個人のカジュアルゲームはどこで、いくらで売れるのか。Steam・Microsoft Store・Google Play の手数料と実績【2026年】

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ルールが簡単で、数分あれば1回遊べるゲームを「カジュアルゲーム」と呼びます。パズル、落ち物、ブロック崩し、カードを並べるだけのソリティアなどがそうです。1人でも作りきれる規模のものが多いジャンルです。

先に結論を書きます。Windows 版は Steam か Microsoft Store、Android 版は Google Play で売れます。ストアに出すための費用は、いちばんかかる Steam でも1作品100ドルです。ただし Steam では、発売されたゲームの半分が手数料を引く前の売上で1,100〜1,700ドル(1ドル150円で約17万〜26万円)に届きません。売れるかどうかは、ゲームを作り終える前の準備でかなり決まります。この記事では、2026年10月時点の手数料と、各ストアでどれくらい売れているのかを、順に見ていきます。

Windows は Steam か Microsoft Store、Android は Google Play

Steam はパソコン(Windows・Mac・Linux)と携帯ゲーム機の Steam Deck 向けのストアで、Android のゲームは売れません。スマホ向けには Google Play に別に登録して出します。Unity や Godot のようなゲームエンジンで作れば、1つのプロジェクトから Windows 版と Android 版の両方を書き出せます。

  • Steam:パソコンのゲームでいちばん大きいストア。登録費は1作品100ドルで、そのゲームの売上が1,000ドルに届くと、あとの支払いで戻ってきます。
  • Microsoft Store:Windows に最初から入っているストア。2025年9月から、個人なら登録費が無料になりました。身分証と自撮りで本人確認をします。
  • Google Play:Android のストア。登録費は25ドルを1回払うだけです。
  • itch.io:インディーゲームの販売サイト。登録は無料で、売上のうち何%をサイトに渡すかを自分で決められます。そのかわり、お客さんを集める力は弱めです。

ストアが取る手数料(2026年10月時点)

売上のうちストアが取る割合は、ストアによってかなり違います。

  • Steam:30%。1作品の売上が1,000万ドルを超えると25%に下がりますが、個人のゲームにはまず関係ありません。
  • Microsoft Store:パソコンのゲームは12%。2021年8月に30%から下げられた料率です。2025年の無料化の発表では「低い手数料」とだけ書かれているので、出す前に開発者向けの管理画面(Partner Center)で今の料率を確かめてください。
  • Google Play:日本では2026年9月30日から新しい手数料になりました(次の章)。

Steam で売ったときに手元に残るのは、30%の手数料のほかに、返金や、国ごとに安く設定される価格も引かれるので、定価の45〜50%くらいと見ておくと安全です。

Google Play は2026年9月30日に手数料が変わった

日本の Google Play の手数料は、2026年9月30日に新しい仕組みに変わりました。Google と Epic Games の裁判の和解をきっかけに、米国・英国・欧州では6月30日から始まっていたもので、日本は当初の年末の予定から前倒しされました。

新しい仕組みでは、手数料が「サービス手数料」と、Google Play の決済を使ったときにかかる「請求手数料(5%)」の2つに分かれます。

  • 年間の収益が100万ドルまでの部分:サービス手数料10%+請求手数料5%
  • 100万ドルを超えた部分:新しくインストールした利用者からの売上は20%+5%、以前からの利用者は25%+5%
  • 自動更新の定期購入:10%+5%

個人の規模なら、有料アプリやアプリ内課金の手数料は合計でおよそ15%です。2025年12月18日に全面施行された「スマホ新法」で、日本でも外部の決済や別のアプリストアを使えるようになりました。ただ、外部の決済にも手数料がかかるので、小さなゲームなら Google Play の決済をそのまま使うのが簡単です。

Google Play にはもう一つ注意があります。2023年11月13日以降に作った個人のアカウントは、12人以上のテスターに14日間続けて試してもらう「クローズドテスト」を終えないと、ゲームを公開できません。途中で抜けた人は14日が数え直しになるので、頼める家族や知り合いを先に集めておくと進めやすくなります。

どれくらい売れるのか

Steam の数字から見ていきます。どれも外部の会社が推計したもので、集計の方法によって幅があります。

  • 2025年に Steam で発売されたゲームは約2万本。そのうち売上が100万ドルを超えたのは約300本でした(Alinea Analytics の推計)。
  • 2026年に発売されたゲームの売上の中央値は1,728ドル(9月1日までの集計)。
  • 2019年に発売されたゲームの、発売から数年分の売上の中央値は1,136ドル。
  • 2025年に発売されたゲームの48.7%は、年末の時点でレビューが10件未満でした。レビュー10件は、おおよそ300本の販売にあたります。

つまり、Steam に出したゲームの半分は、数百本売れたところで止まっています。

Android のカジュアルゲームは、無料で配って広告で稼ぐ形が主流です。2026年2〜4月のモバイルゲームの広告収入(19か国)では、カジュアルとハイパーカジュアル(1タップで遊べるような、さらに単純なゲーム)がそれぞれ全体の40%を占めました(Sensor Tower の集計)。広告で稼ぐ市場の中心にいるのは、カジュアルゲームです。ただ、個人が出したゲーム1本で広告収入がいくらになるのかについては、信頼できる最近の日本の数字が見つかりませんでした。広告の収入は遊ばれた回数に応じて入るので、数万ダウンロードに届かないうちは大きな額にはなりません。

