木星の磁気円盤は、なめらかに上下する円盤ではなかった。ジュノーが10分に4回も電流シートを横切っていた理由

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木星は太陽系でいちばん大きな惑星で、磁気圏もそれに見合って巨大です。その磁気圏の中で、木星の速い自転と、火山だらけの衛星イオが吐き出す物質が作っている構造が「磁気円盤(マグネトディスク)」です。赤道面に沿って広がる、電流の流れる薄いシートで、木星の磁軸が自転軸から傾いているため、約10時間の自転に合わせてなめらかに上下する円盤だと考えられてきました。中国・山東大学の Ruilong Guo さんらは、NASA の探査機ジュノーのデータから、この円盤が実際にはさざ波のように波打っていることを突き止め、Science China Earth Sciences に報告しました。

1回転に2回のはずが、10分で4回

ジュノーは2016年から木星を回っていて、その軌道は磁気円盤の電流シートを横切ります。円盤が自転に合わせてなめらかに上下するだけなら、ジュノーがシートを横切るのは木星の1回転(9.9時間)に2回のはずです。ところが、研究チームが磁気リコネクションの起きている期間に注目してデータを見直すと、様子が違いました。

磁気リコネクションとは、向きの違う磁力線が近づいてつなぎ替わり、磁場に蓄えられていたエネルギーが粒子の運動に変わる現象です。地球ではオーロラの引き金になります。その期間、ジュノーは電流シートを何度も繰り返し横切っていて、10分の間に4回という例もありました。そして横切るたびに、ほぼ毎回、リコネクションに特有の磁場の変化と、加速された電子とイオンのバーストが記録されていたのです。

波は「伝わる」のではなく「回っている」

シートの向きがどう変わっているかを解析すると、円盤は単純に上下しているのではなく、表面に立つ波のように、よじれながらうねっていました。ひとつのうねりが続く時間は数分から1時間を超えるものまであり、決まった周期はありません。

地球の磁気圏の尾部でも、電流シートがうねる現象は知られています。ただし地球では、1か所のリコネクションの場所から「キンク波」と呼ばれるうねりが離れていく形で広がります。木星の場合はそうではありませんでした。リコネクションの兆候はほぼ毎回の横断で見つかり、周期もない。これは1つの波が伝わっている状況とは合いません。研究チームの結論は、経度にして約100度にわたって小さなリコネクションの場所が点々と散らばっていて、それぞれが磁力線を切り続けてはシートを平衡の位置から押しのけている、というものです。木星の磁気圏は速く回転しているので、その波打ったシートが丸ごと惑星と一緒に回っている。ジュノーはそこを通るたびに、別々のうねりに出くわしていたことになります。

イオの火山物質の行き先にも関わる

磁気円盤は、イオの火山から出た硫黄や酸素のイオンが木星の磁気圏の外へ運ばれていく通り道でもあります。シートがなめらかな円盤ではなく、無数のつなぎ替えの場所で波打っているとなると、そうした粒子がどう加速され、どこへ運ばれるかの見積もりが変わってきます。内側の磁気圏や極域のオーロラに高エネルギー粒子がどう届くか、電離圏と磁気円盤を結ぶ磁場のつながりがどう保たれているか。論文は、これらの問題に今回の描像が効いてくると指摘しています。

まだ回り続けるジュノー

ジュノーは延長ミッションに入っていて、2028年9月まで観測を続ける予定です。木星だけを専門に回った探査機は、1990年代のガリレオとジュノーの2機しかありません。なめらかな円盤だと思われていたものが、近くで長く見続けたら無数のさざ波でできていた。木星の磁気圏は、まだ単純な絵には収まらないようです。

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