ひろゆら

古生物学

【カンブリア紀の生物】ハイコウイクチス – 最古の魚には目が4つあった

名前ハイコウイクチス(学名 Haikouichthys ercaicunensis/「耳材村(アルツァイツン)産の、海口(ハイコウ)の魚」の意味)分類脊索動物門 ミロクンミンギア科。あごを持たない無顎類(むがくるい)で、最古級の脊椎動物とさ...
医学・健康

遺伝子を69か所書き換えたブタの腎臓で、男性は9か月透析を離れた

ブタの腎臓が、人の体の中で271日はたらいた。9か月近い。そのあいだ、その人は透析を受けずに暮らし、最後はヒトの腎臓の移植を受けた。動物の臓器を「ヒトの臓器が見つかるまでのつなぎ」として使う——その発想が、実際の患者ひとりの上で成立したこと...
科学・宇宙

太陽は生まれてすぐに惑星をひとつ飲み込んだのかもしれない

太陽のことは、どの星よりもよく分かっています。質量も半径も年齢もはっきりしていて、内部の様子まで測られている。ところが、その太陽を計算で再現しようとすると、どうしても合わない場所がいくつか残ります。この食い違いが、太陽が生まれて間もないころ...
科学・医療

ナルコレプシーの正体を教えたのは、興奮すると崩れ落ちるイヌだった

2026年9月9日、米国のラスカー財団は、2026年アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を、筑波大学の柳沢正史(やなぎさわ まさし)教授と、スタンフォード大学のエマニュエル・ミニョー教授に贈ると発表しました。受賞理由は、脳の中で目覚めを保って...
テクノロジー・社会

電気でも水でもなく「何を計算するか」で揉めたデータセンター説明会

データセンターの建設に住民が反対する話は、もう珍しくない。電気代が上がる、水を使う、うるさい。理由はだいたいそのどれかだ。ところが今週、米ミシガン州の小さなタウンシップで開かれた説明会は、少し様子が違った。住民が問い詰めていたのは、電気や水...
AI

人には2つ、AIには1つしか読めないフォント「Decoy Font」の仕組みと限界

同じ文字を見ているのに、人間には2つの言葉が読めて、AIには1つしか読めない。そんなフォントが2026年7月に公開されました。サンフランシスコのフォント企業Mixfont(ミックスフォント)が作った「Decoy Font(デコイフォント)」...
科学・宇宙

火星の谷を動かしているのは水ではなくドライアイスだった

火星の斜面には、水が流れて削ったようにしか見えない谷があります。細い水路が上から下へ伸び、末端には扇状に土砂が広がっている。地球の山でよく見かけるガリー(雨水がえぐった小さな谷)とそっくりで、2000年に初めて報告されたときは「火星にいまも...
歴史・考古学

探知機がもう一度鳴った——フィンランド最大のバイキング時代の銀貨埋蔵品

フィンランド南部の森で、金属探知機の趣味人が銀貨の山を掘り当てました。それだけでも十分な話なのですが、この発見の見どころは掘り終えたあとにあります。少し離れた場所で探知機がもう一度鳴り、そこにもう一つ、同じような銀の塊が埋まっていたのです。...
生き物

クマムシにもできない、世代をまたぐDNA修復

放射線にめっぽう強い小さな生き物といえば、クマムシの名前が真っ先に出てきます。ただ、同じコケの中に住んでいる別の生き物が、クマムシにもできないことをやってのけていました。ヒルガタワムシの一種、アディネタ・ヴァガ(Adineta vaga)で...
科学・地球

イタリアの山脈の下で、地殻の底が剥がれ落ちている

イタリア半島の背骨にあたるアペニン山脈の下で、地殻の底の部分がめくれて、マントルへ落ちていっている。フィレンツェ大学のステファノ・タヴァーニ氏を中心とするイタリアとスペインの研究チームが、2026年9月7日付で査読誌のCommunicati...
AI

