Claudeの共有リンクがGoogle検索に載っていた——「リンクを知る人だけ」の落とし穴

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AIチャットのClaudeには、会話や、その中で作ったアプリ・資料(Artifacts)を他の人に見せるための共有リンク機能があります。そのリンクで作られたページが、Google検索から誰でも探し出せる状態になっていた——7月25日の週末を境に、そんな指摘が海外で相次ぎました。

ただ、これは外部から侵入されたとか、データが盗まれたという類の話ではありません。共有ボタンを押した本人が作った公開ページが、想定より広い範囲に届いていた、という話です。そしてこの構図は、Claudeに限ったものでもありません。

発覚までの経緯

きっかけは、7月25日にReddit(海外の大型掲示板)のClaude関連コミュニティに投稿された指摘でした。Googleの検索窓に site:claude.ai/share と入れると、他人の共有した会話がずらりと並ぶ——そういう内容です。site:という記法は、指定したサイトの中でGoogleが索引に登録しているページを一覧表示させるもので、特別な技術は要りません。

投稿はRedditとXで急速に広がり、会話だけでなくArtifactsも同じように検索結果に出ていることが判明します。7月27日の朝(米国時間)にテック系メディアの404 Mediaが最初に報じ、TechCrunch、Axios、Fortuneなどが相次いで後追いしました。

リンク共有の仕組み

Anthropicの公式ドキュメントによると、Claudeの会話は既定では非公開です。画面右上の共有ボタンを押すと、その時点までのやりとりを写し取ったスナップショットが作られ、URLが発行されます。リンクを持っている人は誰でもそれを閲覧できます。共有したあとに続けたメッセージは非公開のままですが、いったん共有を解除してもう一度共有し直すと、新しい分まで含めた内容に更新されます。

そのスナップショットに何が入るかは、細かく決められています。会話本文とClaudeの返答、そして会話中に作られたArtifactsは含まれます。一方、アップロードした添付ファイルそのものは含まれず、MCP連携(外部ツールとつなぐ仕組み)で取得した生データも隠されたままになります。なお、TeamプランとEnterpriseプランでは、そもそも組織の外へ公開共有すること自体ができません。

ややこしいのは、Artifactsが会話とは別の仕組みで公開されている点です。Artifactsには「公開(Publish)」という独立した操作があり、公開するとサイドバーのArtifacts欄にも並びます。つまり、会話の共有を解除しても、そこから公開したArtifactsは別途止めない限り公開されたままです。

クロール禁止と掲載禁止の違い

ここが今回いちばん技術的に面白い部分です。SEO専門メディアのSearch Engine Journalが7月27日に実際の設定を調べたところ、次のようになっていました。

まず、claude.ai には robots.txt というファイルが置かれていて、共有ページのパス(/share/)を検索エンジンのクローラーに対して「読みに来ないでください」と指定しています。ここまでは対策が打たれています。

ところが、Googleの公式ドキュメントが明記しているとおり、robots.txt によるブロックは「クロール(読み取り)を止める」ものであって、「検索結果への掲載を止める」ものではありません。そのURLがどこか外部のページからリンクされていれば、Googleは中身を読まないままURLだけを索引に載せることがあります。掲載そのものを止めたいときに使うのは noindex という別の指定です。

そして noindex には条件があります。クローラーがページを読めて初めて効く、という点です。robots.txt で読み取りを止めていると、ページの中に noindex と書いてあってもGoogleはそれを見に行けません。両方を同時にかけると、後者が黙って無効になります。

Search Engine Journalが7月27日に確認したところ、共有ページは x-robots-tag: none というヘッダーを返していました。これはGoogleが noindex 相当として扱う指定です。つまり「載せないでください」という指示は出ているのに、その手前で読み取りを止めているせいで、その指示が届かない——そういう組み合わせになっていた、ということになります。同メディアは、Artifactsが置かれているパスについては robots.txt に記載自体がないことも報告しています。

ただし、この設定が週末の時点でも同じだったかどうかは、調べた本人も確認できていないと書いています。他媒体の多くは「noindexの指定がそもそも無かった」と報じており、そこは食い違ったままです。

検索結果に現れた内容

報道された中身は、種類だけ挙げると次のようなものでした。Futurismは、実在する患者の詳細な診療記録、患者名を含む治験の結果、小学生の名前と電話番号が載った文書、社内限定と記された企業文書、個人情報を含む人事評価を見つけたと報じています。Axiosは、Artifacts側に事業計画、複数クラウドの構成を説明した図、治験の実施計画を記した文書などが並んでいたとしています。Fortuneは、性的な内容を含む会話も混じっていたと報じました。

