考古学

考古学

持ち上げられない炎の把手——米クリーブランド美術館の火焔型土器が「謎」と紹介される理由

米オハイオ州のクリーブランド美術館が収蔵する縄文土器が、2026年8月17日、アメリカの科学ニュースサイトLive Scienceで紹介されました。高さ61センチ、直径約56センチ。「火焔型土器(かえんがたどき)」と呼ばれる様式の土器で、現...
考古学

交通事故の症例に似ていた中世の人骨——正体は攻城兵器の石だった

骨折が160か所以上。そのほとんどが頭蓋骨と肋骨に集中している。骨を調べた研究者が最初に思い浮かべたのは、中世の戦い方ではなく、現代の交通事故でした。この人骨が掘り出されたのは1997年、スコットランドのスターリング城です。城の礼拝堂の下か...
歴史・考古学

涸れ井戸から43体、戦いの傷がない——ローマ帝国を襲った疫病の犠牲者か

クロアチア東部の都市オシエクで、ローマ時代の深い井戸から少なくとも43体分の人骨が見つかっています。発掘そのものは2008年。それから18年たった2026年8月、ベルリンで開かれた第25回ヨーロッパ古病理学会の年次大会で、この骨たちが「誰で...
歴史・考古学

王がいなくても作れた——コロンビアの巨大水路網が覆す「大工事=強い権力」の常識

コロンビア北部の低地に、宇宙からも見えるほど巨大な古代の水路網が残っています。作ったのは、およそ2000年前からこの湿地に住んでいた人々。総面積は50万ヘクタールを超え、日本でいえば四国の3分の1ほどに相当する規模です。これほどの大工事とな...
歴史・考古学

2,500年前の像が無傷で残った理由は、ローマ人が「道に敷いた」から

トルコ西部のサルディス遺跡から、高さ2.2メートルの大理石像が出ました。若い男性の立像で、右手に果実らしきものを持っています。二つに割れていて、足先といくつかの破片は欠けたままです。制作されたのは紀元前470〜450年ごろ。つまり、およそ2...
考古学

180万年前、人類は洞窟の奥に火を持ち込んでいた——南アフリカの焼けた骨が示す最古級の証拠

南アフリカのウォンダーワーク洞窟で、人類の火の使用をめぐる記録が大きく塗り替えられそうです。洞窟の奥から見つかった焼けた骨を新しい手法で分析したところ、107万〜179万年前という、これまでの最古記録を大きくさかのぼる時代に、火が繰り返し洞...
考古学

伝説のウーツ鋼の謎を解いたのは「炉の置き場所」だった

スリランカの内陸部、丘や尾根のてっぺんに、奇妙な炉の跡が何百も並んでいます。ふつうの製鉄炉とはまるで形が違い、動力もふいごも使った形跡がない。この炉が、モンスーンの風だけを頼りに、当時世界最高品質の鋼を生み出していた——エクセター大学の考古...
歴史・考古学

コロッセオのそばで出た「豪華すぎる建物」、正体は古代ローマの消防署かもしれない

ローマのコロッセオからほど近いチェリオの丘で、モザイクとフレスコ画で飾られた古代ローマの建物が掘り出された。イタリア文化省が2026年8月に発表したもので、建てられたのは西暦2世紀、3世紀に改修された跡がある。部屋は8室、うち5室が完全に発...
歴史・考古学

8月のあいだ、ストーンヘンジの石の輪に入れるのは1日ひと組

イングランドの史跡を管理する慈善団体イングリッシュ・ヘリテッジが7月29日、ストーンヘンジの石の輪の中に、この8月のあいだ毎日ひと組だけを入れると発表した。応募の手続きはない。8月中の見学チケットを訪問日の72時間以上前に公式サイトで買えば...
考古学

脳だけが腐らずに残る理由は「腐敗が自分で自分を止めるから」だった

数千年前の墓を掘ると、骨だけになった遺体のなかに、脳だけが残っていることがあります。皮膚も内臓も筋肉も土に還っているのに、死んだあといちばん早く溶けてなくなるはずの脳が、縮んだ塊としてそこにある。長いあいだ説明のつかなかったこの現象に、オッ...
歴史・考古学

500年前のミイラの骨から、天然痘ウイルスのゲノムが読めた

「ヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘が、南米の先住民社会を壊滅させた」。歴史の授業で習うこの話には、ずっと足りないものがあった。ウイルスそのものである。チリ北部の遺跡から出た2人の遺体の骨から、天然痘ウイルスの遺伝情報が読み出された。系統をたど...
考古学

4万年前の指先の鳥——マンモスの牙に彫られた2センチの像

マンモスの牙から彫り出された、親指の爪ほどの鳥の像が2体。長さはおよそ2センチ、重さは1.3グラムと0.7グラムです。1円玉1枚が1グラムなので、片方はそれより軽い。彫られたのは、いまからおよそ4万年前でした。目を引くのは、2体が別々の姿勢...
古生物学

氷河期の狩人が仕留めたマンモスは、7割がメスだった

氷河期の遺跡から出てくるマンモスの骨は、7割がメスのものだった。ユーラシアから北米まで521頭ぶんの骨からDNAを読み、一頭ずつ性別を判定した結果です。同じ時代でも、人の痕跡がない場所から出てきた骨は、逆に3分の2がオスでした。氷河期の狩人...
歴史・考古学

