【ジュラ紀の生物】始祖鳥 – 羽毛は偽造だと言われた化石が、ひび割れと鉱物の模様で潔白を示した

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【ジュラ紀の生物】始祖鳥 - 羽毛は偽造だと言われた化石が、ひび割れと鉱物の模様で潔白を示した
名前始祖鳥(アーケオプテリクス、Archaeopteryx)。属名はギリシャ語で「古い翼」の意味。代表種アーケオプテリクス・リトグラフィカ(A. lithographica)の種小名は、化石が出る石版印刷用の石灰岩にちなむ
分類竜盤類 獣脚類 鳥類(アーケオプテリクス科)
時代ジュラ紀後期(約1億5000万年前)
発見地ドイツ南部バイエルン州のゾルンホーフェン周辺
全長最大級の標本でおよそ50cm。標本によって大きさに差がある
体重以前は200〜600gと見積もられていた。2009年の研究は、成体を約0.8〜1kg(ワタリガラスほど)と推定している

始祖鳥は、ジュラ紀後期のヨーロッパにいた、羽毛と翼をもつ小型の獣脚類です。鳥の系統の根元に近い動物として知られ、歯の並んだ顎、指の先の爪、骨の芯が通った長い尾といった恐竜の特徴と、風切羽のそろった翼を同時にもっています。いちばん有名な標本の羽毛は、1985年に「後から細工された偽物だ」と訴えられたことがあります。

姿と暮らし

始祖鳥の体は、羽毛に覆われた小さな獣脚類のつくりをしています。上下の顎には小さな歯が並び、前肢の3本の指は離れていて、それぞれの先に曲がった爪があります。尾は長く、骨が先まで連なっていて、その両側に羽根が1枚ずつ並びます。いまの鳥の尾は短い骨の塊(尾端骨)に羽根が扇形に付きますが、始祖鳥にはこの塊がありません。

一方で、腕には左右非対称な風切羽が並び、翼の形がそろっています。2025年に記載された14番目の標本「シカゴ始祖鳥」では、上腕の骨に沿って生える三列風切という羽根が両方の翼で確認されました。翼と胴のすきまを埋める羽根で、鳥に近い羽毛恐竜には見つかっていません。同じ研究は、足の裏のふくらみが、獲物をつかむためではなく地面を歩くのに向いた形だったことも示しています。

化石が出るゾルンホーフェンの石灰岩は、塩分の濃い潟の底にたまった、きめの細かい泥が固まったものです。当時のこのあたりは、乾いた島々が浅い海に散らばる地域で、島には背の低い針葉樹やソテツの仲間が生えていました。潟の底は生き物がすみにくい環境だったため、沈んだ死骸が荒らされずに残り、羽毛の跡まで写し取られました。同じ石灰岩からは翼竜や小型の恐竜コンプソグナトゥスも見つかっています。

成長の速さは、いまの鳥とは違っていました。2009年、フロリダ州立大学のグレゴリー・エリクソンらが骨の断面を調べたところ、始祖鳥の脚の骨は血管の少ない、ゆっくり育つ組織でできていました。成体の大きさになるまでに少なくとも970日かかったと推定され、成長の速さは鳥に近い恐竜と同じくらいで、生まれてすぐ歩きだす現生の鳥の3分の1ほどでした。

羽毛は偽造だと言われた化石

始祖鳥の化石は、進化論の歴史と重なって見つかりました。1860年にゾルンホーフェン近くで羽根1枚の化石が見つかり、翌1861年に古生物学者ヘルマン・フォン・マイヤーが報告します。同じ1861年、ランゲンアルトハイム近くの採石場から、羽毛の跡を伴う骨格が掘り出されました。ダーウィンの『種の起源』が出た2年後のことです。この標本は地元の医師カール・ヘーバーラインの手に渡り、1862年、大英博物館がほかのゾルンホーフェンの化石1,900点余りとまとめて700ポンドで買い取りました。購入を推したのは解剖学者リチャード・オーウェンで、翌1863年に記載を発表しています。これが現在ロンドン自然史博物館にある「ロンドン標本」です。1877年には、頭骨まで残った2体目の骨格がブルーメンベルク近くで見つかり、ベルリンに収められました。

それから120年あまりたった1985年、天文学者フレッド・ホイル、チャンドラ・ウィックラマシンゲらのグループが、写真の専門誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィー』に連載を載せ、ロンドン標本とベルリン標本の羽毛は偽造だと主張しました。小型の恐竜の骨格のまわりに石灰岩の粉で作った薄いセメントを塗り、そこに現生の鳥の羽根を押しつけて跡を付けた、という筋書きです。根拠として、羽毛の跡が主な石板にははっきり残るのに、割れた片側の石板にはかすかにしか残っていないこと、羽毛のある部分とない部分で岩の表面の質感が違うこと、などが挙げられました。

ロンドン自然史博物館のアラン・チャリグら5人は、標本を調べ直し、翌1986年に『サイエンス』誌に「始祖鳥は偽造ではない」という論文を発表しました。紫外線を斜めから当てて撮影すると、羽毛と骨格の上を横切る細いひび割れが見え、そのひびは割れた片側の石板の同じ位置にも続いていました。岩の中で育った二酸化マンガンの樹枝状の模様(デンドライト)が羽毛の跡の上に重なり、その模様も両側の石板で一致していました。セメントの層や継ぎ目は、断面で見ても見つかりませんでした。羽毛の跡が片側の石板に薄くしか残らないのは、ゾルンホーフェンの化石で普通に見られる割れ方の違いだと説明しています。別の標本では、羽毛の跡が骨の下にもぐり込み、その上にデンドライトが重なっていて、後から押しつけたのでは作れない配置でした。

ホイルらのグループはその後も反論を出しましたが、古生物学者のあいだで偽造説は受け入れられていません。ロンドン自然史博物館は1987年、双方の主張と調査の結果を並べた展示を開いています。20世紀に入ってからも始祖鳥の標本は見つかり続け、その多くに羽毛の跡が残っています。2025年のシカゴ始祖鳥は14体目で、CTで岩の中を撮影しながら掘り出され、これまで見えなかった羽根まで確かめられました。

系統の上の位置は、まったく揺れなかったわけではありません。2011年には、中国の羽毛恐竜シャオティンギアを加えた解析が、始祖鳥を鳥ではなくデイノニクスに近い側に置く結果を出しました。現在は、鳥の系統の根元に置く見方が広く使われていますが、鳥に近い羽毛恐竜が次々に見つかるなかで、「最初の鳥」という呼び方の境目は細かく検討され続けています。

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出典

Charig, A. J., Greenaway, F., Milner, A. C., Walker, C. A. & Whybrow, P. J. (1986). Archaeopteryx is not a forgery. Science 232, 622–626. https://doi.org/10.1126/science.232.4750.622

O’Connor, J. et al. (2025). Chicago Archaeopteryx informs on the early evolution of the avian bauplan. Nature. https://doi.org/10.1038/s41586-025-08912-4

Erickson, G. M. et al. (2009). Was dinosaurian physiology inherited by birds? Reconciling slow growth in Archaeopteryx. PLoS ONE 4, e7390. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0007390

Xu, X., You, H., Du, K. & Han, F. (2011). An Archaeopteryx-like theropod from China and the origin of Avialae. Nature 475, 465–470. https://doi.org/10.1038/nature10288

TalkOrigins Archive. On Archaeopteryx, Astronomers, and Forgery. https://www.talkorigins.org/faqs/archaeopteryx/forgery.html

TalkOrigins Archive. All About Archaeopteryx. https://www.talkorigins.org/faqs/archaeopteryx/info.html

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