島の人たちが掘り当てた6世紀の修道院は、小さな島の教会ではなかった。金と銀を鋳た坩堝が1,000点を超えて出た

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スコットランド西岸、インナー・ヘブリディーズ諸島の小島リズモアには、6世紀に聖モルアグが開いたとされる修道院「リオス・モール」がありました。ただし長いあいだ、それは古い文献と島の言い伝えの中だけの存在で、どこにあったのかも分かっていませんでした。島の人たちが探し始めたのが2016年。費用はクラウドファンディングと助成金で集め、考古学者と一緒に掘り続けた結果が、2026年10月の学術誌 Antiquity にまとまりました。出てきたのは、小さな島の教会ではなく、金や銀を鋳る工房を持つ有力な宗教の中心地でした。

13世紀の教会のまわりを掘る

手がかりは、島に今も残る13世紀の教区教会でした。今も礼拝に使われているこの教会のまわりに、もっと古い修道院が埋まっているのではないか。地元のリズモア歴史協会が中心になり、Argyll Archaeology の考古学者 Clare Ellis さんが発掘を率いました。2018年に教会の牧師館の土地で地中の電気抵抗を測る探査と試掘を行い、2019年と2021年にも範囲を広げて掘っています。論文の著者8人には、Ellis さんのほかアバディーン大学の Gordon Noble さんら、スコットランド国立博物館の研究者、そして発掘に加わった島の住民で元科学者の Robert Hay さんが名を連ねています。

墓地、十字架、そして楕円形の建物

教会の近くの区画からは、石灰岩の壁で囲まれた初期中世の墓地が出ました。少なくとも6体の埋葬がその場に残っていて、ほとんどが成人です。「聖域の石」と呼ばれる石のそばの区画では、乳児から成人までが葬られていました。放射性炭素年代は、いちばん古い埋葬が西暦650〜780年、いちばん新しいものが900〜1040年に収まります。模様の彫られた十字架の石板の破片も3点見つかり、1点は7〜8世紀のものとみられます。

もう一つの区画で見つかったのが、直径約8メートルの楕円形の建物でした。厚い空積みの石壁を持ち、西向きの狭い入口があって、床は石灰岩の板で舗装されていました。関連する堆積物の年代は8〜10世紀。ここから、手作りの土器や打ち欠いた火打ち石、鹿の角を加工したものが含まれていました。入口はのちに狭められていて、家畜を囲う場所に転用された可能性があります。

金と銀を鋳た、1,000点を超えるかけら

この研究の中心になるのは、楕円形の建物から出た金属加工の痕跡です。鉄以外の金属を扱った際の残り物、つまり坩堝(るつぼ)やその蓋、鋳型の破片が1,000点を超えて見つかりました。鋳型からは、少なくとも2種類のペナニュラー・ブローチ(輪の一部が開いた環状の留め金)がこの場所で鋳造されたことが分かります。主に使われていたのは銅の合金ですが、いくつかの坩堝には銀や金が高い濃度で残っていました。工房として使われていた層の年代は7〜9世紀です。骨や角を加工した品も8点あり、そのうち2点は模様の練習や下絵に使った「モチーフ・ピース」でした。

発掘に参加した Robert Hay さんは、これらをスコットランドで見つかった中でいちばん出来のよい小型の坩堝だと評しています。論文は、鉄以外の金属の鋳型と坩堝のまとまりとしては、ダル・リアダ王国の中心だった砦ダナッドに次ぐ規模だとしています。比べられることの多いアイオナ島の修道院からも金属加工の品は出ていますが、数は少ない。アバディーン大学の Noble さんは Guardian に、リオス・モールは当時かなりの実力者だったと話しています。

小さな島の教会ではなかった

これらを合わせて、著者らはリズモアを初期中世の北西ブリテンにおける上位の宗教の中心地と位置づけています。6世紀にスコットランド西部からアイルランド北東部にまたがっていたダル・リアダの初期キリスト教のネットワークの中で、リズモアは一つの結び目だった、という読みです。島の戦略上・経済上の重要性、とくに近くの砦ダノリーとそこを治めた一族とのつながりは、これまで見過ごされてきたと論文は述べています。

ただし、まだ埋まっていない空白もあります。聖モルアグが修道院を開いたとされる6世紀そのものの遺構は、今回の発掘からは出ていません。見つかったのは7世紀から10世紀にかけての豊かな修道院の暮らしで、創建の時期については引き続き文献と伝承に頼ることになります。それでも、1,500年前の修道院を文献の中から地面の上に引き戻したのは、研究機関の大型プロジェクトではなく、自分たちの島の歴史を知りたいと集まった住民でした。

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