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超加工食品は体によくない、という話はもう聞き飽きたかもしれません。その理由として挙げられるのは、たいてい中身です。脂肪と砂糖が多く、食物繊維とタンパク質が少ない。では、その中身を全部そろえてしまったら、違いは消えるのでしょうか。バージニア工科大学フラリン生物医学研究所のZach HutelinさんとAlexandra DiFeliceantonioさんらは、カロリーも三大栄養素も水分も塩分も1%以内でそろえた2つの300キロカロリーの食事を同じ人に食べてもらい、体と脳の反応を比べました。2026年10月5日の Nature Metabolism に出た結果は、「それでも違う」でした。
栄養表示を書けば、ほとんど同じ2食
片方の食事は、超加工食品だけで組んであります。白パンのピーナツバター・ジャムサンドをひと口分、スライスしたハム、インスタントのマッシュポテト、チョコチップクッキー、糖衣つきのシリアル、野菜チップス、それに少量の水。食品の加工度を4段階に分けるNOVA分類で、いちばん加工度の高いグループ4にあたるものばかりです。もう片方は、ゆで卵、バナナ、クランベリー、チーズ、少しの塩。NOVA分類でいちばん加工度の低いグループ1です。
見た目はまるで違いますが、どちらも300キロカロリーで、炭水化物・脂質・タンパク質・水分・塩分の量が1%以内で一致するように組んであります。Hutelinさんは「もし栄養成分表示をつけたら、2つはほとんど同じになる」と話しています。

密閉した部屋で、3時間
試験に参加したのは18〜45歳の健康な体重の成人57人で、そのうち32人が食事の実験を最後まで終えました。参加者は一晩絶食したあと、エネルギー消費を測るための気密の代謝チャンバーに入り、ベッドに横になって基準値を測ってから、10分以内に片方の食事を食べます。食べた直後と、その後3時間のあいだに6回、血液を採ります。もう片方の食事は3日以上あけた別の日に食べ、どちらを先にするかは無作為に決めました。
結果は、Hutelinさんの言葉を借りれば「すべての代謝の指標で差が出て、驚いた」というものでした。血糖は、3時間の総量では差がなく、どちらも食後40分ごろに山を迎えましたが、超加工食品のほうが少し長く高めに残りました。はっきり違ったのはインスリンです。超加工食品を食べたあとは、食後40分から120分にかけてインスリンが高く、戻るまでに時間がかかりました。エネルギーの消費量は超加工食品のほうが多く、燃やす燃料の内訳も違い、超加工食品のあとは炭水化物を燃やす量が少なく、脂肪を燃やす量が多くなっていました。
脳も、別の反応をしていた
この研究にはもうひとつの柱があります。別の日に、参加者に食品の写真を見せながら機能的MRIで脳の活動を撮り、その食品にいくら払うかを答えてもらう実験です。参加者が答えた金額には、超加工食品と最低限の加工の食品で差がありませんでした。本人は、どちらをより欲しがっているとも思っていないわけです。
ところが脳の反応は違いました。報酬や動機づけに関わる腹側線条体や側坐核の活動が、2種類の食品の写真で異なっていたのです。食品への評価と脳の活動の結びつきは、最低限の加工の食品では正の相関、超加工食品では負の相関になっていました。さらに、食事の実験と脳の実験の両方のデータがそろった人を見ると、2食のあいだで炭水化物の燃焼のピークがどれだけ違ったかが、食品の写真に対する線条体の反応の違いと結びついていました。体の燃料の使い方と、脳が食べ物の手がかりに返す反応が、同じ方向にずれていたことになります。

「加工」の何が効いているのかは、まだ分からない
栄養をそろえても差が出た以上、残る候補は加工そのものです。研究チームは、加工で食品の物理的な構造が変わって消化と吸収の速さが変わること、乳化剤などの添加物の働きを挙げていますが、今回の実験ではどれが原因かまでは特定できていません。超加工食品の食事のほうが添加物は多く、タンパク質の由来も違い、食物繊維の総量以外に食品の構造は測っていません。試したのは300キロカロリーの食事を1組だけで、参加者は若く健康な人に限られます。数時間の反応を見た実験なので、長い目で見た健康への影響を語れるものでもありません。
DiFeliceantonioさんは、次は添加物や特定の加工工程を個別に調べたいと話しています。NOVA分類を作ったサンパウロ大学のCarlos Monteiroさんは、脳の反応まで調べた点を「脳が最終的に食行動を決めている以上、新しく重要な貢献だ」と評価しています。研究の資金は米国立衛生研究所(NIDDK)の助成と米国科学財団の大学院フェローシップです。
「超加工食品が悪いのは栄養のせい」という説明では足りない部分がある、というのが今回の結論です。何を食べるかの判断材料としてではなく、「加工」という言葉の中身を解きほぐす研究が始まった、という話として読むのがよさそうです。
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出典
- Hutelin, Z. et al. (2026) “Metabolic and neural responses to ultraprocessed foods: a randomized, controlled, crossover study.” Nature Metabolism. https://doi.org/10.1038/s42255-026-01619-4
- Research Briefing “Ultraprocessed foods evoke distinct metabolic and neural responses.” Nature Metabolism(2026年10月5日)https://doi.org/10.1038/s42255-026-01618-5
- News-Medical “Ultraprocessed meals produce distinct metabolic and brain responses”(バージニア工科大学の発表、2026年10月5日)https://www.news-medical.net/news/20261005/ultraprocessed-meals-produce-distinct-metabolic-and-brain-responses.aspx
- ScienceAlert “Scientists Gave People 2 Nearly Identical Meals. One Triggered Much More Insulin.”(2026年10月11日)https://www.sciencealert.com/scientists-gave-people-2-nearly-identical-meals-one-triggered-much-more-insulin


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