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科学・宇宙

イオンエンジンとは何か——「はやぶさ」を帰還させた宇宙の省燃費エンジン

イオンエンジン(イオン推進器)は、電気の力でイオンを加速して噴射し、その反動で進む宇宙用のエンジンです。火を噴いて飛ぶ化学ロケットとはまったく別の原理で動き、推す力は紙切れを持ち上げる程度しかありません。それでも宇宙では第一線の推進装置とし...
科学・宇宙

プロペラを使わない理由は「調べたい地面を壊さないため」——タイタンの洞窟を飛ぶロボット構想

土星の衛星タイタンにあると考えられている洞窟の中を、小型の飛行ロボットで調べる——そんな構想に、NASAが検討費を出しました。構想の名前はSPARK(スパーク)。ハワイ大学マノア校の助教ダニエル・ドリュー氏が主導し、NASAジェット推進研究...
AI・テクノロジー

NASAのAIは太陽の「音」を聴いて、黒点が見える前にその出現を当てる

太陽の表面に黒いシミのように現れる「黒点(こくてん)」。この黒点が、まだ表面に姿を見せていない段階で、AIがその出現を先読みする——そんな研究成果をNASAが発表しました。手がかりにしたのは、太陽の中を絶えず伝わっている「音」です。開発した...
科学・宇宙

アンドロメダ銀河で星の誕生が減速中、しかも近年加速——容疑者はすぐ隣にいた

私たちの天の川銀河のいちばん近くにある大型の銀河、アンドロメダ銀河(M31)で、新しい星が生まれるペースが落ち続けていることが分かった。ハッブル宇宙望遠鏡のデータを使ってワシントン大学などの研究チームが調べたもので、減速は過去5億年にわたっ...
科学・宇宙

巨大太陽嵐の被害に「上限」はなかったかもしれない——NASAが見抜いた統計の錯覚

太陽から強烈なプラズマの塊が飛んでくると、地球のまわりの磁場が大きく乱れます。これが磁気嵐(じきあらし)で、ひどいときには停電やGPSの乱れ、人工衛星の故障を引き起こします。この磁気嵐について、宇宙物理の世界には数十年ものあいだ信じられてき...
物理

「何もない空間」は空っぽではなかった——ハイゼンベルクの90年前の予言に最強の証拠

「真空」と聞くと、何も入っていない空っぽの空間を思い浮かべます。学校でもそう習いますし、ふだんの生活ではそれで何も困りません。ところが1936年、量子力学の生みの親のひとりであるヴェルナー・ハイゼンベルクは、学生のハンス・オイラーとともに「...
科学・宇宙

火星ヘリが羽織る「小さなマント」の正体——布のアンテナで地下5mの氷を探す

NASAが2028年の打ち上げを目指している火星ミッション「SkyFall(スカイフォール)」は、小型のヘリコプター3機を火星に送り込み、地下に眠る氷を探す計画です。そのヘリコプターの試験映像が公開されたのですが、機体の後ろに布のようなもの...
科学・宇宙

ウェッブ望遠鏡の謎「小さな赤い点」、育った後の姿かもしれない銀河が見つかる

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測を始めてから4年、天文学者をずっと悩ませてきた正体不明の天体群があります。「小さな赤い点(リトル・レッド・ドット)」と呼ばれる、初期宇宙に大量に散らばる謎の光です。その謎に、思いがけない方向から手掛かりが...
科学・宇宙

ヒーターを入れ替えて1年延命。213億km先のボイジャー2号で実行された「ビッグバン」作戦

NASAのジェット推進研究所(JPL)が2026年8月4日、深宇宙を飛行中の探査機ボイジャー2号で「ビッグバン」と名付けた電力のやりくりに成功したと発表しました。この操作で電力に余裕が生まれ、いま動いている3台の観測機器を少なくともあと1年...
科学・宇宙

8月12日の日食は、地図の上では「逆走」して見える——影は一度も西へ戻っていない

2026年8月12日に、皆既日食が起こります。月の影が地球の表面を走り、その細い帯に入った場所では、太陽が完全に隠れます。NASAの科学可視化スタジオが、この日食の経路を世界地図に描いた図を公開しています。それを眺めていると、少し妙なことに...
科学・宇宙

