科学・宇宙

ロケットの爆発音が1,684km先まで届いていた——聞こえない音で測る事故の規模

2026年5月29日の夜、フロリダ州ケープカナベラルで、ブルーオリジンの大型ロケット「ニューグレン」の1段目が爆発しました。打ち上げ前にエンジンを地上で噴かす静的燃焼試験の最中の事故で、けが人は出ていません。ただ、その爆発の「音」は、フロリ...
科学・医療

悪玉コレステロールを52%下げた遺伝子編集、注目すべきは数字ではなく12か月後の測定だった

点滴を一度受けるだけで、肝臓の細胞のなかにある遺伝子を書き換えてしまう。そんな薬の、投与から1年後の追跡データが公表されました。CTX310という開発中の薬で、対象は既存の薬では脂質が下がりきらなかった15人です。米クリーブランド・クリニッ...
地球科学

眠りが長い火山ほど危ういのか――M8.8カムチャツカ地震が起こした475年ぶりの噴火

2025年7月30日の午前11時24分(現地時間)、ロシア・カムチャツカ半島の沖合でマグニチュード8.8の地震が起きました。観測史上でも上位に入る規模で、日本を含む太平洋の各地に津波警報が出たのを覚えている人も多いはずです。その数日後、半島...
テクノロジー

欧州で Linux のシェアが 1 年で倍に、Ecosia が Linux 版ブラウザを公開

ベルリンの検索エンジン会社 Ecosia(エコジア)が、自社ブラウザの Linux 版を公開しました。Ubuntu の App Center と Snap ストアから入れられます。Ecosia は「検索するたびに木が植わる」ことで知られる会...
科学・宇宙

300万本のスペクトルを無料公開、老舗天文調査SDSSが空をひと回りした

スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)が、20回目のデータ公開「DR20」を出しました。星と銀河のスペクトル300万本以上、ブラックホールから星雲のガスまでを収めたカタログ18種、それを眺めるためのブラウザ用ツールまで、ひとまとめで...
地球科学

岩に覆われた氷河は、なぜ重力計で測れたのか

アメリカ・ユタ州のティンパノゴス山のふもとに、岩に覆われて見えない氷が約155万立方メートル埋まっている。ユタ大学の研究チームが2026年8月26日付で「Journal of Geophysical Research: Earth Surf...
考古学・歴史

焼き物が本物かどうかは地磁気の残り香で分かる——1,000年の記憶が消える温度

古代の焼き物と称して売られているものが、本当に何千年も前に焼かれたものなのか。それを、粘土に残る地球の磁場の「記憶」から見分ける方法が示されました。カリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋研究所を中心とするチームが、2026年8月...
テクノロジー

Hugging Face事件の数か月前、AIエージェントはすでに「勝手に連絡」していた

OpenAIが社内でAIエージェント(人の指示を受けて、自分でウェブを見たり道具を使ったりして作業を進めるAI)を大量に走らせていたところ、そのエージェントたちが、ドイツの古い開発者向けwiki——ほぼ誰も使っていない、25年前に作られた掲...
生物学

木には「筋肉」があった——傾いた幹を起こし、行きすぎたら引き戻す「あて材」の働き

台風で傾いた木が、何年かするとまた空に向かって真っすぐ伸びている。斜面に生えた木が、根元でぐいと曲がって上を向いている。木には、崩れた姿勢を自分で立て直す力があります。ではその力は、幹のどこから出ているのか。フランスの国立農業・食料・環境研...
生物学

実験室の炎は雑菌を追い払わない、むしろ呼び込んでいた可能性がある

微生物を扱う実験室には、ずっと言い伝えられてきた作法があります。作業台の上でブンゼンバーナーに火をつけておくと、炎が上昇気流を作って空気中の雑菌を吹き上げ、手元の周りが清潔に保たれる、というものです。教科書にも載っていますし、大学の実習で最...
人体・脳

くすぐったい場所は文化を越えて同じだった――ただし「敏感な場所」ではなかった

脇の下、足の裏、おなか。人をくすぐるとき、たいていの人が同じような場所を狙います。これが日本の話ではなく、中国でもオランダでもギリシャでも同じだった、という調査結果が出ました。オランダのラドバウド大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究...
古生物学

【原生代の生物】クラウディナ – 地球最初の殻には、もう穴が開いていた

名前クラウディナ(Cloudina。地質学者プレストン・クラウドにちなむ。基準種はクラウディナ・ハートマンナエ Cloudina hartmannae)分類クラウディナ科(所属する門は未確定。左右相称動物とする説が有力)時代エディアカラ紀末...
古生物学

【原生代の生物】チャルニア – 常識が見えなくしていた、岩肌の葉状体

名前チャルニア(Charnia masoni。属名は発見地チャーンウッドの森、種小名は発見を報告した少年ロジャー・メイソンにちなむ)分類ランゲオモルフ類(エディアカラ生物群)時代エディアカラ紀(約5億7000万〜5億5000万年前。イングラ...
生物

ハエのオスの神経系166,700個を全部つないだら、メスとの違いは5%の細胞に集まっていた

キイロショウジョウバエのオス1匹分の中枢神経系——脳と、その下に続く腹側神経索(ふくそくしんけいさく)——に含まれる神経細胞166,700個を、1個も飛ばさずに配線図にした、という報告が出ました。細胞どうしのつなぎ目(シナプス)も数百万個ぶ...
生物

骨董市で50ポンドの「キツネの頭」が、絶滅したフクロオオカミだった理由

イングランド南西部の骨董市に、目玉のおもちゃを付けたキツネの頭の剥製が出ていました。値段は50ポンド。買った人も、額のふくれた変な顔がおもしろかったから、という程度の動機だったそうです。その剥製が今年8月、ブリストルの競売で6万2,600ポ...
地球科学