AIは家畜は避けて野生動物を轢く——命ではなく「農家の財産」を計算していた

畑の真ん中にトラクターが止まっている。前にはブタが一頭。まっすぐ進めば燃料はかからない。よけて回れば、そのぶん燃料を余分に使う。さて、どうするか。この判断を、人間ではなくAIにやらせてみた研究があります。Compassion Aligned...
医学・健康

白斑に1日1回の飲み薬——48週で顔の色が大きく戻った人が4人に1人、614人の第3相試験

皮膚の色が白く抜ける「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」に対して、1日1回の飲み薬で色が戻ってきた、という臨床試験の結果が医学誌The Lancetに載りました。薬の名前はウパダシチニブ。もともと関節リウマチやアトピー性皮膚炎の薬として...
古生物学

【カンブリア紀の生物】ネクトカリス – エビでも魚でもイカでもなく、矢虫のなかまだった

名前ネクトカリス(Nectocaris pteryx)。属名は「泳ぐエビ」、種小名は「翼」の意味分類毛顎動物(矢虫)に近い系統とする説が有力(2025年)。ネクトカリス科時代カンブリア紀(約5億1800万〜5億800万年前)発見地カナダ・バ...
古生物学

【カンブリア紀の生物】三葉虫 – 目のレンズが方解石の結晶でできていた

名前三葉虫(さんようちゅう) 学名 Trilobita「三つの葉」の意味分類節足動物門・三葉虫綱(絶滅)時代カンブリア紀前期(約5億2100万年前)〜ペルム紀末(約2億5200万年前)発見地世界各地。モロッコ、北米、チェコ、中国などが有名で...
古生物学

【カンブリア紀の生物】サッコリタス – 肛門のない1mmの袋が人類の祖先と呼ばれた理由

名前サッコリタス(Saccorhytus coronarius)。ラテン語の「袋(saccus)」とギリシャ語の「しわ(rhytis)」から。種名の coronarius は「冠のような」の意味で、突起に縁取られた口を指す分類脱皮動物(節足...
生き物

尾がクモそっくりのヘビをCTで撮ったら、中の骨はごく普通だった

イランに、尾の先がクモそっくりの形をしたヘビがいます。クモオビクサリヘビ(Pseudocerastes urarachnoides)という毒ヘビで、岩場にじっと体を溶け込ませたまま尾だけを小刻みに動かし、クモだと思って降りてきた鳥を襲います...
テクノロジー・AI

月の見え方は太陽の角度で決まる——NASAとIBMが月面AIモデルを無料公開

NASAとIBMが、月面の観測データを一つにまとめて学習させたAIモデル「NASA-IBM Lunar Foundation Model」を、2026年9月10日に公開しました。学習済みの重み(モデルの中身そのもの)は、AIモデルの共有サイ...
AI

攻撃者が「触るな」と命じた相手を、AIエージェントが勝手に攻撃した

攻撃を仕掛けた本人が「ここには手を出すな」と言い含めていた相手を、AIエージェントの群れが勝手に攻撃していた——。セキュリティ企業のGreyNoiseが、印刷管理ソフト「PaperCut NG/MF」の脆弱性を突いた大規模な攻撃を調べたとこ...
テクノロジー

手首の時計が会話を文字にする——同意していないのは向かいに座っている人

2026年9月9日、Appleが発表したApple Watch Series 12には、これまでの時計にはなかった種類の機能が載った。デジタルクラウン(側面の丸いボタン)を2回押すと、直前の15秒間に周囲で話されていたことが文字になって画面...
科学・物理

氷にならない水──マイナス70℃で起きたガラス転移

水を冷やしていくと、ふつうは0℃で凍る。少し手を加えれば0℃を下回っても液体のままにできるが、それにも限界があって、マイナス45℃あたりでどんな水も自分から凍りはじめる。そこから先は、凍らない水を誰も見たことがない領域だった。スイス連邦工科...
生物

