2007年の ThinkPad が、まだ使える。Debian 13 ベースになった Raspberry Pi Desktop(PC 版)は、メモリ 450MB で起動し、インストールは「OK」を数回押すだけだった

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Raspberry Pi の OS は、手のひらサイズの Pi 本体で動かすものだと思われがちですが、ふつうの PC に入れられる版もあります。Raspberry Pi Desktop という名前の x86 版で、Debian という Linux を土台に、Pi と同じ軽いデスクトップを載せたものです。ところがこの PC 版は長いあいだ置き去りにされていました。Pi 本体向けが2023年に Debian 12、2025年秋に Debian 13 へ進むあいだ、PC 版は古い Debian 11 の時代で止まっていたのです。

その PC 版が、2026年10月にようやく Debian 13(Trixie)ベースで更新されました。Raspberry Pi のダウンロードページにはリリース日が10月13日と書かれていますが、ドイツの技術ブログは10月7日の時点で配布が始まっていたと伝えており、公開の正確な日付は資料によって少し違います。この新版を、The Register の Liam Proven が手元のいちばん古いノート PC に入れて試した記事が、10月24日に出ました。結論から言うと、2007年と2008年の ThinkPad で実用になったそうです。

どんな OS なのか

ダウンロードは2.6GB で、インストール後のディスク使用量は約8GB。土台は Debian 13 で、カーネルは Debian 標準の6.12 です。Debian 13 が32ビットの x86 を打ち切ったので、PC 版も64ビット(x86-64)だけになりました。以前の32ビット版からの上書き更新はできず、新規インストールになります。対応するのは x86 の PC と Intel 製チップの Mac で、Apple シリコンの Mac には対応していません。

起動時の表示は「PiOS 6.3」で、Pi 本体向けの9月の版とほぼ同じ中身です。画面の下か上に置くバーをドック風に切り替えられたり、設定ツールの raspi-config で画面描画の仕組み(Wayland ベースの labwc と従来の X.org)を切り替えられたりするのも、Pi 本体と同じです。デスクトップは Windows 95 に似た配置で、既定ではバーが画面の上にあります。最初から入っているアプリは Chromium、Firefox、テキストエディター、そして Pi 本体の持ち主向けの説明書類と、ごく基本的なものだけです。

Proven が強調しているのは、インストールの手軽さです。Debian そのものを入れると、何をダウンロードするか、どのデスクトップにするか、ネットワーク経由にするかなど、いくつも質問されます。Raspberry Pi Desktop の場合は、既存のパーティションに入れる細かい設定もできますが、基本は「OK」を数回押せば終わります。選択肢がひとつしかない代わりに、迷いどころもありません。

2007年の ThinkPad が、まだ使える。Debian 13 ベースになった Raspberry Pi Desktop(PC 版)は、メモリ 450MB で起動し、インストールは「OK」を数回押すだけだった

19年前のノートで、どこまで動いたか

試した機械は3台です。1台目は2008年の ThinkPad X200s。CPU は1.86GHz の Core 2 Duo、GPU は Intel の内蔵で、メモリだけ8GB に増設し、128GB の SATA SSD を入れてあります。この機械では、Wi-Fi、Bluetooth、有線 LAN、USB、音量ボタン、画面の明るさのキー、DisplayPort の外部ディスプレイまで、試したものは全部動きました。ネットワーク上のプリンターも自動で見つけて追加され、2.4GHz と5GHz の Wi-Fi にも問題なくつながったそうです。

2台目はさらに古い、2007年の ThinkPad X61 Tablet。メモリは2GB しかありません。それでも SSD を移して起動すると30秒以内に立ち上がり、Firefox と Chromium でウェブを見られました。ページの表示は遅かったものの、動いたのは動いた、という評価です。動かなかったのはタッチスクリーンだけで、これは Windows XP 以外では動いたことがない部品だと Proven は書いています。3台目は2008年の高級機 ThinkPad W500 で、AMD の GPU を積んだこちらでは、きびきび動いたそうです。

メモリは Lubuntu の半分

軽さの目安になるのがメモリの使用量です。何もしていない状態で450MB 弱、画面描画を X.org に切り替えるとさらに50MB ほど減ります。Ubuntu の中でいちばん軽いとされる Lubuntu は、Proven の試した26.04 版でこの約2倍のメモリを使っていました。Linux Mint の Xfce 版や Linux Lite、MX Linux といった「中量級」の配布版と比べても、要求する資源はずっと少ないとのことです。

もっと軽い Linux もあります。Alpine、antiX、Tiny Core などです。ただ、これらは軽い代わりに、デスクトップを自分で組み立てたり、カーネルやウィンドウマネージャーの選択肢が多すぎたり、アプリを足すのに相当の知識が要ったりします。Raspberry Pi Desktop は Alpine に Xfce を載せたのと同じくらいのメモリで動きながら、インストールははるかに簡単で、しかも Debian なので追加のアプリを入れやすい。Proven は Wine 11 で Microsoft Office 97 が動いたことまで確かめています。

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古い PC の行き先として

Windows の対応が切れた古いノート PC をどうするか、という問いに対して、The Register の FOSS デスクの現時点の答えがこの OS だ、と Proven は書いています。Google のアカウントが要る ChromeOS Flex と同じくらい軽く、しかしクラウドのログインは要らず、ローカルのアプリを好きなだけ入れられる。Windows XP 時代の25年前の機械には重すぎるが、Vista 時代の機械なら十分、というのが目安です。

ひとつ注意しておくと、ここに挙げた数字はいずれも Proven が自分の環境で測ったもので、機械によって変わります。また、Pi 側の開発者は PC 版を今後も原則として支え続けると述べているものの、確約はしていないと報じられています。2年遅れでようやく追いついた版でもあるので、次の更新がいつ来るかは分かりません。それでも、引き出しに眠っている古いノートがあるなら、USB メモリから起動して試すだけなら失うものはありません。インストールしなくても、USB メモリから直接動かすライブ起動もできます。

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