Nature

科学

性格はどこまで遺伝子で決まるのか――114万人の答えは「1割前後」

2026年9月2日、性格と遺伝子の関係を調べた過去最大の研究がNature誌に掲載されました。ミシガン州立大学のTed Schwaba氏らによる国際チームが、46の研究グループのデータを束ね、最大114万人分のゲノムを解析したものです。この...
古生物学

昆虫は陸に上がる前、水際にいた——3億2400万年前の再同定

アメリカ・テキサス州西部で1985年に採集された1個の化石が、41年ぶりに名前を変えました。長いあいだ「甲殻類の子ども」として博物館の引き出しに収まっていた標本を、ケンブリッジ大学と中国科学院南京地質古生物研究所(NIGPAS)を中心とする...
宇宙

銀河系の外で初めて見つかった球状星団の星の帯、その名は「親潮」

2026年8月12日、科学誌Natureに少し変わった名前の天体が登場しました。その名は「Oyashio(親潮)」。地球から約1億1500万光年離れた銀河で見つかった、細く淡い星の帯です。星の帯そのものも大発見なのですが、それと同じくらい目...
物理

静電気を帯びた水滴が金属の塗膜を壊す――酸性雨とは別の「電気の腐食」が見つかった

金属が錆びる理由を聞かれたら、たいていの人は水と酸素、あるいは酸性雨を挙げると思います。つまり、錆は化学の話だと考えられてきました。ところが、ドイツのマックス・プランク高分子研究所のチームが2026年8月26日付でNature誌に発表した研...
科学・宇宙

火星の南半球は地下まで熱かった——探査機の「軌道のふらつき」16年分が描いた温度地図

火星の地下から、意外な報告が届きました。2026年8月26日付でNature誌に掲載された論文によると、火星のマントル——地殻と核のあいだに広がる分厚い岩石の層——は、南半球のほうが北半球より200〜400℃も熱いというのです。200〜40...
研究倫理

抗体カタログから1万8000点超の「疑わしい画像」——27万点を1点ずつ目視した調査

生物学の実験の多くは、「抗体」という試薬に支えられています。狙ったタンパク質にだけくっつく分子で、細胞の中に目当てのタンパク質があるかどうかを確かめるとき、まず頼るのがこれです。メーカーのカタログには、「この抗体はちゃんと働きます」という証...
歴史

中世ヨーロッパを2年で16回襲った洪水と、ひとつだけ名前が残った理由

1342年7月、中央ヨーロッパの川が一斉にあふれました。橋という橋が落ち、川沿いの集落は流され、畑の土そのものが削り取られました。「マグダレーナ洪水」と呼ばれるこの災害は、過去1,000年でヨーロッパを襲った最悪の自然災害のひとつに数えられ...
地球科学

融ける永久凍土に、CO2を吸い込む働きが見つかった——チベット高原50河川の調査

永久凍土(えいきゅうとうど)が融けると、閉じ込められていた炭素が放出されて温暖化がさらに進む——気候の話でよく聞く、この一方通行の図式に「例外」が見つかった。スウェーデンのウメオ大学と中国の華東師範大学の研究チームが、チベット高原の50本の...
脳科学

マジックマッシュルームの成分で脳はばらばらにならない?5年がかりのNature論文が見つけた隠れた秩序

マジックマッシュルームの成分「シロシビン」を摂った脳は、活動がばらばらになって無秩序に陥る——これが、この分野で長く共有されてきた理解でした。ところが、オーストラリアのモナシュ大学のチームが5年をかけて集めた大規模な脳画像データから、その「...
脳科学

「ミニ脳」を5年育てたら、細胞が時間を記録していた

人のiPS細胞などから作る、脳に似た小さな組織——脳オルガノイド、通称「ミニ脳」。これを5年以上にわたって育て続けることに、ハーバード大学のパオラ・アルロッタ氏らのチームが成功しました。これまで公表されていた最長記録は2年弱で、通常は数か月...
医学・健康

新型コロナで目を覚ます、体の奥のウイルスたち 入院患者1,154人の追跡調査

新型コロナで入院した患者1,154人を1年間追いかけたところ、入院から40日以内に、およそ半数で「体に眠っていた別のウイルス」が動き出していた。テキサス大学オースティン校のエスター・メラメド氏らのチームによる報告で、2026年8月5日にNa...
科学・宇宙

巨大太陽嵐の被害に「上限」はなかったかもしれない——NASAが見抜いた統計の錯覚

太陽から強烈なプラズマの塊が飛んでくると、地球のまわりの磁場が大きく乱れます。これが磁気嵐(じきあらし)で、ひどいときには停電やGPSの乱れ、人工衛星の故障を引き起こします。この磁気嵐について、宇宙物理の世界には数十年ものあいだ信じられてき...
科学・宇宙

