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| 名前 | アロサウルス(Allosaurus)。ギリシャ語で「異なるトカゲ」の意味。背骨の骨がほかの爬虫類と違って軽くできていたことから。代表種フラギリス(fragilis)はラテン語で「壊れやすい」 |
| 分類 | 恐竜類 竜盤類 獣脚類 アロサウルス科(北アメリカのフラギリスとジムマドセニ、ポルトガルのエウロパエウスなど) |
| 時代 | ジュラ紀後期(約1億5700万〜1億5000万年前) |
| 発見地 | アメリカ西部のモリソン層(コロラド州・ユタ州・ワイオミング州など)。ポルトガルからも見つかっている |
| 全長 | 約8〜10m(ジムマドセニで8〜9m、ロンドン自然史博物館の推定で9.7m) |
| 体重 | 約1.8〜2.7t |
| 歯 | ふちがのこぎり状になった、短剣形の歯が約80本 |
アロサウルスは、ジュラ紀後期の北アメリカで最も多く見つかっている大型の肉食恐竜です。1877年にアメリカの古生物学者オスニエル・マーシュが、コロラド州で見つかった骨をもとに名前を付けました。ユタ州の州の化石でもあります。いちばん有名な標本は、1991年にワイオミング州で見つかった「ビッグ・アル」と呼ばれる若い個体で、全身の19か所の骨にけがや病気の跡が残っていました。この標本は長くアロサウルス・フラギリスとされてきましたが、2020年に別の種に移されています。
姿と暮らし
アロサウルスは後ろ脚で立って歩き、長い尾で体の釣り合いをとっていました。頭骨は細長く、目の前に小さな角のような突起が一対あり、そこから鼻先へ向かって低い隆起が続きます。前脚はティラノサウルスよりずっと長く、3本の指の先に大きく曲がったかぎ爪がありました。
暮らしていたのは、季節によって乾く川と氾濫原が広がる土地です。同じ地層からは、首の長い竜脚類のアパトサウルス、ディプロドクス、カマラサウルス、背中に板を並べたステゴサウルスなどが出ています。アロサウルスはこの土地で最も数の多い大型の捕食者でした。
2001年、英国の研究チームはアロサウルスの頭骨をCTで読み取り、コンピューター上で力のかかり方を計算しました。かむ筋肉の力は体の大きさのわりに弱い一方、頭骨は軽いのに、上からの強い衝撃に耐えられるつくりでした。チームは、口を大きく開けて頭ごと獲物に打ちつけ、歯で肉を切り裂いていたと考えました。この説には反論もあり、かむ力をもっと高く見積もる研究も出ています。
アロサウルスの骨が最も多く出るのは、ユタ州のクリーブランド・ロイド恐竜採石場です。ここでは1万2000点を超える化石が掘り出され、少なくとも74頭分のうち、46頭以上がアロサウルスでした。肉食恐竜がこれほど一か所に集まった理由は、干ばつ、泥にはまった獲物に集まった、水の汚染など諸説あり、まだ決まっていません。この採石場の大量の骨から、子どもから大人までのアロサウルスの成長が詳しく調べられています。
けがだらけの「ビッグ・アル」は、別の種だった
1991年、スイスの古生物学者キルビー・ジーバーが、ワイオミング州北部の町シェルの近くで、アロサウルスの骨を見つけました。場所は連邦政府の土地管理局(BLM)が管理する土地で、発掘はモンタナ州立大学のロッキー博物館、ワイオミング大学地質博物館、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館が行いました。骨格は全身の約95%がそろい、まだ成長途中の若い個体でした。ロッキー博物館の標本番号は MOR 693、愛称は「ビッグ・アル」です。
骨を調べると、19か所の骨に異常がありました。2002年にレベッカ・ハンナが報告したところでは、折れてから治った肋骨が数本、傷ついた手の骨、首・背中・尾の骨の異常などが並びます。右足の中指の骨には、感染によって大きく膨れ上がったこぶがありました。2015年に別の個体を調べたドイツ・スイスなどの研究チームは、ビッグ・アルの足のこぶについて、慢性的な痛みと歩きにくさを生んでいたと考えています。
ビッグ・アルは、2000年に英国BBCが放送した番組「ビッグ・アルのバラード」の主役になりました。けがを重ねながら生きた若いアロサウルスの一生を、骨の傷をもとにCGで描いた番組です。ロッキー博物館でも代表的な展示の一つとなり、アロサウルス・フラギリスの姿を伝える標本として扱われてきました。
1996年には、同じワイオミング州ビッグホーン郡のハウ牧場にある採石場で、スイスのアータール恐竜博物館がもう1体のアロサウルスを掘り出しました。全長7.6mの大人で、ビッグ・アルより1割あまり大きく、「ビッグ・アル2」と呼ばれています。2015年の研究では、この個体にも折れた肋骨や肩甲骨、感染した足の指など10か所以上の異常が見つかり、腰の骨の骨折を除いて、どれも治った跡がありました。
2020年1月、アメリカ・ユタ州の自然史博物館のマーク・ローウェンと、恐竜国立公園の古生物学者だったダニエル・チュアは、アロサウルスの新種ジムマドセニ(Allosaurus jimmadseni)を発表しました。もとになったのは、1990年に恐竜国立公園で見つかったほぼ全身の骨格です。頭骨は1996年、放射線の検出器を使った調査で見つかりました。種小名は、クリーブランド・ロイド採石場の骨を掘り出して研究したユタ州の古生物学者ジェームズ・マドセンにちなみます。