20年前の火星探査データを32か所ぶん重ねたら、消えていた鉱物が現れた

NASAの火星探査車スピリットが2004年から送り続けたデータのなかに、当時は「見つからなかった」とされた鉱物が、実はちゃんと写り込んでいた——。エディス・コーワン大学(オーストラリア)のパウロ・デ・ソウザ教授が、20年以上前の観測記録を3...
科学・宇宙

系外惑星の生命探しを邪魔するのは、その星系に漂う塵だった

系外惑星に生命の兆候を探すとき、いちばんの敵は望遠鏡の性能不足だと思われがちだ。ところが、もっと手前に厄介なものが待っている。惑星のまわりに薄く広がる、細かい塵である。NASAゴダード宇宙飛行センターの研究チームは、この塵が惑星の大気を読み...
科学・宇宙

水星に「パートタイムの放射線帯」があった——50年越しの論争に一つの答え

地球のまわりには、高エネルギーの粒子が磁場に捕まって輪のように溜まっている領域があります。放射線帯、あるいは発見者の名にちなんでヴァン・アレン帯と呼ばれるものです。磁場を持つ惑星なら木星にも土星にもこれがある——ところが水星だけは例外だ、と...
科学・宇宙

壊れてもいい探査機を1万個──土星の環へ突っ込ませる構想にNASAが検討費

土星の環を間近で調べる方法として、「壊れてもいい探査機を1万個ばらまく」という案にNASAが検討費を出しました。1個あたり数グラムの極小衛星を大量に環へ突っ込ませ、何割か失われても残りで測り続ける、という構想です。先に書いておくと、これは決...
宇宙開発

火星では今の宇宙服が重すぎる——NASAが出した上限104キログラム

月面用に開発が進んでいる最新の宇宙服を、そのまま火星に持っていくわけにはいきません。着た飛行士が動けなくなってしまうからです。NASAと協力企業の技術者チームが、火星で使う宇宙服に許される重さを計算し、上限は104kg——いまの設計から4割...
テクノロジー

「廃棄品」と押されたアポロの部品を、半世紀後に測り直す

アポロ計画で使われるはずだった部品に、「Scrapped Module(廃棄品)」と大きな印が押されたまま残っていました。ところが、なぜ不合格になったのかを書いた記録は、どこにも見当たりません。この部品を手に入れたマイク・スチュワートさんが...
科学・宇宙

自転が逆回りになった彗星——ハッブルの保管データが捉えた初の事例

彗星の自転がだんだん遅くなり、いったん止まって、そのまま逆向きに回り出す。そんなことが起きた証拠が、ハッブル宇宙望遠鏡の保管データから見つかりました。彗星の自転の向きが反転したとみられる例は、これが初めてです。しかも同じ解析からは、この彗星...
科学・宇宙

ボイジャー1号、11月18日に「1光日」へ——光でも丸1日かかる場所に人工物が届く

1977年に打ち上げられたNASAの探査機ボイジャー1号が、2026年11月18日に地球から「1光日」の場所へ届きます。光の速さでも、たどり着くのに丸1日かかる距離です。人が作ったもので、そこまで遠くへ行った例はまだありません。NASAは秒...
科学・宇宙

木星の衛星イオ、地表数メートル下で20度以上の温度上昇

太陽系でいちばん火山活動が激しい天体、木星の衛星イオ。その「地面の下」の温度が、初めて測られました。NASAの探査機ジュノーが2度の接近で得たデータを解析したところ、地表から数メートル下がるだけで温度が20度以上も上がっていることが分かった...
科学・宇宙

ぐらつく落花生形の小惑星に、大昔の水の痕跡——NASAルーシーの寄り道が見つけたもの

NASAの探査機ルーシーが、木星の近くを回るトロヤ群の小惑星へ向かう途中で、ある小惑星のそばをかすめていきました。本命に着くまでの練習のつもりだった立ち寄りでしたが、そこで見つかったのは、コマのようにぐらつきながら回る落花生形の岩の塊。しか...
科学・宇宙

