動画を作るAIの世界が、また一段にぎやかになってきました。テキストや画像を渡すだけで、音まで付いた動画を丸ごと生成してくれる——そんなツールのひとつが「Seedance(シーダンス)」です。2026年6月23日には新しいバージョンの発表もあり、いま話題になっている動画生成AIのひとつです。
名前は聞いたことがなくても、作っている会社の名前なら知っているかもしれません。動画編集アプリ「CapCut(キャップカット)」やショート動画でおなじみの、TikTokを運営する中国のByteDance(バイトダンス)社です。ここでは、Seedanceがどんなものか、いま何ができて、新しいバージョンで何が変わりそうなのかを、順番に見ていきます。

Seedanceの位置づけ
Seedanceは、ByteDanceが開発している動画生成AIです。やれることをざっくり言うと、「こんな映像がほしい」と文章で書いたり、もとになる画像を渡したりすると、それをもとに短い動画を作ってくれる、というものです。いわゆる「テキストから動画(text-to-video)」「画像から動画(image-to-video)」と呼ばれるタイプのAIで、ここ1〜2年で急に質が上がってきた分野です。
同じジャンルには、OpenAIの「Sora(ソラ)」、Googleの「Veo(ヴェオ)」、中国発の「Kling(クリング)」などがあります。Seedanceはそのなかでも、後で触れるように評価が高く、料金も比較的安いことで注目されています。
開発元と複数の呼び名
Seedanceを語るうえで少しややこしいのが、名前です。ByteDanceの動画AIは、使う場所によって違うブランド名で出てくることがあります。研究・法人向けの呼び名が「Seedance」で、ほかに創作アプリの「Dreamina(ドリーミナ/中国名・即夢)」、AIアシスタントの「Doubao(ドウバオ/豆包)」、そして動画編集アプリの「CapCut」などです。
名前は違っても、その裏で動いている動画生成の中身は同じものです。なので、ニュースで「Dreaminaの新機能」「Doubaoの動画」といった見出しを見かけても、Seedanceと別物ができたわけではなく、同じ技術を別の入り口から使っている、と考えるとすっきりします。
現行モデル Seedance 2.0 の特徴
いま実際に使えるのは「Seedance 2.0」です。ByteDanceの公式発表は2026年2月12日。中国国内が先行し、海外向けに広く使えるようになったのは、外部サービス経由でAPIが公開された同年4月9日ごろからです。
このバージョンの一番の特徴は、扱える「素材」の幅が広いことです。文章だけでなく、画像・動画・音声の4種類をまとめて入力できます。公式の説明では、画像なら最大9枚、動画3本、音声3本までを、文章の指示と一緒に渡せるとされています。たとえば「この画像の雰囲気で、この曲をBGMに、こういう場面を作って」といった、複数の手がかりを組み合わせた指示が出せる、というわけです。
もうひとつ実用的なのが、出力される動画の作りです。長さは最大15秒ですが、そのなかで複数のカットをまたぐ「マルチショット」——つまりカメラが切り替わる編集ずみの映像のような仕上がりになります。さらに、映像に合わせた音(効果音・BGM・声)も同時に生成され、左右に広がるステレオ音声で出てきます。映像と音を別々に作ってあとで合わせるのではなく、最初から一体で生成されるのがこのモデルの売りです。
新モデル Seedance 2.5 の発表内容
そして2026年6月23日、ByteDanceは自社のイベント「Volcano Engine FORCE」で、後継となる「Seedance 2.5」を発表しました。ここで大事な前提を先に書いておくと、2.5はこの記事を書いている時点ではまだ一般公開されていません。法人向けのベータ版が先に始まっていて、広く使えるようになるのは2026年7月初旬を目標とする、とされています。これはあくまでメーカー側の予定なので、実際の公開時期は前後する可能性があります。
発表で目玉として挙げられたのは、主に次の3点です。いずれも「現状のSeedanceや他社モデルで物足りなかった点」をねらった改良になっています。
1つめは、1回の生成で30秒の動画を作れること。これまでの動画AIは、品質を保てるのがおおむね5〜15秒ほどで、長い映像は短いクリップをつなぎ合わせて作るのが普通でした。30秒をひと続きで生成できれば、ショート動画や30秒CM1本ぶんを、切れ目なくまるごと作れる計算になります。
2つめは、参照できる素材の数を最大50個まで増やしたこと。2.0では十数個ほどだったのが大幅に増える形で、キャラクターの設定画・商品写真・色味の見本などをまとめて渡すことで、登場人物や商品の見た目を動画全体でブレさせない、という狙いです。
3つめは、映像の一部だけを描き直す編集です。背景や登場する商品だけを差し替えて、カメラの動きや照明など残りはそのまま保つ、といった使い方が示されました。動画まるごと作り直さなくても、一部分の変更ができる、というわけです。
なお、一部の報道では「2.5は4K対応」「3Dの下絵づくりに対応」といった追加の機能も伝えられていますが、これらはByteDance自身の公式資料ではなく二次的な情報にとどまっています(4K対応自体は、ひとつ前の2.0で確認されている機能です)。確定した仕様ではない点に注意してください。
性能ランキングと価格の現状
「2.5はすごそうだ」という話の信ぴょう性を支えているのは、実はすでに出ている2.0の評価の高さです。ここは切り分けが必要で、2.5そのものの性能を測った独立した評価はまだ存在しません。いま出回っている2.5のスコアらしきものがあれば、それは中身のない数字なので注意が必要です。
一方で、現行の2.0については、第三者が運営する「Artificial Analysis」という評価サイトの結果があります。これは、どのAIが作った動画かを伏せたまま人に見比べてもらい、好まれた方を勝ちとする方式のランキングです。そこで2.0は、テキストから動画・画像から動画の両方でトップに立っており、GoogleのVeo 3.1や中国のKling 3.0を上回っているとされています。
料金面でも差があります。同サイトの整理によると、2.0を1080pの動画1分ぶんに換算すると、おおよそ9ドル前後。これに対してGoogleのVeo 3.1は1分あたり24ドル前後、Kling 3.0 Proは20ドル前後とされ、高画質の動画をたくさん作るほど差が効いてくる、という位置づけです。動画AIの価格は変わりやすいので、実際に使うときは最新の料金を確認してください。
使うときの留意点
最後に、新しいモデルの話につきものの注意点をまとめておきます。
まず、2.5の目玉機能はいまのところメーカーの発表内容であって、独立した検証はこれからです。「30秒」「参照50個」「部分描き直し」も、一般公開後に第三者が試して初めて、実際の使い勝手がわかります。公開時期も予定であり、前後する可能性があります。
もうひとつ、これは動画生成AI全般に言えることですが、実在の人物の顔や、他社のブランド・キャラクターを動画に使う場合は、本人の同意や利用許可といった権利の確認が欠かせません。ByteDance自身も、人物の顔を素材に使うには本人確認や事前の法的許可が必要だと注意書きを添えています。便利になるほど、こうした足元の確認は省けない部分です。
つまり、いまの段階での現実的な向き合い方は、「2.5の公開を待つ」よりも、「すでに使える2.0などで小さく試しながら、新機能は出てから判断する」あたりに落ち着きそうです。動画AIは動きが速い分野なので、最新の状況は公式の発表で確かめるのが確実です。
出典・もっと知りたい人へ
この記事の内容は、以下をもとにまとめています(いずれも新しいタブで開きます)。
・ByteDance Seed 公式ブログ:Seedance 2.0 Official Launch
・Seedance 2.0 モデルページ(ByteDance Seed)


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