ジムマドセニの頭骨には、目の前の角から鼻先へ続く低い隆起が左右にあり、目の下の頬の骨の下縁がほぼまっすぐです。フラギリスにはこの隆起がなく、頬の骨の下縁はS字に波打っています。目の前の角も、ジムマドセニのほうが高くなっています。ジムマドセニがいたのはモリソン層の下のほうの地層で、約1億5700万〜1億5200万年前。フラギリスより少なくとも500万年古い、最も古いアロサウルスの種とされています。
論文は、この新種にほかの標本もいくつか加えました。その中に、ビッグ・アル(MOR 693)とビッグ・アル2(SMA 0005)が入っています。けがの跡から「アロサウルスの暮らし」を語る材料として使われてきた2体は、いまはフラギリスより古い別の種の個体とされています。ハンナやスイスの研究チームが読み取った傷の記録は変わりませんが、その傷を負ったのは、教科書のアロサウルス・フラギリスではありませんでした。




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出典
Chure, D. J. & Loewen, M. A. (2020). Cranial anatomy of Allosaurus jimmadseni, a new species from the lower part of the Morrison Formation (Upper Jurassic) of Western North America. PeerJ 8, e7803. https://doi.org/10.7717/peerj.7803
Hanna, R. R. (2002). Multiple injury and infection in a sub-adult theropod dinosaur Allosaurus fragilis with comparisons to allosaur pathology in the Cleveland-Lloyd Dinosaur Quarry Collection. Journal of Vertebrate Paleontology 22, 76–90. https://doi.org/10.1671/0272-4634(2002)022[0076:MIAIIA]2.0.CO;2
Foth, C., Evers, S. W., Pabst, B. et al. (2015). New insights into the lifestyle of Allosaurus (Dinosauria: Theropoda) based on another specimen with multiple pathologies. PeerJ 3, e940. https://doi.org/10.7717/peerj.940
Rayfield, E. J., Norman, D. B., Horner, C. C. et al. (2001). Cranial design and function in a large theropod dinosaur. Nature 409, 1033–1037. https://doi.org/10.1038/35059070
Natural History Museum of Utah(2020年1月24日). New Species of Allosaurus Discovered in Utah. https://nhmu.utah.edu/press/new-species-allosaurus-discovered-utah
Natural History Museum, London. Dino Directory: Allosaurus. https://www.nhm.ac.uk/discover/dino-directory/allosaurus.html
Bureau of Land Management. Jurassic National Monument. https://www.blm.gov/programs/national-conservation-lands/utah/jurassic-national-monument
Cowboy State Daily(2023年11月8日). Wyoming’s Famous ‘Big Al’ Dinosaur Getting Another Autopsy. https://cowboystatedaily.com/2023/11/08/wyomings-famous-big-al-dinosaur-gets-sliced-up-for-its-life-story/
Cowboy State Daily(2026年6月28日). After 35 Years, 152-Million-Year-Old Dinosaur ‘Big Al’ Returns Home To Wyoming. https://cowboystatedaily.com/2026/06/28/after-152-million-years-big-al-is-returning-to-his-digs-in-shell/


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