フクロオオカミは羊を襲えなかった——頭骨225点が覆した絶滅の理由

フクロオオカミは、羊を襲うから殺された。教科書にも博物館の解説板にも、だいたいそう書いてあります。1800年代の初めにヨーロッパから来た入植者が、タスマニア島に残っていたこの動物を家畜の敵とみなし、州政府が懸賞金を出して駆除を進め、1936...
古生物学

「アメリカチーター」はチーターではなかった——古代DNAが明かしたピューマとの血縁

「アメリカチーター」と呼ばれてきた絶滅ネコ科の動物が、チーターの仲間ではなかった。そんな結果が、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の古ゲノム研究室から報告されました。研究をまとめたのは博士課程のMolly Cassatt-Johnstone...
科学・宇宙

12キロメートル手前で止まった――救出機LINKはNASAスウィフト望遠鏡にどこまで近づけたのか

NASAのスウィフト観測衛星を救うために打ち上げられたロボット宇宙機「LINK(リンク)」が、結局どこまで行けたのか。その答えが、NASAと運用元のカタリスト・スペース(Katalyst Space Technologies)から9月4日に...
科学・宇宙

水星は思っていたより10〜30%多く縮んでいた——崖を隠していたのはクレーターの岩だった

水星は、生まれてからずっと縮み続けている惑星です。表面には高さ数百メートルから1.5kmほどの崖が何千本も走っていて、これは内部が冷えて体積が減り、行き場のなくなった地殻が押し合って盛り上がったもの。太陽系でこれほどはっきりと「縮んだ痕」が...
医療・健康

麻酔薬ケタミンの効く理由に見落としがあった——原子レベルの画像が捉えたオピオイド受容体との結合

手術の麻酔薬として50年以上使われてきたケタミンが、脳のどこに効いているのか。その説明に、新しい項目が一つ書き足されました。ワシントン大学医学部(米セントルイス)の薬理学者タオ・チェ氏らのチームが、ケタミンが「オピオイド受容体」に直接くっつ...
科学・宇宙

打ち上げ6週間前に届いたフォボスの新しい地図 MMXの砂はどこから来たのか

打ち上げ直前に届いたフォボスの「地図」日本の火星衛星探査機MMXが種子島から飛び立つのは、2026年10月20日の早朝です。目的地は火星の衛星フォボス。表面の砂を採って、2031年度に地球へ持ち帰る計画です。その打ち上げまであと6週間という...
古生物学

【カンブリア紀の生物】オパビニア – 学会で笑われた復元図が、そのまま定説になった

名前オパビニア(Opabinia regalis)。属名はカナダの山道「オパビン峠」に由来し、種小名は「王の」の意味分類汎節足動物。節足動物の祖先系統(ステムグループ)に置かれる時代カンブリア紀中期(約5億800万年前)発見地カナダ・ブリテ...
AI

AIに1911年より前の知識だけを与えたら、相対性理論にたどり着けるのか

1911年より前に書かれた文章だけを読ませたAIに、アインシュタインと同じ問いを投げたら、一般相対性理論にたどり着けるのか。Google DeepMindのデミス・ハサビス氏が2026年2月、ニューデリーのAIサミットでこう提案しました。そ...
テクノロジー

Googleがフィンランドの原発と22年契約を結んだ理由

Googleが9月9日、フィンランドに今後2年(2027〜2028年)で少なくとも130億ユーロ(約150億ドル)を投じると発表しました。中身はデータセンターの拡張と新設で、Googleにとってヨーロッパでは過去最大の単独投資になるそうです...
テクノロジー

974件直しても、攻撃に使われていたのは2件——Microsoft史上最多のパッチが示したこと

Microsoftが9月8日(米国時間)に配った月例のセキュリティ更新で、自社製品の脆弱性が974件まとめて直りました。1か月分の修正としては過去最多です。しかも、そのうち2件はすでに攻撃に使われていたことが分かっています。974という数字...