【石炭紀の生物】メガネウラ – 森の木々を縫って飛ぶ巨大トンボの姿は、翅のつくりと合わなかった

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【石炭紀の生物】メガネウラ - 森の木々を縫って飛ぶ巨大トンボの姿は、翅のつくりと合わなかった
名前メガネウラ・モニイ(Meganeura monyi)。属名はギリシャ語で「大きな翅脈」の意味
分類昆虫綱 オオトンボ目(メガネウラ科)。現生のトンボの遠い親戚
時代石炭紀後期(約3億年前)
発見地フランス中部アリエ県のコマントリー
翅を広げた幅約70cm
全長40cm近くとする資料がある
体重約100〜150gとする推定(ロンドン自然史博物館)

メガネウラは、石炭紀後期にいた、トンボに似た巨大な昆虫です。翅を広げた幅は約70cmで、現生でいちばん大きなトンボの3倍を超えます。地球の歴史で最大級の飛ぶ昆虫として知られ、石炭紀の沼地の森の中を飛び回る姿で図鑑や番組に描かれてきましたが、その飛び方は翅のつくりとかみ合いません。

姿と暮らし

メガネウラは、細長い胴に2対の長い翅をもち、大きな複眼の付いた頭で前方を見ていました。見た目は現生のトンボに近いものの、トンボそのもの(トンボ目)ではなく、その手前で枝分かれしたオオトンボ目に属します。英語では「グリフィンフライ」とも呼ばれ、メガネウラの仲間は石炭紀からペルム紀にかけて栄えました。

化石が出るコマントリーは、かつての炭鉱の町です。約3億年前、このあたりは山あいの盆地に湖が広がる場所で、周囲には巨大なヒカゲノカズラの仲間(リンボク)、トクサの仲間(ロボク)、木生シダ、コルダイテスと呼ばれる裸子植物が茂っていました。メガネウラ・モニイは1885年、フランスの昆虫学者シャルル・ブロンニャールが命名しました。コマントリーの町はこの昆虫を町の紋章にしています。

メガネウラは、ほかの昆虫を捕らえて食べる捕食者でした。脚のすねと足先には強いとげが並んでいて、現生のトンボが脚を籠のように組んで飛んでいる虫を捕まえるのと同じ使い方ができたと考えられています。幼虫は、現生のトンボのヤゴと同じく水の中で暮らしていたと推定されます。当時の空には、昆虫を食べる鳥もコウモリも翼竜もまだいませんでした。メガネウラの仲間は、空の最上位の捕食者として、約3000万年後に滑空する脊椎動物が現れるまでその座にいたことになります。

この大きさになれた理由として、当時の空気に酸素が多かったことがよく挙げられます。ただ、空に捕食者がいなかったことを理由に挙げる研究者もいて、どちらか一方だけでは説明しきれないという見方が出ています。

森の中を飛び回る姿は、翅のつくりと合わなかった

メガネウラ・モニイは最も有名な巨大トンボですが、化石の保存はよくありません。翅は大きく残っている一方、頭、とくに口と複眼のくわしい形は、ほとんど分かっていませんでした。そのため、図鑑やドキュメンタリーに描かれる姿は、翅と体のおおよその形に、現生のトンボの頭を当てはめたものでした。暮らしぶりも同じで、巨大なリンボクのそびえる石炭紀の湿地の森を、木々のあいだを縫って獲物を探す姿が定番になっています。

2018年、フランス国立自然史博物館のアンドレ・ネルらは、同じコマントリーから出た近縁のメガネウリテス・グラキリペス(Meganeurites gracilipes)の模式標本を調べ直しました。この標本には頭部がよく残っていたにもかかわらず、長いあいだ研究されていませんでした。調べると、顎は頑丈で鋭い歯が並び、複眼は大きく、特に上側が張り出していました。上方の遠くを見るためのつくりで、現生のトンボでは、開けた場所を飛び回って獲物を探す「ホーカー」と呼ばれるタイプに見られる特徴です。

研究チームはさらに、メガネウラ科の翅には、現生のトンボの翅にある「結節」という関節のような部分が無いことを重く見ました。現生のトンボは、この結節で翅をひねり、飛びながら急に向きを変えることができます。メガネウラ科にはこのしくみが無いため、トンボほど小回りはきかなかったと考えられます。メガネウリテスでも翅を広げた幅は約32cmあり、木々の茂った森の中を縫うように飛べば、長い翅はすぐに傷んでしまいます。

このことから研究チームは、メガネウラの仲間は茂った森の中ではなく、大きな川や湖の上、まばらな林、あるいは森の樹冠の上といった開けた空間を見回る捕食者だったと結論しました。メガネウリテスにとっては、同じ空を飛ぶさらに大きなメガネウラ・モニイが、自分を襲う捕食者だった可能性もあるとしています。メガネウラ自身の頭部の化石はまだ見つかっていませんが、近縁種の頭と翅のつくりからは、森の木々のあいだではなく、水辺や森の上の開けた空を飛んでいた姿が浮かびます。

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出典

Nel, A., Prokop, J., Pecharová, M., Engel, M. S. & Garrouste, R. (2018). Palaeozoic giant dragonflies were hawker predators. Scientific Reports 8, 12141. https://doi.org/10.1038/s41598-018-30629-w

Nel, A., Fleck, G., Garrouste, R., Gand, G., Lapeyrie, J., Bybee, S. M. & Prokop, J. (2009). Revision of Permo-Carboniferous griffenflies (Insecta: Odonatoptera: Meganisoptera) based upon new species and redescription of selected poorly known taxa from Eurasia. Palaeontographica Abteilung A 289, 89–121. https://doi.org/10.1127/pala/289/2009/89

Natural History Museum. Giant dragonflies. https://www.nhm.ac.uk/discover/giant-dragonflies.html

Garrouste, R. & Nel, A. (2018). Are the Palaeozoic era’s giant dragonflies still among us? The Conversation. https://theconversation.com/are-the-paleozoic-eras-giant-dragonflies-still-among-us-102384

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