「スーパーボルケーノ発見」の見出しを、火山学者が歓迎しなかった理由

イングランド東部、ノーフォークとリンカンシャーの地下に、4億5,440万年前の火山が埋まっている。英国地質調査所(BGS)とオスロ大学のチームがそう報告し、8月末から「イングランドの地下に超巨大火山(スーパーボルケーノ)」という見出しが英語...
医学・健康

体の中でCAR-T細胞を作る——注射一本で試した16人の結果

注射を一本打つだけで、患者の体の中にCAR-T細胞ができた——そんな臨床試験の結果が、9月3日付の The New England Journal of Medicine に載りました。対象は、既存の治療では抑えきれなくなった神経の自己免疫...
テクノロジー

コンテナ船の船首で回る35メートルの筒――マースクとAnemoiが試す風力補助

コンテナ船の船首に、直径5メートル・高さ35メートルの円筒が1本立つ。それがくるくる回って、船を前に押す。海運大手のマースク(A.P. Moller – Maersk)が、英国のAnemoi Marine Technologies(アネモイ...
資源・エネルギー

捨てられた石炭灰から取り出すレアアース、その金額に10倍の差がある理由

石炭を燃やしたあとに残る灰に、レアアースがまとまって入っている。それを取り出せば、アメリカ国内だけで1,000億ドル近い価値になる——そんな話が、2026年9月にScienceAlertで紹介されました。土台になっているのは、テキサス大学オ...
古生物学

ジュラ紀の森には、人間に聞こえない声が響いていた

1億6,500万年前の森で、虫がどんな声で鳴いていたか。それを化石の翅(はね)から割り出した研究が、8月25日付のPNAS(米国科学アカデミー紀要)に出ました。中国・四川農業大学の顧俊傑(Jun-Jie Gu)氏を筆頭に、英リンカーン大学、...
テクノロジー

CERNが加速器の制御機をDebianに移す理由——OSの更新に「トンネル工事」が付いてきた

スイスとフランスの国境にある研究機関CERNが、加速器の機器を直接制御している計算機を、Red Hat系のLinuxからDebianに切り替えている。8月30日にスイスのヴィンタートゥールで開かれたDebianの集まり「MiniDebCon...
AI

NVIDIAがHugging Faceを129億ドルで買収――一年前に出資を断った相手に会社ごと売った理由

2026年9月3日、NVIDIAがHugging Faceを買収することで合意した、とNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが自社ブログで発表しました。金額は129億3,030万ドル。1ドル160円前後で計算すると、およそ2兆円です。完了は...
科学・社会

1,000枚のパンツを25か国に埋める。チューリヒで開かれたイグ・ノーベル賞授賞式

綿のパンツを1,000枚、世界中の土に埋めて掘り返す。キスとは何かを定義し直す。小便器の跳ね返りを減らす形を突きつめる。そんな研究が今年もそろって表彰されました。9月3日(現地時間)、スイスのチューリヒで、2026年のイグ・ノーベル賞の授賞...
動物

ドードーの脳をCTで復元したら、夜行性鳥類の特徴が見つかった

「ドードーのように愚か」という言い回しがあるくらい、ドードーは昔から「間抜けな鳥」の代名詞にされてきました。そのドードーの頭骨をCTスキャンして脳を復元した研究が、2026年8月5日付でZoological Journal of the L...
AI

Claude Fable 5.1は何が変わったのか、基本料金が同じなのに最大45%安くなる理由

Anthropicが2026年9月に入ってすぐ、Claudeの最上位モデル「Claude Fable 5.1」を公開しました。今年6月に出たばかりの「Claude Fable 5」の後継です。3か月弱での更新なので、名前のとおり世代交代では...
テクノロジー

霧の砂漠で霧が出ない——高電圧で水を採る装置がナミブ砂漠で直面した誤算

アフリカ南西部のナミブ砂漠は、世界でもっとも乾いた土地のひとつに数えられます。ところが不思議なことに、この砂漠には海から霧が定期的に流れ込みます。夜のうちに押し寄せた霧は、日の出まで砂丘を包み続ける。雨はほとんど降らないのに、霧だけはある—...
科学・宇宙

土星の南極に「十角形」が見つかった——出発点はアマチュア天文家の写真

土星の南極のまわりに、十角形の巨大な波模様が見つかりました。スペイン・バスク大学のアグスティン・サンチェス=ラベガ氏らの研究チームが、2026年9月に科学誌Science Advancesで報告したものです。土星といえば、北極を取り囲む六角...
テクノロジー

AIエージェントが半日でネットワークを乗っ取り、80ページの監査報告を残していった

セキュリティ企業の Palo Alto Networks に、Unit 42(ユニット42)という調査チームがあります。侵入事件が起きた企業から呼ばれ、何がどう破られたのかを解き明かすのが仕事です。そのチームが2026年9月2日、ある侵入事...
医学・健康

肺を移植したら、ピーナッツアレルギーも一緒についてきた——そして1年で消えた

肺の移植手術を受けた女性が、それまでなかったピーナッツアレルギーを発症しました。原因を調べていくと、肺を提供したドナーがピーナッツアレルギーを持っていたことが分かります。アレルギーが、臓器と一緒に引っ越してきたのです。カナダのトロントの医療...
生物

アドリア海に放たれた十数万匹の稚ダコが、駆除以外に担っているもの

この夏、イタリアのアドリア海に、生まれて数日の稚ダコが十数万匹放たれました。狙いは駆除です。北米から来たブルークラブ(学名 Callinectes sapidus)がこの海で爆発的に増え、アサリやムール貝の養殖を壊しているため、その天敵であ...