各ストアの実績

ストア全体の規模と、実際に売れた例・売れなかった例を並べます。

Steam

2025年の Steam のゲームの売上は、推計で約169億〜177億ドル。そのおよそ4分の1をインディーゲームが占めました。Valve の発表では、2025年に売上10万ドルを超えたゲームは5,863本あります。同時接続の最高は、2026年1月の4,200万人超です。

1人で作ったパズルゲーム「Patrick’s Parabox」(2022年発売、19.99ドル)は、推計で約9.4万本、約110万ドルを売りました。反対に、ストアのページは15万回表示されたのに、発売から48時間で売れたのは16本だったという、日本の個人開発者の報告もあります。新作の数も多く、パズルのジャンルだけで年に約2,000本が出ています。

Microsoft Store

Microsoft によると、2025年5月の時点で月に2億5,000万人以上が使っています。ゲームの売上の合計は公表されていません。個人開発者の「1日の新規インストールが1年で10倍になった」という声を Microsoft が紹介していますが、これはゲームではなくアプリの例です。個人のカジュアルゲームが Microsoft Store で売れたという公開の実績は、見つかりませんでした。

Google Play

2025年に Google Play で利用者が使ったお金は推計で約492億ドル、ゲームのダウンロードは約362億回でした。モバイルのパズルゲームの収益は82億ドルで、前の年より7.6%増えました(AppMagic の集計)。

2026年の夏休み(8月8〜16日)に日本でいちばんダウンロードされたゲームは、5月に公開されたばかりのパズル「Meowdoku!」でした(Sensor Tower の集計)。数独とマインスイーパーを合わせたような単純なルールで、無料で配り、広告で稼ぐ作りです。ただ、作ったのはシンガポールのゲーム会社で、個人ではありません。

最近は、ハイパーカジュアルのような単純なゲームに、育成やアイテム課金を足した「ハイブリッドカジュアル」が増えています。同じ2026年2〜4月の広告収入でも、ハイブリッドカジュアルは16%を占めました。広告だけに頼らず、課金も組み合わせる形です。

値段の付け方

  • Steam:簡単なカジュアルゲームなら2〜5ドル(日本の価格で300〜800円前後)が目安です。Steam での値付けを解説したある記事では、4.99ドルの価格帯に「簡単なパズルやアーケード風のゲーム」が挙がっています。VG Insights の集計では、1,000本以上売れた有料ゲームの価格の中央値は10ドルで、2〜4ドルは安い価格帯に入ります。セールで半額にすることも考えて決めます。
  • Android:無料で配り、広告を入れるのが一般的です。広告を消す課金(200〜500円くらい)を付けたり、アイテムを売ったりして組み合わせます。最初から有料にすると、試してもらえずに終わりがちです。

Steam で4.99ドルで売り、手元に残るのが定価の約50%だとすると、1本あたり約2.5ドルです。300本売れて約750ドル(約11万円)になります。

売れるかどうかは発売前に決まる

Steam では、発売前に「ウィッシュリスト(ほしいものリスト)」にどれだけ入れてもらえたかが、売れ行きをほぼ決めます。発売から1か月の販売本数は、ウィッシュリストの数の約27%が中央値です。ウィッシュリストが数百件のまま発売すると、売れるのは数十本から百数十本になります。

  • Steamworks に登録して100ドルを払う。税金の手続きと本人確認に15〜30日かかり、支払いから発売までは30日以上空ける決まりです。
  • ストアに「近日登場」のページを早めに出す。発売の2週間以上前からの公開が必須です。
  • 体験版を出し、年に数回ある体験版のイベント「Steam Next Fest」に参加する。
  • ブログや SNS で、作っている途中の様子を見せる。
  • Android 版は、Google Play に登録してクローズドテスト(12人×14日)を済ませてから公開を申請する。

お金をかけずに反応を見たいときは、登録が無料の Microsoft Store や itch.io に先に出してみる方法もあります。

カジュアルゲームは作りが単純なぶん、似たゲームもすぐに作られます。AI を使ってゲームのそっくりなコピーが短時間で作れてしまう話は、AIで「ゲームのそっくりコピー」が数時間で作れる時代にで書きました。ルールが単純でも、見た目や遊び心地で「このゲームらしさ」を出しておくと、埋もれにくくなります。

税金の手続き

海外のストアで売るときは、登録の途中で米国の税務フォーム(個人は W-8BEN)を出します。出さないと、売上から30%が差し引かれることがあります。日米租税条約の適用を申告すれば米国で引かれる税が軽くなり、引かれた分は日本の確定申告で外国税額控除に使えます。Steam では、登録の途中の「税務に関する質問」に答える形でこの手続きをします。

会社員の副業なら、経費を引いた所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別に要るので、売上と経費は記録しておきます。ゲームの売上が雑所得になるのか事業所得になるのかは、続け方によって変わるので、税務署か税理士に確かめてください。

まとめ

個人のカジュアルゲームは、Windows 版を Steam や Microsoft Store、Android 版を Google Play に出せば売れます。手数料は Steam が30%、Microsoft Store がパソコンのゲームで12%、日本の Google Play が個人の規模なら合計およそ15%です。ただ、Steam の新作の半分は数百本しか売れていないので、初めの1本は、数万〜十数万円の売上と、作って出す経験を得るためのものと考えておくのが現実的です。売上を伸ばしたいなら、作り始めた段階からストアのページを出して、ウィッシュリストを集めておきます。

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