もっとも、Axiosは、それぞれのArtifactsを誰が作ったのか、記載されている情報が本物かどうかまでは確かめられなかったとも書き添えています。

AnthropicとGoogleの説明

Anthropicの広報担当Amie Rotherham氏は、会話を公開共有するかどうかは利用者が決められるようになっており、同社のプライバシー方針に沿って、チャットの一覧やサイトマップを検索エンジンに渡してはいないと説明しました。共有リンクは推測できるものではなく、本人が共有しない限り見つかるものでもない。誰かが会話を共有した時点でその内容は公開されたことになり、他の公開ウェブと同じように第三者のサービスに保存されうる——という立場です。検索結果に出るのは、フォーラムやSNSなどクローラーが見える場所にリンクが貼られたときだけで、個別に送ったリンクは検索に出ない、とも説明しています。

Googleの広報担当Ned Adriance氏は、どのページを公開するかを決めるのは検索エンジンではなく、これらのページは多くの検索エンジンで索引に登録されたと述べました。サイト運営者にはクロールと掲載を制御する手段を提供しており、その指示は常に尊重している、というのが同社の説明です。

この二つの説明は、いずれも「どうやってURLが見つかりうるか」には答えています。一方で、上に書いた設定の食い違いのほうには触れていない、というのがSearch Engine Journalの指摘です。

公開状況の確認手順

自分が何を共有したままにしているかは、数分で確認できます。心当たりがなくても、一度は見ておいて損はありません。

  1. Claudeの設定(Settings)を開き、プライバシー(Privacy)の項目へ進みます。
  2. Shared chats(共有したチャット)の横にあるManage(管理)をクリックすると、タイトル・共有した日付・リンクの一覧が出ます。共有したものが何もなければ「No shared content found」と表示されます。
  3. 見られたくないものは、それぞれの横のUnshare(共有解除)でリンクを無効にします。会話の画面から共有メニューを開き、公開範囲をPublicからPrivateに切り替えても同じことができます。
  4. Artifactsは別扱いです。サイドバーのArtifacts欄から公開中のものを開き、Unpublish(公開停止)を押します。ここで一点注意があって、いったん公開を停止したArtifactは、同じものを再び公開することができません。作り直しになります。永続ストレージを使っていた場合、保存されていたデータも消えます。

なお、この共有チャット一覧はFree・Pro・Maxプラン向けの機能として案内されています。TeamやEnterpriseでは、そもそも公開共有ができない設計です。

過去に起きた同種の事案

似たことは、これが初めてではありません。2025年9月にはForbesが、Claudeの会話数百件が検索エンジンに登録されていたと報じています。TechCrunchによれば、当時Googleは600件弱をインデックスしていたと見積もっていました。今回の規模がそれと同程度なのかどうかは、独立には確認されていません。

他社でも同じことが起きています。2025年8月、OpenAIは共有されたChatGPTの会話を検索結果から引き上げました。同じ年、404 Mediaは、公開共有の設定になっていたChatGPTの会話が10万件近く収集できたと報じています。さらにさかのぼると、2023年にはGoogle自身が、Bardの会話記録が検索に載らないよう手を入れています。

共有ボタンを持つ主要なAIサービスは、そろって同じところでつまずいてきた、ということになります。

現時点での留意点

まず、これは侵入や流出ではありません。本人が公開リンクを作ったページが、公開ウェブの一部として扱われた、という話です。ただ、「リンクを知っている人だけが見られる」と「検索すれば誰でも見つけられる」は、利用者から見ればかなり違う状態で、そのズレが今回の反発の中心にあります。

規模は分かっていません。上に挙げた600件弱という数字は前回の事案のもので、今回の確定値ではない点は押さえておいてください。

検索結果から消えることと、ページが消えることも別です。米国時間7月27日午後の時点で、TechCrunchが同じ検索を試したところ会話は返ってこなくなっていました。一方でAxiosは同じ頃、会話は出ないもののArtifactsはまだ検索結果に残っているのを確認しています。Bingのほうが消えるのが遅いという報告もありました。そして、露出していた期間に第三者がページを保存したという報道も出ています。いったん人目に触れたものを取り戻す手段は、実質ありません。

利用者側からできるのは、リンクを止めることまでです。検索結果からの削除申請は、そのドメインの所有者にしか行えません。

最後にひとつ。本記事の執筆時点では、この件についてAnthropicから広報コメント以上の公式な発表は確認できていません。今後の対応で状況が変わる可能性はあります。

出典

最初の報道(英語・本文は有料会員向け):Tons of Peoples’ Claude Chats and Creations are Exposed on Google(404 Media, 2026年7月27日)

経緯とAnthropicのコメント(英語):PSA: Your Claude shared chats and Artifacts may have ended up on Google(TechCrunch, 2026年7月27日)

Artifacts側の状況(英語):Users’ Claude creations are showing up in Google search(Axios, 2026年7月27日)

技術的な検証(英語):Indexed Claude Chats Show Why Disallow Is Not Noindex(Search Engine Journal, 2026年7月28日)

共有機能の仕様(Anthropic公式):Share and unshare chatsPublish and share artifacts

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