銀河の外に「裸」で浮かぶブラックホール星——JWSTの「小さな赤い点」の謎に迫る発見

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が初期の宇宙を撮り始めてから、説明のつかないものが写り続けています。「小さな赤い点(little red dots)」と呼ばれる、ぽつぽつとした赤い天体です。MIT(マサチューセッツ工科大学)などの...
科学・宇宙

太陽の表面に無数の渦、正体は雲や波と同じありふれた現象だった

ハワイ・マウイ島のハレアカラ山頂近くに、世界最大の太陽望遠鏡がある。米国立科学財団(NSF)が運用するダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡だ。2026年8月5日、この望遠鏡が撮影した「史上最高解像度の太陽表面」の画像と映像が公開された。そこに写...
生物

湖のナマズに広がる「うつるがん」——魚では初めての報告

アメリカとカナダの国境にまたがる湖で、ナマズの一種にできた黒い腫瘍が、魚から魚へ乗り移っていることがわかりました。がん細胞そのものが感染するという、魚では初めての報告です。先に書いておくと、これは人にうつる話ではありません。ただ、この結論は...
生物学

ハダカデバネズミの女王は「におい」でライバルの繁殖を止めていた

女王が出す、たった一種類のにおい。それだけで、群れのほかのメスは子を産めなくなる——地下に社会をつくる哺乳類ハダカデバネズミをめぐる「なぜ女王だけが繁殖するのか」という長年の謎に、一つの答えが見つかりました。ベルリンのマックス・デルブリュッ...
生物・生命科学

ミツバチが自力で作れない栄養素を、遺伝子組み換え酵母に作らせる

遺伝子を組み替えた酵母を粉にしてミツバチに食べさせたら、巣が育て上げたサナギの数が最大で15倍になった。オックスフォード大を中心とするチームが、そんな結果を報告しています。ミツバチの減少は長く問題になっていて、原因もダニ、ウイルス、農薬、気...
物理

回転するブラックホールから「エネルギーを奪う」——ペンローズ過程を実験室で再現

回転しているブラックホールは、その回転そのものにエネルギーを蓄えています。うまい手を使えば、その一部を外へ持ち出せる——ロジャー・ペンローズが1969年に示したこの理屈が、ニューヨークの実験室で、机の上の電子回路の上に再現されました。しかも...
テクノロジー

人型ロボット2体だけで手術を完遂——UCSDが示した「汎用機」の実力

人の形をしたロボットが、腹腔鏡(ふくくうきょう)の器具を握って胆嚢(たんのう)を摘出した。しかも2件目は、ロボット2体だけのチームでやり遂げている。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の工学チームと外科チームが、7月8日付のNatu...
医学・健康

mRNAがんワクチンは二つの経路で効いていた——常識をくつがえした免疫細胞cDC2

新型コロナのワクチンで一気に知られるようになったmRNAワクチンを、今度はがんの治療に使おうという研究が各地で進んでいます。その効き方について、「これがないと効かない」と長く信じられてきた免疫細胞が欠けていても、mRNAがんワクチンはしっか...
AI・テクノロジー

ChatGPTの「学習効果」論文、Nature系ジャーナルが撤回──AI教育のエビデンスを問い直す

ChatGPTを勉強に使うと、成績がぐんと上がり、学ぶ意欲も、深く考える力も伸びる——。2025年にそう結論づけた論文が、公開から約1年で撤回されました。掲載していたのは、あの科学誌『Nature』と同じ出版社が出す学術誌。AIの教育効果を...
宇宙・天文

宇宙の「網」は想定よりずっと大きかった――DESIが揺るがす宇宙論の大前提

宇宙には、銀河が網の目のようにつながった巨大な構造がある。「コズミックウェブ(宇宙の網)」と呼ばれるもので、ダークマター(目に見えない物質)とガス、そして銀河が、糸状のフィラメントと、その節にあたる銀河団、広大な空洞(ボイド)でできた立体的...
科学ニュース・論文

金の微細構造で、ナノのすきまを越える熱を最大4倍に

熱いコーヒーはそのうち冷め、動かしているノートパソコンは手のひらに熱を伝えてくる。熱は高いほうから低いほうへ、まわりへ自然と散っていく——これがふだん私たちが知っている熱のふるまいだ。ところが、ものとものとのすきまを、髪の毛の太さよりはるか...
科学ニュース・論文

87年ぶりに「見えた」現象——暗黒物質探しの土台を固めた初観測

1939年に予言されながら、87年ものあいだ誰も直接は見たことがなかった現象が、ついに実験で確かめられました。「ミグダル効果」と呼ばれるごく小さな現象で、宇宙の正体に関わる暗黒物質(ダークマター)を探すための、確かな足場になると期待されてい...