樹冠の下から400基近い幾何学構造。アマゾンに想像より大きな文明があった

ブラジル・アマゾンの森の上を、小型機がレーザーを撃ちながら飛ぶ。葉のすきまを抜けた光が地面ではね返り、往復にかかった時間から地形の凹凸が割り出される。そうして描かれた地図に、幾何学的な溝と土手のかたまりが432基も並んでいました。しかもその...
歴史・考古学

地面から真上に突き出た金属、2700年前の青銅の剣だった

ポーランド北部、グダンスク近郊の森で、地面から細長い金属が真上に突き出ているのが見つかりました。掘り当てたのは、金属探知機を趣味にしている地元の男性です。ただ、この人はそこで手を止めました。無理に抜けば壊してしまうかもしれない、下にまだ何か...
歴史・考古学

金属探知機が拾った小さなタイル、その下に12㎡のローマ・モザイクが眠っていた

金属探知機が反応したのは、ローマ時代の硬貨だった。イングランド南西部デヴォン州の農地で、趣味の探知をしていたジョン・ヒル氏がそれを見つけたのは2004年のこと。同じ畑には小さな色つきの石のかけらも落ちていて、それがモザイクのタイルだと分かっ...
歴史・考古学

1000個の破片から組み直される、ポンペイの天井画

ジグソーパズルの1000ピースといえば、休みの日をまるごと使うくらいの分量。イタリア・ポンペイの修復チームがいま向き合っているのは、それとだいたい同じ数の漆喰(しっくい)の破片だ。ただし完成図はない。ピースの形もそろっていない。そもそも全部...
歴史・考古学

割れずに残った400年前の器——フロリダの伝道所跡で学生が掘り当てる

フロリダ大学の考古学実習で、学生たちが約400年前の土器を掘り当てた。手のひらに載るくらいの小さな器で、灰色のなめらかな表面に飾りはなく、縁がわずかに外へ開いている。特筆すべきは、それが割れずに、完全な形のまま出てきたことだ。土器はふつう、...
考古学・歴史

7000年前、山の湖に運ばれたマス——農耕より前に始まっていた「魚の放流」

ノルウェーの山の中に、テッセ湖という湖があります。標高はおよそ850メートル。ここには昔からブラウントラウト(マスの一種)が泳いでいて、地元では有数の釣り場として知られてきました。ところが、この魚がどうやってここへたどり着いたのかは、長いあ...
考古学

オーストラリアの洞窟に残された、2万5千年続いた呪術の記録

オーストラリア南東部にある洞窟の床から、2万5千年ものあいだ続いた儀式の跡が見つかりました。先住民グナイクルナイの人々と考古学者が一緒に堆積物を調べたところ、特定の草がわざわざ洞窟に運び込まれ、繰り返し燃やされていたことが分かったのです。決...
考古学

副葬品だと思われていた弓は、本物だった——約4000年前のエジプト王女たちの骨が語ること

副葬品の弓は、飾りではなく本物だったエジプトのピラミッド群から出た、約4000年前の王家の人たちの骨。その中に、弓や棍棒(こんぼう)、短剣といった武器と一緒に埋葬された女性たちがいた。長いあいだ、この武器は「身分や象徴を示す飾りだろう」と考...
歴史・考古学

アルフレッド大王の遺骨は、いま駐車場の下に眠っている?——研究者が「場所を特定」と主張

イングランド王アルフレッド大王。ヴァイキングの侵攻からウェセックスを守り、のちの統一イングランドの土台を築いたとされる9世紀の王だ。その遺骨は、100年以上も行方が分からないままになっている。そこへある研究者が「場所を突き止めた」と主張して...
歴史・考古学

「死者に来世の声を」——エジプトの港町で金の舌が24点見つかった

亡くなった人の口のなかに、舌の形をした薄い金の板を納める。来世で神の前に立ったとき、ちゃんと言葉を話せるように——。そんな古代エジプトの埋葬のならわしを裏づける金の遺物が、地中海に面した港町の跡から24点まとめて見つかった。エジプト観光・考...
歴史・考古学

ミイラの体の中から、ホメロス『イリアス』が出てきた

ミイラの体の中から、ホメロスの叙事詩が出てきたエジプトで見つかった約1600年前のミイラを調べていたら、その腹部からパピルス(古代の紙)の断片が出てきた。書かれていたのは、ホメロスの叙事詩『イリアス』の一節だった——という発見が、バルセロナ...
科学

洞窟の壁から古代人のDNAを回収する

洞窟の壁にそっと手を当てる。ただそれだけで、その人の細胞のかけらが石の表面に移り、何千年ものあいだそこに残っていた——そんなことが実際に起きていた、という研究が発表されました。骨も歯もひとつ残っていない洞窟でも、壁そのものを調べれば「かつて...
科学

バルト海の孤島に5000年前のオオカミ、家畜化の常識を揺らす

人が船で渡るしかない、バルト海の小さな岩の島。そこから、3000〜5000年前のオオカミの骨が2頭ぶん見つかりました。オオカミは自力で海を越えられないので、答えはひとつ——人が連れて行った、ということになります。しかもその骨をくわしく調べる...
テクノロジー

ベスビオ火山が封じた2000年前の哲学書、開かずに全文を読み解く

西暦79年、ベスビオ火山の噴火で炭になったまま地中に眠っていた巻物(パピルス)から、約2000年前の哲学書の中身が読み解かれました。すごいのは、その巻物を一度も開かずに、端から端まで読み通したところです。炭化した巻物は触れるだけで崩れてしま...