Science Advances

テクノロジー

角砂糖ほどの装置に薬と光を積む——インターネットでつながった脳インプラント

シカゴの机の前に座った研究者が、キーボードをたたく。その命令はインターネットを通って地球の反対側へ渡り、韓国・大田(テジョン)の実験室にいるラットの脳のなかで、装置が薬を出す。距離にして10,596キロ。命令が届いて反応が返るまで、平均でお...
環境

イッカクが運んだ観測装置が明かした、グリーンランド東岸フィヨルドの異変

グリーンランド東岸に、スコルズビ湾(Scoresby Sound)という世界最大のフィヨルド系があります。氷河が削った深い入り江が枝分かれしながら、内陸へ300キロ以上も食い込んでいる場所です。この奥で海の中に何が起きているのかを、イッカク...
テクノロジー

モーターは小さくできないのに、なぜ1ミリのロボットは飛べたのか

空き瓶の口に息を吹きかけると、ボーッと低い音が鳴ります。誰でも一度はやったことのある、あの遊びです。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、この現象を推進力に変えて、モーターを一つも積まないロボットを動かしてみせました。デ...
地球科学

広島湾の砂粒に残っていた、地球に前例のない原子の並び方

広島湾の砂浜には、1945年8月6日にできたガラスの粒が、いまも混じっています。イタリア・フィレンツェ大学の地質学者ルカ・ビンディ氏らの研究チームが、その粒のひとつを詳しく調べたところ、中に含まれていた金属の粒が、地球上でこれまで報告のない...
生物

塩を締め出さずに植物を強くする——塩害農地で見つかった土壌細菌の意外な働き

塩がたまって作物がまともに育たなくなった畑を、土の中の細菌がよみがえらせるかもしれない——そんな研究が2026年6月、学術誌Science Advancesに掲載されました。中国のYanfen Zheng博士が率い、イギリスのイースト・アン...
科学・宇宙

過去最多17機で太陽の噴出を追跡、初期映像に写っていなかった地球行きのプラズマ

2024年12月19日、木星の衛星エウロパを目指して飛行中だったNASAの探査機エウロパ・クリッパーが、予定外の信号を拾った。打ち上げから約2か月、搭載機器がきちんと動くかを確かめる定期チェックの最中に、まわりの太陽風がいつもより熱く、薄く...
科学・環境

街路樹が空気を悪くしていた – 排出量1割の植物がオゾン生成の半分を担う理由

都市に木を植えるのは、文句なしに良いことだと思われてきました。日陰ができて涼しくなり、二酸化炭素を吸い、景観も良くなる。ところが2026年8月20日付のScience Advancesに、その前提を揺さぶる研究が載りました。中国・北京の大気...
医学・健康

鳥インフルエンザが牛の肺を素通りした理由

アメリカの乳牛でH5N1鳥インフルエンザが広がったとき、現場でまず問題になったのは、症状が「鳥インフルエンザらしくなかった」ことでした。ほかの哺乳類なら肺をやられるはずのウイルスが、牛では肺をほとんど素通りして、乳房を激しく傷めていたのです...
物理・化学

ナノの隙間で水が壊れやすくなる本当の原因

ナノサイズの隙間に水を閉じ込めると、水は化学的に活発になるのか、それとも大人しくなるのか。この問いには、この十年ほどのあいだ、正反対の答えが出続けてきました。ケンブリッジ大学を中心とする研究チームが、その食い違いの正体を突き止めています。閉...
科学・宇宙

家の屋根を突き破った隕石に、「生命の材料」が詰まっていた

アメリカ・ニュージャージー州の民家で、屋根と寝室の天井を突き破って落ちてきた石があります。分析してみると、それは太陽系ができたころの姿をとどめた珍しい隕石で、しかもアミノ酸や有機物――生きものの体をつくる材料につながる分子――を含んでいまし...
気候・環境科学

ヨーロッパの気候を支える海流「AMOC」、今世紀末に約半分まで弱まる推定

大西洋には、熱帯の暖かい海水を北へ運ぶ大きな海の流れがあります。ヨーロッパの冬をやわらげているのも、この流れのおかげです。その流れが、これまで考えられていたより強く弱まるかもしれない——2026年4月にフランスの研究チームが発表した論文が、...
科学

深海の水圧がマリンスノーを「絞る」——見落とされていた餌の供給源

海の表層から深海へ、雪のようにゆっくり降りそそぐ有機物の粒があります。「マリンスノー」と呼ばれる、死んだ藻類や微生物、その粘液が寄り集まった塊です。この粒が水深2〜6kmあたりを通り過ぎるとき、まわりの水圧によって中身の一部を外へ漏らしてい...
物理

消えやすい磁気の波「マグノン」、寿命を約100倍に——量子情報の新たな運び手へ

すぐ消えてしまうから使えない——そう言われてきた磁気の微小な波「マグノン」を、寿命でおよそ100倍まで長持ちさせた、という研究が発表されました。しかも「これ以上は無理」という限界は物理法則ではなく、材料の純度で決まっていた。つまり、これから...
医学・健康

切り離しても3年生きるナマコの組織——老化研究の新しい手がかり

海の底で切り離された小さな組織が、3年以上たっても腐らず、栄養を取り込みながら育ち続けていた——。ナマコのある一種で、そんな現象が確認されました。生き物の一部だけがこれほど長く「生きた」状態を保つのは珍しく、老化や組織の寿命を調べる新しいモ...