同じ星をまわる「超ふわふわ惑星」を2つ発見、密度は綿菓子以下

宇宙・天文
スポンサーリンク

木星と同じくらいの大きさなのに、密度は綿菓子(わたあめ)より低い——そんな極端にスカスカな巨大惑星が、しかも2つ同時に見つかりました。これまでに見つかった惑星の中でも、最も軽い部類に入る世界です。

オックスフォード大学が率いる国際チームが、同じ恒星をまわる2つの「スーパーパフ惑星」を発見し、その成果を天文学の専門誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に発表しました。

スーパーパフ惑星とは

スーパーパフ(super-puff)惑星は、「超ふわふわ惑星」とも呼ばれる、密度が異常に低い巨大ガス惑星のことです。サイズは木星くらい大きいのに、中身がスカスカで、見た目の大きさのわりに質量がとても小さい。そのため平均密度が極端に低くなります。

これまでに確認されている系外惑星(太陽系の外にある惑星)は約6,300個。そのうちスーパーパフに分類されるものは40個に届かないほどで、もともとかなり珍しい部類です。今回見つかった2つは、その中でもサイズが大きく、同じ大きさの惑星としては「最も軽い」とされています。

綿菓子より低い密度

2つの惑星には、それぞれ TOI-791 b、TOI-791 c という名前が付いています。密度は、TOI-791 b が1立方センチあたり約0.038グラム、TOI-791 c が約0.047グラム。

この数字がどれくらい軽いかというと、木星の平均密度は1立方センチあたり約1.33グラムなので、今回の2惑星はその28〜35分の1ほどしかありません。地球にいたっては約5.5グラムですから、差はもっと大きくなります。

比較に使われたのが綿菓子です。綿菓子の密度はだいたい1立方センチあたり0.05グラムほどとされ、2つの惑星はそれよりさらに低い。研究を率いたオックスフォード大学のジョージ・ドランスフィールド博士は、その軽さを「缶から出したばかりのシェービングフォームのよう」と表現しています。水の密度(1グラム)と比べれば20分の1以下なので、もし巨大な水の上に置けたら、軽々と浮いてしまう計算になります。

同じ星をまわる「兄弟」と珍しい軌道

今回の発見が特に珍しいのは、こうしたスーパーパフが2つそろって同じ恒星をまわっている点です。複数のスーパーパフを持つ星系は、これまで4例しか知られていませんでした。

2つの惑星は、若い星のまわりにあった同じガスとちりの円盤から一緒に生まれた「兄弟」だと考えられています。さらに、5:3の平均運動共鳴(へいきんうんどうきょうめい)という珍しい軌道関係に収まっています。これは、内側の惑星が5周する間に、外側の惑星がほぼちょうど3周する、という整数比でかみ合った関係のこと。

この比率でまわっていると、2つの惑星は周期的にお互いを重力で引っぱり合います。その引っぱり合いが、後で出てくる観測のうえで重要な手がかりになりました。

発見の経緯と南極からの観測

主役の星 TOI-791 は、地球から約1,110光年離れた南天の「とびうお座」にある、太陽に近いタイプの恒星です。2つの惑星は、まずNASAの系外惑星探索衛星TESS(テス)のデータの中から、候補として見つかりました。それぞれ2019年と2023年に、市民科学プロジェクト「Planet Hunters TESS」に参加したボランティアたちが拾い上げたものです。

惑星を見つける手がかりになったのは、トランジットと呼ばれる現象です。惑星が私たちから見て恒星の手前を横切ると、その分だけ星の光がわずかに暗くなります。暗くなる量から惑星の大きさがわかります。

ただし、大きさだけでは密度は出せません。密度を計算するには質量も必要です。そこで研究チームが使ったのが、さきほどの「引っぱり合い」です。2つの惑星が重力で干渉し合うと、星の手前を横切るタイミングがほんの少しずつずれます。このタイミングのずれを丁寧に解析することで、それぞれの質量を見積もり、極端に低い密度をはじき出しました。

この観測には8年がかかっています。なかでも効いたのが、南極のコンコルディア基地に置かれたASTEP(南極系外惑星トランジット探索)望遠鏡でした。南極の冬は何か月も夜が続くため、1回に11時間を超えるこの惑星の長いトランジットを、途中で途切れさせずに丸ごと観測できたのです。地上から最初から最後まで連続して捉えたトランジットとしては、過去最長だといいます。

なぜそんなにスカスカなのか

そもそも、どうしてこんなに密度の低い惑星ができるのか。じつは、これははっきり決着のついていない問題です。

有力な説のひとつは、水素とヘリウムを大量に含む分厚い大気が、惑星の質量のかなりの割合を占めている、という考え方です。星から遠く離れた冷たい場所で惑星ができると、ガスが冷えて素早く集まり、固い核のまわりに巨大なガスの層をまとう。それがこの「ふくらみ」を生んでいるのではないか、というわけです。

研究チームは今後、これらの説のいくつかを検証したり、否定したりするための追加観測を計画しています。具体的には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使って、ふくらんだ大気の中に炭素・窒素・酸素を含む成分があるかどうかを調べ、形成の手がかりを探るとしています。

解釈上の留意点

今回の研究で、2つの惑星が「とても密度が低い」こと自体は、複数の観測を組み合わせて確かめられています。一方で、「なぜそうなったのか」という形成のしくみは、まだ仮説の段階です。分厚いガスの大気という説も、あくまで有力な候補のひとつで、確定したわけではありません。

ドランスフィールド博士は、約6,300個もの惑星が見つかった今でも、自然はまだ予想外の姿を見せてくる、と話しています。TOI-791のような風変わりな星系は、惑星がどう生まれ育つのかというパズルに、新しいピースを一つ加えてくれる存在だといえます。

出典・もっと知りたい人へ

論文・一次情報は以下から確認できます(いずれも新しいタブで開きます)。

・査読論文(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society):ASTEP confirmation of a pair of long-period Jupiter-sized planets with extremely low densities transiting TOI-791

・オックスフォード大学プレスリリース:Researchers discover pair of giant ‘super-puff’ planets lighter than candy floss

・解説記事(Space.com):Two ‘super-puff’ cotton candy exoplanets are the lightest gas giants ever discovered

コメント

タイトルとURLをコピーしました