火星の砂嵐は「静電気」も帯びていた可能性——探査ミッションの新たなリスクに

火星の砂嵐というと、空が砂ぼこりで覆われて暗くなる、太陽光がさえぎられる、視界が悪くなる——そんな「暗さ」の害がよく知られています。ところが最近の研究で、砂嵐にはもうひとつの顔があるかもしれないことが分かってきました。砂嵐の中の大気が静電気...
科学・宇宙

小惑星のふりをした彗星——軌道のずれが暴いた「1998 SH2」の正体

30年近く「小惑星」として記録されてきた天体が、じつはこっそりガスを噴く彗星だった——そんな研究が、NASAジェット推進研究所(JPL)のチームから発表されました。決め手になったのは、見た目ではなく「動き」。予測した軌道から不自然にずれてい...
科学・宇宙

アルテミスIII、月着陸の「リハーサル」を2027年に地球軌道で実施へ

NASAが、有人月面着陸の「予行演習」を2027年に行うと発表しました。ミッション名はアルテミスIII。宇宙飛行士がオリオン宇宙船で地球のすぐ上の軌道へ上がり、別々に打ち上げられた2機の月着陸船——SpaceXのスターシップとブルーオリジン...
科学・宇宙

火星に残っていた「隕石の雨」の記録、パーサヴィアランスが40億年前の地層を発見

火星で探査を続けるNASAの探査車パーサヴィアランスが、めずらしい「記録」を掘り当てました。約40億年前、太陽系のあちこちに隕石が降り注いでいた時代の痕跡が、厚さ75メートルの層状の岩盤としてそっくり残っていたのです。場所はジェゼロ・クレー...
気候・環境

ペンギンのフンの色を宇宙から30年分たどる——南極の食物網が見えた

南極のペンギンが何を食べていたかを、現地に行かずに調べる方法がある。フンの色を、衛星から見るのだ。クレムソン大学などのチームが、NASAとUSGSが運用する地球観測衛星「Landsat(ランドサット)」の画像を1984年から2013年まで3...
科学・宇宙

アルテミスII、有人で月をフライバイ――半世紀ぶりに人類が月へ

2026年4月、4人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船が、月を回って地球へ帰ってきました。NASAのアルテミスIIです。人が月まで飛んだのは、1972年のアポロ17号以来、半世紀ぶりのこと。今回は月に着陸したわけではありませんが、月の裏側をぐるりと...
化学・生命の起源

32億年前の酵素を”復元”――地球最初期の生命と、その痕跡の読み方を確かめる

32億年前に使われていた酵素を"復元"して、現代の微生物の中で働かせた——そんな研究が発表されました。しかもそれによって、岩石の中に残る「大昔の生命の痕跡」を読み解く手がかりが、ちゃんと信頼できるものだと確かめられました。地球にまだ単純な微...
科学・宇宙

ニュー・ホライズンズ、太陽風が“減速する”現場をとらえた

冥王星のはるか先を進むNASAの探査機ニュー・ホライズンズが、太陽から吹き出すプラズマ(電気を帯びたガス)の風が少しずつ遅くなっていくようすをとらえました。太陽の影響が届く範囲の“端っこ”に近づくにつれて、太陽風がじわじわブレーキをかけられ...
宇宙・天文

アインシュタインの理論がみちびいた発見——TESSがとらえた4万光年先の超木星

系外惑星を探す衛星TESSが、これまで一度も使っていなかった方法で木星のような惑星をとらえました。使ったのは、アインシュタインの一般相対性理論から出てくる「重力マイクロレンズ」という現象です。TESSは本来こういう惑星を見つけるようには作ら...
宇宙・天文

数十億年前の巨大衝突が、月の深部の岩石を表層へ運んだ可能性

月の内部がどんな岩石でできているのかを知りたければ、これまでは深く掘るしかない、と考えられてきました。ところが「大昔の巨大な衝突が、そのマントルの岩石をすでに表面近くまで運び上げているかもしれない」という研究が出てきました。しかも運ばれた先...