

出典:New AtlasHonda(プレスリリース)

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